ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か (中公新書 2410)
- 中央公論新社 (2016年12月19日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121024107
感想・レビュー・書評
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この水島氏の文体(スタイル)がもっとポップなものであったら(優しく語りかけるような、柔らかいものであったら)、もっとバカ売れしているのではないだろうか。と思うくらい面白い。
ただ文体が硬質で、生真面目であるため少々とっつきにきい感がある。しかし各国のポピュリズムの伸長を具体的に丁寧に書いてあるので、非常に分かりやすい。この本を読んで腑に落ちたことは多い。
おもしろかったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最近、報道番組で「ポピュリズム」という言葉を聞くが、政治に明るくない私にとっては謎の言葉だった。
(「ポピュリズム」は「大衆迎合主義」や「人気取り政治」とも説明される、とのこと。)
本書では南北アメリカ、ヨーロッパ諸国の事例をあげて、ポピュリズムの様々な有り様が解説されており、分かりやすかった。
日本はポピュリズムとは関係ないと思い込んでいたが、「維新」の躍進はポピュリズムの波だったのかと、認識を新たにした。
あとがきによると、
・本書の執筆作業は2年余りに及ぶ。
・イギリスのEU離脱を問う国民投票が行われ、トランプのアメリカ大統領当選が決まった2016年の締めくくりに刊行、
とのこと。
更に今年2017年は、フランス大統領選挙も控えており、世界の政治から目が離せない。
このタイミングで本書に出会えてよかったと思う。 -
20170420〜0506 英国のEU離脱、反イスラムなど排外主義の広がり、トランプ米大統領誕生…世界で猛威を振るうポピュリズム。大衆迎合主義とも訳され、民主主義の脅威とみなされがちだが、ラテンアメリカでは、エリート支配から人民を解放する原動力となりヨーロッパでは既成政党に改革を促す効果も指摘されている。
では、我が国ではどうだろうか。維新の会を著者は例示しているが、ポピュリズムも自民は内方しようとしているように思える。文章は、読みやすかった。 -
ここ10数年、日本も含めて世界をにぎわせている「ポピュリズム」というものに焦点をあてて、わかりやすく解説してくれる1冊です。
テレビや新聞などの報道をみていると、「ポピュリズム」=極右で、民族主義的・排外的なイメージが強いですが、本書を読むとその性格が大きく変わってきていることを強く感じます。
ヨーロッパにおけるポピュリズム勢力の伸長に際して、「リベラル」と「デモクラシー」という西洋近代世界が最上位に掲げてきた価値観をうまく活用していることがひしひしと感じられます。
日本における報道(国内外どちらについても)においても、「ポピュリズム」というパッケージでとらえるのではなく、それぞれ異なっている各現象を個別に丁寧に伝えてほしいなと感じられました。 -
17/03/30。
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ポピュリズムなんて聞いたことなかったんだけど、こうして見てみると今はポピュリズムだらけなんだなあと納得。
民主主義=言いたいことが言える、みたいなイメージがあるので、ポピュリズムvsデモクラシーみたいな風にはあんまり思えなかった。
むしろ民主主義がなかったらポピュリズムも出てこれないよね?と思う。
なので、前提みたいなのがピンとこなかったわけだけど、大変おもしろく読めました。
前半のポピュリズムの歴史、みたいなのは頑張って読みましょう。
やはりハイライトはEU離脱騒ぎの解説と思います。
どうしてこんなことになったのか、不思議でしょうがなかったけど、これを読んで少し理解した気になりました。
まさかトランプ騒ぎと根が同じだとは。
昔何かの映画で見た、鬱屈とした白人肉体労働者達がパーッと思いだされた。
こうしてみると離脱賛成派というのは、日本でいうところの団塊の世代ということに近いんだろうか。
だとすると厄介だねーwとよその国のことながら同情する。 -
ポピュリズム≠右翼、左右というより上下の構造。最近では移民受入れと結びつくが、イスラムの思想が排外的故に多文化思想に反するという考えに基づく。
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世界同時多発のポピュリズム。民主主義と相反するものではなく、「デモクラシーに内在する矛盾を端的に示すもの」「デモクラシーの原理を突きつめれば突きつめるほど、それは結果としてポピュリズムを正当化することになる」やはり民主主義は道半ばなのだ...ヨーロッパがやけに詳しいわりに韓国が入ってないのが?著者の専門はヨーロッパらしい。私としては韓国こそポピュリズムが行きすぎてパンギムンが大統領選辞退するような明らかに政治が後退するような状態になっているのだが。今、書くなら入れてほしかった。選挙制度に応じていかにのしあがり、イスラム憎悪に便乗していかに大衆の心をつかむ。読んでいるうちに疑問がわく…背景にあるのは多様性なのか。総中流社会でなくなったことで、互いに憎しみの心がわくのか。私たちはまだまだ未熟者だと気づかされる。