- Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121023100
作品紹介・あらすじ
個性豊かな山々に恵まれた日本人の精神文化の根底には、山への畏敬の念が息づく。本書は山岳信仰の歴史をたどりつつ、修験道の成立と展開、登拝の民衆化と女人禁制を解説。さらに八つの霊山の信仰と祭祀、神仏分離後の状況までを詳解する。長年、山岳修験研究に携わってきた著者による決定版。
感想・レビュー・書評
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日本文化の深層を探る指南書/山根京子|web中公新書
https://www.chuko.co.jp/shinsho/portal/118372.html
山岳信仰|新書|中央公論新社
https://www.chuko.co.jp/shinsho/2015/03/102310.html詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本人の精神の奥深くには山への畏敬の念が流れている。そのことを教えてくれる本だ。
出羽三山、大峰山、英彦山が三大霊場とされていることを本書で初めて知った。日本には山がたくさんあることは知っていたが、それぞれに個性があるらしい。旅先に山があるときは、行く前に本書を読んでおくと、より楽しめるかもしれない。 -
筑波山の歴史を探っていると、文字の史料を中心とした歴史では見えてこない。
山そのものへの信仰に関する書籍を探っていて見つけた。修験道など山の信仰の概要と歴史がコンパクトにまとまっている。
著者は、慶應大学を今年3月に退官、日本山岳修験学会の会長の職にある。
同書には、筑波山について触れられていないが、おおいに参考になった。 -
<目次>
序章 山岳信仰とは何か
第1章 出羽三山~死と再生のコスモロジー
第2章 大峯山~修験道の揺籃の地
第3章 英彦山~日本の山岳信仰の拠点
第4章 富士山~日本人の心のふるさと
第5章 立山~天空の浄土の盛衰
第6章 恐山~死者の魂の行方
第7章 木曽御岳山~神がかりによる救済
第8章 石鎚山~修行から講へ
<内容>
密教や修験道とも関連の深い、日本の山岳信仰をまとめた労作。詳細な記述がかえって読むスピードを遅くしたが、基本的な部分は網羅されていると思われる(その分野に詳しくないので)。
まだあるのだろうが、主だった山々は網羅されているので、ざっと見通すのにいいだろう。 -
著者:鈴木 正崇[すずき・まさたか]
【版元】
初版:刊行日2015/3/25
判型:新書判
ページ数:320ページ
定価:本体880円(税別)
ISBN:978-4-12-102310-0
〈http://www.chuko.co.jp/shinsho/2015/03/102310.html〉
【目次について補足】
この目次「第五章 立山」のなかに「うば堂」が登場する。この〈うば〉は本来、国字(女偏に田を三つ)。しかし出せないので、平仮名表記にしておく。
参考記事
〈http://we23randoku.blog.fc2.com/blog-entry-1432.html〉
【目次】
まえがき [i-iv]
目次 [v-viii]
地図 [ix]
序章 山岳信仰とは何か 003
山への畏敬と神聖化
神仏習合の思想
農耕民の山の神
狩猟民の山の神
基盤としての山中他界観
山の仏教的意味づけと曼荼羅世界
遥拝と禁足地
祭祀から登拝へ
最澄と空海
修験道の成立
修験道の展開
山岳登拝の民衆化
女人禁制の行方
修験と芸能
文化遺産への道
第一章 出羽三山――死と再生のコスモロジー 034
東北の仏教と修験
三山の由来
修験の根拠地・羽黒山
月山
湯殿山
三山詣
即身仏
開山伝承
開山伝承の変化
春峰と夏峰
秋峰――山伏の養成
冬峰――百日修行と松例祭
現代の動き
第二章 大峯山――修験道の揺籃の地 068
吉野山と山上ヶ岳
金峯山と役行者
修験道の本尊・蔵王権現
