ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か (中公新書 2410)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121024107

感想・レビュー・書評

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  • 世界の政治状況を考えるとき、もはや看過できないポピュリズム。その起源から現在までの在りようを明確に、しかもわかりやすく解説した著作である。
    日本においても、維新の会の存在など、ポピュリズムは着実に浸透しつつある。維新の会でなくとも、「サイレント・マジョリティ」への働きかけに成功した政治パーティーが出現したとき、ポピュリズムは日本の政治状況を席巻するであろう。そんなポピュリズムにどう向き合えばいいのか、教えられることは多い。

  • そもそものポピュリズムの定義やその潮流を知ることが出来た。
    腐敗した二大政党制に対する第三局としての、ポピュリズム政党が台頭したという説が面白い。それなら、無党派層と呼ばれる人たちは、従来の団体ベースの社会的亀裂が崩れたことで生まれたと考えられる。そうなら、直接民主制の価値を感じる。

  • 2017/11/1

  • これまでの議論がコンパクトに纏められており、大学教養レベルの読書として日本語で読むには最適な内容だと思う。ただ従来の議論や研究領域に紙面が割かれていて読書としてはしりすぼみ感。古くの米国人民党の背景は歴史を知る上で大切かもしれないが、ベルギー・オランダあたりはもう少しコンパクトでもよかった。後半のEU、ブレクジット、英仏のポピュリスト政党の動き、トランプ誕生の辺りは、出版直近の出来事とはいえやや小走りになっている印象。もう少し広く最近世界で取りざたされているポピュリストと言われる人々・組織(スペインのポデモス、イタリアの五つ星運動、ハンガリーのオルバーンなど)にも触れて欲しかった。その物足りなさからヤン=ヴェルナー・ミュラーの同タイトル書を購入してしまった。

  • デモクラシーの危機として語らえるポピュリズムが実は、デモクラシーのひとつの重要な側面である「民衆の直接参加を通じたよりよき政治を積極的に目指す試み」と密接につながる。すなわち、現代のポピュリズムは、いわばデモクラシーの「内なる敵」として立ち現れているという指摘は非常に意義深い。
    ポピュリズムを全面的排除するのではなく、デモクラシーの「活性化」という効用を認めつつ、その暴走のリスクを以下に抑えるかという局面に現在はある。もちろん、日本もまた例外ではあるまい。

  • いま世界で起こっている排外的な動きの根っこに何があるのか、大変勉強になりました。そしてヨーロッパの奥深さを再認識させられました。

  • 日本では、ポピュリズム=極右排外主義のイメージがあるが、実際はそんな単純なものではない。
    冷戦が終わり、左右間での対立がなくなった現在、そしてグローバル化・情報化が進行した結果、トランプの言ういわゆる「忘れられた人々」からの反動とみるべきなのだろう。
    ではグローバル化・情報化を抑えればよいのか?
    そんな単純なものではないだろう。ポピュリストはグローバル化に対して問題提起をしているが、解決方法は提示していない。
    目に鱗だったのは、なぜ欧州であれほど難民を嫌うのかということに対しての回答で、単に文化的・宗教的嫌悪感ではなく、難民が受ける便益もまた既得権益とみなしており、その既得権益から排除されている階層からの反発という面があるとのことであった。

  • 南米やヨーロッパ・アメリカで躍進著しいポピュリズムだが、一口にポピュリズムといっても、途上国と先進国ではその支持基盤や主張、政治活動の手法に大きな違いがあるとのこと。
    そして、先進国のポピュリズムは、民主主義の原点ともいえる国民投票や、リベラルの基本理念である「政教分離」「男女平等」等に依拠しており、簡単に否定し去ることはできない。
    本書を読んで、ポピュリズム=大衆迎合=悪政と簡単には決めつけられないことがよくわかった。ポピュリズムは今後世界をどう変えていくんだろう。

  • 「ー」

    エリートと人民の対比を軸とする政治運動。
    エリート以外は人民なのか。人民の中に階層はないのか。
    私には難しい本でした。

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著者プロフィール

千葉大学大学院社会科学研究院教授(千葉大学災害治療学研究所兼務)

「2022年 『アフターコロナの公正社会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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