星を掬う (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
4.11
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本棚登録 : 11863
感想 : 901
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120054730

感想・レビュー・書評

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  • 母娘の話。昔母親に捨てられた千鶴が、人生のどん底にいるときに母親と再会する。しかし母親は認知症になっていて、、、
    認知症のリアルとか、色々考えさせられた。
    自分の人生は自分のもの。誰かの責任にしない。
    心温まるラストになっていて、読後感も良かった。

  • 町田さんの作品は子供の頃のツライ経験の話が多い。
    出てくる人たち、みんな悲しい思いをしてる。

    私も祖父母に育てられて、それなりの経験をしてるけど、それどころの話ではない。

    身体にも心にも暴力はひどい。
    それに千鶴の母聖子は若年性認知症。50代になったばかりで。
    今の私がその年代なのに。自分の先の人生が怖くなる。

  • 実は辛くなりそうで読むの躊躇してましたが、読んで良かった。

    元夫の執拗な暴力と搾取から逃れるため、かつて自分を捨てた母の住む「さざめき荘」に住むことになった千鶴。
    20数年ぶりに会う母と娘。どう振る舞えばいいのか、何を言えばいいのか…。戸惑う2人が傷つけあう姿がもどかしくて悲しい。

    母・聖子さんの子どもを捨てた理由が、何とも切ない。負の連鎖を感じさせるけど、子どもに自分と同じ苦しみを背負わせたくないという愛情も感じる。
    でも、どんな理由があっても捨てられた子どもにとって残酷な事実に変わりない。
    ただ、自分の不幸を免罪符のように振る舞うのはいかがなものかと、思いました。
    親子関係も家族も本当にいろいろで、コレっていう正解もなくて難しい。

    町田さんの作品は社会問題に絡んでいて考えさせられることも多いし、あちこちの場面や言葉が心の深いところに刺さる。
    千鶴のDV元夫、元同僚は最低最悪で嫌悪感と怒りしかない。
    辛い場面も多かったけど救いがあって本当に良かった。
    表題の「星を掬う」の意味がわかったとき、温かい気持ちに満たされ目が潤みました。


    『自分の人生は自分のもの』

    『自分の人生を、誰かに責任取らせようとしちゃだめだよ』

    『誰かを理解できると考えるのは傲慢で、寄り添うことはときに暴力となる。大事なのは、相手と自分の両方を守ること。相手を傷つける歩み寄りは迷惑でしかないし、自分を傷つけないと近づけない相手からは、離れること。』

  • 始まりから最後まで・・・涙、鼻水、時に嗚咽。
    容赦など、してくれない。
    揺さぶられ続けるわたしの心。
    美しい題名に秘められた想い。
    あぁー『星を掬う』を読む前のわたしには、もう戻れない。 

    母に捨てられて、夫はDV、「うつくしい反物の一点の染みのような存在」と自らを卑下していた芳野千鶴は、母の聖子、聖子をママと呼ぶ恵真、娘に捨てられた彩子と暮らすことに。葛藤とともに、止まった彼女の心が動き出す。

    心に痛みを抱えた女性たちの再生の物語でもある。

    母と娘の葛藤は、大なり小なり、皆、経験があるのではないだろうか。
    わたしも女性で、母であり、娘でもある。
    だから、揺さぶられる。他人事とは想えない。辛い経験をした彼女たちの幸せを祈りたくなる。
    そして、傷つき揺れ動く彼女たちに、エールを送っていたつもりが、いつの間にか、励まされ勇気をもらっていた。嬉しい。

    誰にでも、生きる場所・生きがいを用意されてしるのかもしれない。ただ、それに気付けるか、気付く努力ができるかどうか、なのかもしれない。


    あぁ、こんなに、書いたり消したり忙しい感想は初めて。この感情に脳が追いつかない。
    感涙、そして、ギブアップです。
    最後に、優しい町田そのこさんに、感謝!

  • 残酷な千鶴の経歴もラストを読めば心がすがすがしい気持ちになります。この作品は読むべき価値のある素晴らしい作品ですあなたもぜひ読んでみてください。

  • それぞれが辛い過去を抱えていて、重たい話ではありましたがすごく心に残る物語でした。
    誰かのせいにして生きるのは楽だけど、結局自分の人生は自分しか責任を負えないんだなと思いました。
    とても素敵な作品に出会えて良かったです·͜·

  • 不幸で居続けることを人のせいにすんなという怒りのようなものを感じました.....その通りだと思います.........

    自分だけが辛い!!!みたいな状態の時にものすごく効くお灸を据えてくれる作家さんだなと3作品読んでみて思った。

  • 「52ヘルツのクジラたち」に続き、町田そのこさんの作品2冊目読了しました!
    前作に引き続き今作も、「家族に愛されない」人たちの物語だなとかんじました(かなりざっくり言うと、にはなりますが…)。

    途中(何章だったかメモるの忘れました)、結城さんが千鶴さんにガツンと物申す場面が非常に印象的でした。自分自身とても千鶴さんに同情していて、卑屈なものの言い方をしてしまうのは仕方ないと思っていたのですが、結城さんのセリフで、傷ついているからといって、他人に何を言っても良いということは絶対にないんだと気づかされました。

    「あんたの人生のために、私の人生があるんじゃない。私の人生は、最後まで私が支配するの。誰にも縛らせたりしない。」(『5 永遠の距離感』より抜粋)

    余談な上にまだ2作しか町田さんの著書を読んでいませんが、あまり私には合わないかな〜と実は思ってたりします…。直感なので理由はなんとも言語化しにくいところです。

  • 表紙のイメージがピッタリとハマる
    すべての母の子どもたちは読むべき作品

    小さい子どもにとって母は全能の神のような存在
    すべては母の世界観
    父とは違う
    そのうち世間から社会性を学んでいくうち、
    必ずしも母の望みどおりには育たない
    本人の望みどおりに生きられたらいいけど、理想から離れてしまうと母の育て方のせいにしてしまいがち
    誰しも感じたことがあるのではないか

    母はまったく悪くない
    母も人間だから自信をもって育てているわけではない
    間違いもある
    母の周囲の人間との関わりもある
    それでも母は子どものために精一杯の愛情をかけてくれる
    ダメな大人になっても、母は責任を感じてくれる
    自分のせいだとわかっていても母を責め、つい甘えてしまう
    母は偉大だ

    母に捨てられた記憶に縛られて生きる千鶴は元夫のDVに苦しめられ、偶然から母と再会し同居をはじめる
    「なぜ、母は私を捨てたの?」
    母は若年性アルツハイマーを発症しており、どんどん記憶を失っていく
    楽しかった思い出も夜空に輝く無数の星のようになり、わずかに掬う分だけ甦る

    物語中盤から母のモノローグが差し込まれ、千鶴から離れた意味がわかって辛くなる
    50代でアルツハイマーになり徐々に記憶を失くしていくなんて…

  • 5作目。他の作品同様、静かに魂に触れてくる。

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著者プロフィール

町田そのこ
一九八〇年生まれ。福岡県在住。
「カメルーンの青い魚」で、第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。二〇一七年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー。他の著作に「コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―」シリーズ(新潮社)、『うつくしが丘の不幸の家』(東京創元社)などがある。本作で二〇二一年本屋大賞を受賞。
近著に『星を掬う』(中央公論新社)、『宙ごはん』 (小学館)、『あなたはここにいなくとも』(新潮社)。

「2023年 『52ヘルツのクジラたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

町田そのこの作品

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