経塚
増誉と熊野
聖宝と吉野
熊野
修験教団(本山派・当山派)の成立へ
明治以後の修験
峰入りの思想
峰入りの実践(1)――吉野から山上ヶ岳へ
峰入りの実践(2)――山上ヶ岳から
深仙ヘ
峰入りの実践(3)――熊野本宮へ
自然とともに生きる
第三章 英彦山――日本の山岳信仰の拠点 102
天下に抜きん出た霊山
開山伝承
仏教伝来以前
『彦山流記』について
洞窟中心の修行と熊野との関係
中世における勢力の広がり
謡曲「花月』『大江山』
峰入り
即伝による修行の体系化
近世の彦山
山と集落
松会
神仏分離以後
第四章 富士山――日本人の心のふるさと 132
日本の最高峰
古代の富士山
噴火の歴史
『富士山記』の世界
山に登拝した末代上人
『浅間大菩薩縁起』
かぐや姫
村山修験
富士講の開祖――角行の伝承
富士講の始まり――村上光清と食行身禄
富士講と富士塚と御師
富士講の再編――小谷三志と女人禁制
富士講から教派神道へ――丸山教と扶桑教
富士信仰の行方
第五章 立山――天空の浄土の盛衰 161
古代の立山
錫杖の発見
山の神と仏
地獄の思想
開山伝承
山麓の寺院と集落
立山曼荼羅の世界
曼荼羅の下部
曼荼羅の中部
曼荼羅の上部
登拝の行程
芦峅寺〔あしくらじ〕のうば堂 ※
布橋灌頂〔ぬのはしかんじょう〕
近代登山から観光地へ
第六章 恐山――死者の魂の行方 195
独自の景観
恐山の歴史と伝承
江戸時代の死者供養
参詣道と優婆
婆講
登拝習俗
円通寺と地蔵講
賽の河原
釜臥山とお山懸け
地蔵会とイタコ
現代への対応
第七章 木曽御岳山――神がかりによる救済 220
噴火以前
峰と池と滝
中世の諸相
重潔斎 覚明の中興開山
覚明没後
普寛の登場
木曽御嶽信仰の江戸での広がり
御嶽講の展開(1)――泰賢と順明
御嶽講の展開(2)―― 一心と一山
神仏分離以後
外国人と木曽御嶽山
御嶽講の現在
今後の展開
第八章 石鎚山――修行から講へ 250
そびえたつ岩峰
開山伝承
山麓寺院の開基伝承
石鎚山と瓶ヶ森
空海と光定
役行者とその周辺
前神寺の隆盛
石鎚神社の成立
お山開きの歴史
女人禁制と山中の修行
現在のお山開き
道者の精進と禁忌
石鎚講
里での展開
あとがき――体験知との出会い(二〇一五年一月一五日 著者) [287-293]
参考文献 [294-305] -
あちこちの山を具体的に取り上げ、信仰の形成過程、開祖やら山で修行した人やら信徒(という表現がいいのかはさておき)やら、神仏習合・本地垂迹から神仏分離、女人禁制と解禁などなど。
興味深いのに、開祖やらの人物名と業績の羅列で力尽きた。 -
なんとなく近寄りがたい山岳信仰。修験者のほら貝に象徴されるようにちょっとエキセントリックで、見てはいけないもののような気がします。一方で今、流行りのパワースポットは、山岳信仰の場と重なります。この本で取り上げられる山も、出羽三山、大峯山、富士山、立山などなど、まさに現代のパワースポット。今も昔も人を引き付ける山々の魅力ってなんなのでしょう。
そんな興味から手に取ってみたら、内容は予想外に硬くて、パワースポットブームにあやかろうなどという意図は全くありません。専門的な難しい部分が多く、楽しみながら読むという訳にはいきませんでした。でも、なんとなくおどろおどろしくて近寄りがたかった修験道や神がかりのことも研究対象として冷静に解説してくれていて、山岳信仰の実態を知ることができました。 -
関心のない方には無意味かもしれない本ですが、ここ数年興味を持っている信仰なので、面白かった。
このところ出羽三山の信仰が気になっていたので読んだのだけれど、充分に教えていただいた。 -
クライマーの割りにはあまり理解していなかった「山岳信仰」について、十分に理解できました。
わが郷土の出羽三山、深い歴史があり、こんなに魅力的だったんですね。
改めて、月山、湯殿山、羽黒山、登りに行かなくては…
【メモワード】
・三大霊場:出羽三山、大峯山、英彦山
・十界修行
・羽黒山の開山=参拂理大臣(みふりのおおど)