- Amazon.co.jp ・本 (145ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122032101
感想・レビュー・書評
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マラソン大会に行く電車の中で読了。
なんでもかんでも目的合理的に考えて生きているビジネス社会に身を置いていると、村上さんの言う「使い道のない風景」の中でしばし生きることの大切さを実感します。こういうところが村上さんの作品を好きな理由でもある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
定期的な住み移り。
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★2008年11月17日 88冊目読了 『使いみちのない風景』村上春樹著 中公文庫 評価B
短文エッセイで、20分もあれば読めてしまう写真+エッセイの小品です。ちょっとこれを一冊と数えるには気が引けます。
使いみちのない風景とは、どこにも結びつかない、何がはじまるわけでもない、一時のとある場所での滞在、旅行での何の脈絡もない風景をふと思い出す、そんな事を書いています。 -
さすが村上春樹、と感じさせる質の高いエッセイだけど、写真は不要だったのでは?
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学会帰りの道すがら、松江にartos(http://www1.megaegg.ne.jp/~artos/about.html)という本屋がありそこで手にとった本。良いセレクトショップだなという店内の雰囲気と旅情があいまって自然とこの本になった。僕たちの記憶の中に断片的に残されている旅の風景。それを使って何かをするということはできないけど、でもそんな風景の集まりが、何か自分という存在を引き出してくれるような気もする。「あーあるよね、そういう風景」、と言われてみれば思い当たるふしもあるが、それを「使いみちのない風景」と一言で名指してみせるのは、やはり文学者のえらいところだなと思う.
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うーん、これはちょっと、大丈夫か? という気分になった。
掲載された村上春樹のエッセイ?は村上春樹的であるし、ちゃんと味わい深い。そこに問題はない。
ただ、短いエッセイを細切れの短文に分解して、1ページに3行とか掲載し、間に微妙な写真を載せて1冊に仕立てるというこのやり方は、ぼくには「水増し」に見える。ついでに短い2編のエッセイを同じやり方でくっつけて見せるやり方も、「さすがにちょっとまずいかな・・・少しおまけしとくか」みたいなあざとい計算を感じる。エッセイと写真を組み合わせるという本書の目論見(あるとして)が成功しているかどうかは読み手次第だから断言はしないが、ぼくは全然ピンとこない。ピンと来ない人は多いと思うのだが、そういう人にも「村上先生のやることなんだから、わかんないほうが問題なんですよ?」と言いたげな編集者の視線を感じる。
被害妄想かな? -
風景の記憶。子供の頃よく遊んだ近所の路地。近所の子供たちと自転車で遠出をして工業地帯の橋の上から見た町の景色。下宿していたアパート横の坂道。とげぬき地蔵商店街。缶ビールを飲みながらよく眺めた大和川の流れ。初めての海外旅行で歩いたソウルの下町。パリの路上で食べた出来たてのワッフル。僕にも使い道のないいろんな記憶が残っている。そこには僕はもういない。あくまでも場所が主役で、僕は一瞬だけそこを通りかかったエキストラのようなものだ。しかしそのエキストラはいろんな舞台に出演している。おもしろいものだ。
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