星を掬う (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
4.11
  • (952)
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  • (76)
  • (20)
本棚登録 : 11863
感想 : 901
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120054730

感想・レビュー・書評

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  • んーー
    平凡な幸せをありがたいと思える小説だと思った。

    まず、母と娘の関係。
    二人だけのことではなく、父親やそれぞれの両親も関わってくるのが、難しい血縁関係…
    それに耐えられなくなって、母と娘が決別し、将来が散々なものになることもある。
    この小説は、最後の最後にはそこはそこそこの修復が見られたけど、現実の世界はそうも行かないだろうと思うと、ほんとに切ない。

    しかも、DV男のしつこさと、暴力的なことが酷過ぎて…
    あたしなら、ここまでなる前に、もっと法的な措置に頼るか、殺す‼️
    けど、現実の世界には、もっと酷いことが…この件も、考えさせられる…

    ただ、唯一の救いは結城がすっばらしく、いい奴なこと‼️‼️
    いいぞ、結城❤️

    基本、呑気で幸せな小説が好きなわたしには、ちょっとヘビー過ぎた。

    結城だけが救いだった。
    恵真のことをくれぐれもよろしくお願いします。

    親かっ

  • 途中何度も深呼吸しながら読み終えた。

    星を掬うってどんな意味なんだろうと思ってたけど、意味がわかって涙が止まらない。

  • 辛い過去や苦しかったことやトラウマが生きていればきっとあると思う。でもそのせいにして縛られては人生が勿体無いと確かに思った。それも全て自分の責任ではあるけれど、自分の人生の責任を取るのは自分で。自分を幸せにするのは他の誰でもなく自分だということを教えてもらった。

    もし、大切な人が辛い過去から逃げられなかったり今も辛い思いをしているなら抱きしめて頑張ったねと言いたいです。

    星を掬う、この意味が読了後に染み渡ります。
    どうかこれからの人生もたくさんの星が生まれますように✴︎

  • うまくいかない時、ついひとのせいにしてしまう。なぜならその方が楽だから。
    たとえ母娘であったとしても、"ひとにはそれぞれ人生がある"
    自分の人生なんだから、責任もって力強く生きていこうと思える、前向きになれる作品だった。

  • 親は子供の幸せを願い、自らの良かった経験は真似させ、悪かったことは反面教師として違うことをさせる。そしてそれは自分の経験則による「幸せに生きる選択」だと信じそれを子供に強いて、子供の自由な考えや想い、気持ちをないがしろにし、愛する子を縛り付けてしまっているんですね。
    自分の身に置き換えると本当にそんな子育てだったなと反省していますし、子供たちに申し訳なかったと遡ることのできない罪を感じてしまいます。

    この作品は元夫に暴力を振るわれお金をむしり取られる娘の千鶴と、その母であり離婚後にシェアハウス(?)の所有者である聖子、この母娘を中心にした物語。
    人には想像できない辛い過去があり、それにより今の性格や行動、そして抱く想いが形成されていて、はじめは「この人は理解出来ない、自分とは合わない」と思っていても、そのバックグラウンドを理解すると考えが一変することが分かります。もっと言うと、そういう背景があることを知らずに自分の感情だけで好き嫌いを判断することは「自分の想像力の無さ」を感じるべきなんだと考えを改めさせられました。
    本屋大賞を受賞した前著も良かったですが、この作品も期待以上の内容で本当に楽しめました。

  • 母と娘の関係って、本当に特殊な気がする。私はうまく母との関係が築けなかった。千鶴とは状況が全く違うのに、最後はグサグサと胸に刺さりまくって、私のことを言われている様でボロボロ泣いていた。心が痛かった。

    小学校1年生のある日、突然母は千鶴を連れて旅に出た。父と祖母に見つかって家に帰ることになったのだけれど、一緒に家に帰っていると思っていた母は帰ってこなかった。「私は母に捨てられた。」
    そして千鶴は今まで母を恨んで恨んで生きてきた。自分の人生、母のせいで不幸なのだと。そして実際に目を背けたくなるほどの辛い現実をただただ耐えて耐えて生きている。あるきっかけによって、母と再会することになり、複雑な思いを抱きながら母とそして自分と向き合っていく。

