スカイ・クロラ (中公文庫 も 25-1)

著者 :
  • 中央公論新社
3.62
  • (550)
  • (677)
  • (1112)
  • (144)
  • (39)
本棚登録 : 7137
感想 : 707
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122044289

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 戦争がビジネスとなり民間軍事会社に委託される世界を描いたSF小説、スカイ・クロラシリーズの第1巻です。
    1巻目ですがシリーズの時系列では最後の物語となり、映画化もされましたがそれとは決定的に異なる結末となります。
    一定の秩序は保たれつつも退廃的で不気味な雰囲気を持つ世界、戦闘機乗りの函南優一(カンナミ・ユーヒチ)を中心に物語は進みます。
    新薬実験で偶然誕生した思春期後に不老となる人間“キルドレ”と呼ばれるものがあり、彼もその一人です。
    事故死か病死か自死でしか死ぬことがないため、キルドレの死生観はどんどん簡潔になるか考え抜いて狂ってしまうかのどちらかであるようです。
    不老不死は人類の夢の一つと言えるかもしれませんが、もし技術の進歩により実際となった暁には寧ろ悩みが増えるだけのように思えました。
    矛盾を隠さず臭い物に蓋をしないカンナミの生き方は理想に近いのですが、ここまで達観するには人間性を削るほどの苦しみがあったのでしょう。
    読者によって十人十色の解釈や感想となるであろう考えさせられる一冊。
    2巻にも期待します。

  • 所々に素晴らしい比喩表現や、哲学的な言い回しがあり、感動してしまう。
    物語は決して派手ではないが、登場人物の営みが、読者の好奇心をくすぐってくる。というのも、仕草や表情の描写が巧い。
    一方で『どこか読み飛ばしてるのかな』と感じてしまうほど、登場人物たちの思考について謎が多い。意図的に分かりにくくされているのだが、人物像を把握するための情報が、最後まで出てこないのである。ただ冷たい人物とは言い切れず、どこか哀愁漂う彼らは一体何者なのだろうか。いつから、どこで、誰の為に、何と戦っているのだろうか。

    以下、ネタバレ含む。(備忘録)

    現代に近い時代設定である。戦争は公のビジネスとなり、敵とされる相手と戦っている。そこに国家という枠組みは登場しない。あくまで『敵』という描き方である。
    読者として、戸惑うのは、最後までキルドレってのが何かわからないこと。私は不安で不安で仕方なかった。どこかに伏線はあったのか?説明なんてなかったよな?など自問自答しながらも、最後になってようやく理解できた。
    クサナギスイトについては、人間らしさを覆い隠す何かを感じた。彼女の存在は、キルドレとは、という疑問を更に大きく膨らませる。決して定義付けできない何かを感じずにはいられない。
    主人公はカンナミ。彼の主観で物語は進行するが、常に人物像は曖昧であり、つかみどころのない異質さを感じさせる。というのも、彼はキルドレと言われる遺伝子操作された人間であり、記憶すらも操作された存在であった。
    戦う為に、人間らしさを失っているという表現も出来そうだが、主人公の思考は想像以上に複雑であり難解だ。カンナミの主観で進行する為、他の登場人物の思考の真意は測りかねるが、彼らキルドレにも個性があり、自らの存在と葛藤している様がいくつか登場する。特にミツヤ・ミドリとの対話には、核心とも思えるやり取りが含まれている。
    クサナギの内に秘めた想いとは何だったのか。人間らしさ、大人とは、生きる意味とは一体。
    最後にカンナミの行動は、一見すると不可解な結末を迎えるが、これはどう解釈すべきであろうか。何か救われない感情になる。彼は生まれ変わったんだろうか。

    黒猫(黒豹)シンボルの機体に乗る者は一体。続編があるので、古本屋で見つければ購入してみようと思う。
    よい読書ができました。
    読了。

  • 【自由研究】人はなぜ老いるのか?⑤

    「私は、死にたい。今夜でもOKだよ。ねえ、お願いしたら、殺してくれる?」(本書より)
    ***
    本書は不死の子供〈キルドレ〉を描いたSFですが、不死のためか、登場人物はみんな生への執着が少ないように見えました。
    不死は幸せか?
    考えてみると〈幸せな不死〉になるためにはいろんな条件が必要になりそうです。

    健康であること
    配偶者や家族も健康で不死であること
    世界が平和であること
    ある程度仕事があること
    ある程度お金もあること
    人口爆発の対策があること
    食糧問題も解決されていること
    AIに支配されていないこと
    年長者が老害と言われないこと
    ある程度世代交代も進むこと
    死ぬ権利があること…等々

    不死の世界もなかなか大変そうです‥。
    自分は古いタイプかもしれませんが、死が軽くなると生も軽くなる。と思っています。
    生が軽くなると冒頭のような言葉が出てくるのかもしれません…。

