ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か (中公新書 2410)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121024107

感想・レビュー・書評

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  • 元大阪都知事の橋下氏を含めて、ポピュリズムが席巻した。トランプ氏を含めて今後も流れは止まらないと思われます。

  • 欧州各国で勢力を増しているポピュリスト政党が紹介され、トランプ現象は世界的なものであると相対化できる。ポピュリストの戦略や振舞い方を知れば、今のトランプの一挙手一投足に取り立てて振り回されることもなくなるだろう。今だからこそ必読の一冊。

  • 見渡せば、ブレグジット、トランプ、反移民の排外主義、そして国内では橋下、小池とポピュリズム現象をあちこちで目にする昨今、トランプまでフォローしたタイムリーな一冊。論点も見事に整理されています。こういう耳障りのよい人気取りの現象、政治だけでなくSNSでもよく見かけますね(笑)米国での人民党を近現代の起源として南米や欧州、しかもベルギー、デンマーク、オランダ、スイスなど小国から独仏英の大国まで発展してた経緯やその原因を分析しています。価値観が多様化し代表制民主主義が高齢、非エリート、地方を蔑ろにした反発としてのはけ口になり、人権尊重が逆に反イスラムのような排外主義の口実につながる矛盾など色々と考えさせられます。

  • 良書。
    世界的にポピュリズムと言われる政治的な動きが勢いを得、「イギリスのEU離脱」や「トランプの米大統領就任」という劇的な結果へとそれが結びついていますが、その、ポピュリズムとは何か?ということを南北アメリカにおけるその生い立ちまで遡るとともに、近年のヨーロッパにおける動きとその背景についても新書という適度な分量の中で詳しくかつ非常に分かりやすく解説してくれており、大変に理解が整理されました。

  • 書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記は控えさせていただきます。

    http://www.rockfield.net/wordpress/?p=8918

  • 2017/1/18

  • イギリスEU離脱だのトランプだのというなかなかのタイミング。中身としてはコンパクトに良くまとまってる、というべきかちょっと物足らん、というべきか。まぁポピュリズムの歴史、ではないので歴史関係はこれくらいでええのかな。
    現代のポピュリズムについての解説で「リベラルが寛容であろうとした結果、不寛容なイスラムを認めない、という論法」ってのはオモロいよね。パラドックスといえばパラドックスなんだけど、民主主義を認めない政党も普通選挙に出る、みたいな(違うかな)。

  • 政治学におけるポピュリズムについて、その定義と各国における現状をまとめた本。
    ポピュリズムは極右や反民主主義といったものではなく、民主主義に根付いている現象であると筆者は分析している。この点は盲点になると思われるので、新鮮であった。
    また、各国のポピュリズムについて分析しているのが、本書のセールスポイントの一つであると思う。共通しているのは、「見捨てられた層」が各国にあり、それらの支持を受けている点である。
    本書は、学術的な分析が平易な言葉でなされている為、非常に読みやすい。個人的には、新書オブザイヤーである。(まだ2017年は始まったばかりだが!)

  • 「ヨーロッパのポピュリズム政党は、ラテンアメリカにおけるように富裕層を批判して『分配』を求めるのではなく、むしろ既存の制度による『再分配』によって保護された層を『特権層』とみなし、その『特権層』を引きずり下ろすことを訴えるにである(いわゆる『引き下げデモクラシー』)。この点は、近年の日本における『生保(生活保護)』批判のロジックとよく似ている。」p.217


    「現代西欧政治においては、ポピュリズム政党は福祉国家の『受益者層』に対する批判は行うものの、社会経済的な改革を進めて格差を是正することへの関心は薄い。むしろその批判の対象となるのは、現代における多文化主義の広がり、政治エリートやメディアエリートにおける寛容な価値観の優位である。(中略)移民問題を先送りしてきた弱腰のエリートを非難しつつ、移民批判という『タブー』を破る英雄的な行為を行う存在として、ポピュリズム政党は自らを位置づけるのである。」p.219

  • 面白かった。ヨーロッパのポピュリズム政党は、リベラルとデモクラシーを援用して排除の理論を正当化しており、だとすればリベラル、デモクラシーの論理をもってポピュリズムに対抗するのは難しいのでは、というのがなるほど、となった。国民投票でトランプやBrexitに投票した人を攻撃するのは、デモクラシーの尊重からすると違和感があるよな、みたいな感覚を言語化してくれるというか。ポピュリズム政党が、マイノリティの権利や言論の自由の守護者としてイスラムを攻撃する、というのも、遠くに住んでる人に対する文化相対主義とお隣さんに対するそれは全然違うよなぁ&文化の尊重と西欧的な人権の衝突、って友人の研究テーマだったような、ホットトピックだなぁ、と思いました。

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著者プロフィール

千葉大学大学院社会科学研究院教授(千葉大学災害治療学研究所兼務)

「2022年 『アフターコロナの公正社会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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