    ―私の望む世界では母が生きず、母の望む世界では、わたしが生きられなかった。―

    母なら自分を犠牲にしてでも愛してくれるはずだという自分勝手な幼い幻想を今もなお持っているのは、紛れもない私なんだと思ってしまった。自分を生きずに「生きる」ことが、私が本当に望んでいる「生き方」なんだろうかとも。一方で、やはり母が子どもに与える影響力は強すぎるとも思う。
    すぐには割り切れない、未熟者です。

    沈んでいた記憶が意識の海から不意にポコっと浮き上がってきた時。
    星を掬う、とてもとても優しく素敵な表現だな。

  • 本屋大賞を受賞後の第一作目の話題作。主人公のマイナス・オーラ全開は続くが、人と繋がる後半のプロセスで心を深くゆさぶられた。

    親の死後数年は鬱病に近い心理状態になるそうだが…自分らしさを求めた母聖子と捨てられ見事に卑屈な娘千鶴。親子のあり方、人間としてのあり方、親・子のそれぞれの思い…非常に考えさせられる作品だった。

    ~印象に残った表現~
    ・ 自分らしくっていう言葉はどこまでも遠くて、お母ちゃんらしく、って言葉はとても、しっくりきた。私はよくできた、お母ちゃん二号で、それ以外の個性ってのは、もう失われてしまっていたの
    ・私はいつか、あの子を私の幸せのために歪ませてしまう。私の奥底にはお母ちゃんがいる。この子を私の「分かる」に押し込めてしまうだろう。そんなのは、嫌だ。私はこの子を歪めたくない
    ・ だってそういうやり方しか、知らないんだもの。私がいたら千鶴を、歪めてしまう。そんなの嫌よ

    ・ 加害者が救われようとしちゃいけないよ。自分の勝手で詫びるなんて、もってのほかだ。被害者に求められてもいないのに赦しを乞うのは、暴力でしかないんだ
    ・ 俺は結局あいつらを恨んでしまったよ。俺が何年もかけて心の毒抜きをしたのに、毒をを送りつけてくるんだ。俺の苦しみを、何にも分かっちゃくれない。 あんたはそんな酷いこと、しちゃいけないよ
    ・ひとりの立派な人間に育てたのだから責任を終えていいと思っていたけれど、きちんと子供を見つめていないだけだった

    ・鎖でがんじがらめになって、 泥沼でみんなで抱き合いながら沈むのが家族だって言うの?尊厳も何もかも剥ぎとって、子どもたちに死ぬまでぶら下がるのが親だっていうの?私はそんなの、認めたくない
    ・自分でやることを美徳だと思うな。寄り添いあうのを当然だと思うな。ひとにはそれぞ れ人生がある。母だろうが親だろうが、子どもだろうが、侵しちゃいけないところがあるんだ
    ・私の人生は、最後まで私が支配するの。誰にも縛らせたりしない
    ・あたしの人生は、あたしのものだ。誰かの悪意を引きずって人生を疎かにしちゃ、だめだ

    ・せっかくなんだから寄り添いたいんだって。だけど、無理に近づこうとはするなって。誰かを理解できると考えるのは傲慢で、寄り添うことは時に乱暴となる。大事なのは、相手と自分の両方を守ること。相手を傷つける歩み寄りは迷惑でしかないし、自分を傷つけないと近づけない相手からは、離れること
    ・ ひとって水なのよ。触れ合う人で、色も形も変わるの。黄色にも、緑にも熱いお湯にも、氷にも。真っ白いかき氷に熱いイチゴシロップなんて、合わないでしょう。離れるなり、タイミングを計るなり、姿を変えるなり、よ
    ・こんなトラウマ乗り越えて「生きなさい」
    ・「大丈夫、あんたはできる子だから」
    ・ その手に掬い取れるものが星のように美しく輝き放つものであればいい。悲しみや苦しみ、そんなものは何もかも手放して、忘れしまって構わない。きらきらした星だけを広げ、星空を眺めるように幸福にしたって欲しい。そんな星々の一つに、私の記憶もあったら嬉しいなと思う

    マヨネーズ・バナナ・サンド(笑)、つねる、「男の子は違う」…似たよう方を知っている。最近読んだ『幸せになる勇気』で哲人が繰り返す「リスペクト」を思い出さずにはいられない。良い本に出会たことに感謝!

    • スツールで読む本さん
      すごい。私にはここまで感じ取れないと思う。けど、読みたいです。感想を書いてくださってありがとうございます。
      すごい。私にはここまで感じ取れないと思う。けど、読みたいです。感想を書いてくださってありがとうございます。
      2022/05/16
    • さちねえさん
      スツールで読む本さん
      初の投稿&フォローありがとうございます。メモ程度にスタートしましたが、コメント嬉しいです♪
      スツールで読む本さん
      初の投稿&フォローありがとうございます。メモ程度にスタートしましたが、コメント嬉しいです♪
      2022/05/18
    • スツールで読む本さん
      こちらこそ、体調不良で返信遅くなりましたがありがとうございます
      こちらこそ、体調不良で返信遅くなりましたがありがとうございます
      2022/06/03
  • 家族ってなんなんだろう。親子ってなんなんだろう。
    夫婦ってなんなんだろう。
    血のつながりってなんなんだろう。
    血がつながっていないってなんだろう。

    物語の始まりは、主人公がラジオ番組に応募した「思い出」が、準優勝となったことからだった。
    その思い出とは、小1の夏休みに母と1か月ほどの旅をしたときのことだった。
    その母は、唐突に終わりを告げられた旅の帰り、いなくなってしまった。
    どうして母は、わたしとあの旅に出たのか…?
    主人公・千鶴はそのこたえをもたないまま、オトナになった。

    そこからは、千鶴が離婚した夫から執拗に追いかけられ、金をむしりとられ困窮し、激しいDVを受ける様子が書かれていく。
    その様子は描写が本当にリアルで恐ろしく、目の前で起こっているかのようだった。
    ラジオ番組で思い出が準優勝というくだりから、まさかこんな展開になるとはおもわなかった。

    しかし千鶴がその思い出を応募しなければ、母・聖子と再開することはなかったし、そこからの新しい出会いもなかったのだから、なんとも言い難い。
    そしてこの話は、「生き別れの母と会えてよかったよかった」などという、単純な話ではないのだ。
    むしろ母と一緒に住むようになってからが、この話の本当の始まりなのだ。

    わたしの不幸は、母がわたしを捨てたせい。
    それは千鶴にかけられた呪いである。
    その呪いをかけたのは、千鶴自身とも言えるし、千鶴を育てた人たちとも言えるだろう。
    しかし話の後半で千鶴は、その呪いにかかった人がどんな風に見えるのかを、外側の人間として見る機会がおとずれる。

    「もう認めるしかない。わたしは、この子とまったく同じことを、母にしていた。わたしの不幸は、あなたのせいだと責め立てていた。
    しかし、わたしの不幸はどこから来ていた?」
    (241ページ)

    千鶴は、そのこたえをやっと、見つけ出す。

    そして、千鶴の母・聖子もまた、何度も何度もあることを言い聞かせていた。
    自分にも、再開した娘にも、一緒に暮らす人たちにも。
    そうしなければ聖子は、自分の人生を生きることができなかったから。

    「私の人生は、最後まで私が支配するの。誰にも縛らせたりしない」(268ページ)

    わたしの人生はわたしのものであり、あなたの人生はあなたのものだ。

  • 〝星を掬う〟というタイトル。
    このタイトルの意味が分かる場面で泣かされた〜。

    「私の人生は、最後まで私が支配するの。」

    色んな意味で母に依存していた千鶴が自立するとき、お母さんのように強くなれたね。

  • 「自分の経験が誰かの人生を救う」って言う千鶴さん、本当に良く言ってくれました。価値がゼロの人なんてこの世の中にはいない。辛かったからこそ今度は逆に支えになる方で癒されていってほしい。
    母親って、家族って、子供を責め立てるのではなくて一緒に未来の希望を語れる存在でありたいと思う。

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著者プロフィール

町田そのこ
一九八〇年生まれ。福岡県在住。
「カメルーンの青い魚」で、第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。二〇一七年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー。他の著作に「コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―」シリーズ(新潮社)、『うつくしが丘の不幸の家』(東京創元社)などがある。本作で二〇二一年本屋大賞を受賞。
近著に『星を掬う』(中央公論新社)、『宙ごはん』 (小学館)、『あなたはここにいなくとも』(新潮社)。

「2023年 『52ヘルツのクジラたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

町田そのこの作品

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