    あと一回続く(予定)

  • 恥ずかしながら、森博嗣先生の作品を拝見したのは今作がはじめてになります。代表作といえばミステリの傑作「すべてがFになる」ですが、このような作品も書かれることを知りました。

    本作「スカイ・クロラ」は、一見戦闘機と少年という若年世代向けに見えますが、実はそこかしこにテーマが散りばめられており、大人に響く寓話テイストの作品ではないでしょうか。というのも、キルドレと呼ばれる「大人にならない少年」を題材にしており、その世界観を存分に生かすことで、大人の知性と少年の矛盾する感情を描くことができているのではないかと思うのです。中でも「僕たち子供の気持ちは、大人には決してわからない。どうしてかっていうと、僕らは理解されることが嫌なんだ」という独白がありまして、これは自身の青春時代と重なるような気がします(当時は言葉にできませんでしたが笑)。このように、不思議な世界観でありながら、どこかメッセージ性が高くなっている印象を持ちました。

    そして、それに花を添えるのは、森先生の高い文章力でしょう。「完成された作家」とあるように、詩のような美しい文章が続きます。表紙の「僕がまだ子供で〜」と続く文を見ただけで購入された方もいらっしゃったかもしれません。

    また、解説の鶴田健司先生が仰っているように、説明がなくスムーズに話が展開されるのも評価されるべき点だと思います。このような説明しない手法は流れが軽やかですが、ときに説明不足を招く可能性もあります。そのような点を一切感じさせないのは、先生の高い実力あってこそだと思います。

    重めのテーマながら、どこか透明感の感じられる「スカイ・クロラ」は、現実から逃避させ、最後に一欠片の教訓のようなものを残してくれます。今困っている人こそ是非、昨今の先行き見通せぬ情勢から逃げ出し、森先生の世界に飛び込んでみましょう。

  • 飛行機の操縦の図解とか見てから読んだ方が楽しめるかも

  • 森博嗣作品との出会い。高校時代に図書室で出会い、何となく読んだ本。大人になり、それが森博嗣作品だと知る。
    今でも理解できていない事が多々ありますが、森博嗣作品は素晴らしい。

  • もりひろしさんの本、シリーズ一作目。
    淡々とかたられる描写には戦争という大きいものに対して何も知らないキルどれからの目線がしっかり書かれている。日常も含め後半に行くにつれどんどん判明していき(複雑さが)明るくなる感じがいい。
    ラストは衝撃だった。個人的に草薙水素が好きだからかも。

  • 人が乗っていても、乗っていなくても、堕ちていくのは飛行機であって、その飛行機の内臓まで考える暇なんてない。

    僕たちは、確かに、退屈凌ぎで戦っている。
    でも……、
    それが、生きる、ということではないかと感じる。

    呼吸さえしていれば、死ぬことはない。食べて、寝て、顔を洗い、歯を磨く。それを繰り返すだけで、たったそれだけで、生きていけるのだ。
    唯一の問題は、何のために生きるのか、ということ。
    生きていることを確かめたかったら、死と比較するしかない、そう思ったからだ。

    どうしてコクピットを開けなかったかって?
    たぶん、死ぬときは、何かに包まれていたかったのだ。
    生まれたときのように。
    そんな死に方が、僕の憧れだから。

    ボールの穴から離れた僕の指は、
    今日の午後、
    二人の人間の命を消したのと同じ指なのだ。
    僕はその指で、
    ハンバーガーも食べるし、
    コーラの紙コップも摑む。
    こういう偶然が許せない人間もきっといるだろう。

    いつ堕ちても良い。
    いつ死んでも良い。
    抵抗があっては、飛べないのだ。

    同じ時代に、今もどこかで誰かが戦っている、という現実感が、人間社会のシステムには不可欠な要素だった。
    本当に死んでいく人がいて、それが報道されて、その悲惨さを見せつけないと、平和を維持していけない。いえ、平和の意味さえ認識できなくなる。

  • 3.6

  • 5月に入って晴れの日が続いて、きれいな青空を見ているとなんだか無性に読みたくなった。以前断片的に見た映画の記憶が、晴れた空の映像が多いものとして頭に残っているからだと思う。
    私は小説を読むときはいつも頭の中にそのシーンが映像で浮かぶのだけれど、このスカイ・クロラはどこを読んでいても、浮かんでくるのは青空だった。先入観と映画の情報があって全く初めて読むとは言えないから、まっさらな状態で浮かんだものではないけれど。そんな青い空の下を飛ぶのは戦闘機で、キルドレと呼ばれる戦死でしか死ぬことのない年をとらない子供たちが戦争をしている。私は飛行機にも戦闘機にも全く明るくないんだけれど、何となくコックピットからの眺めが頭に浮かぶ。描写が詳しくて、寝る前に読むと夢うつつな中で空を飛んでいたりする。読んでいると、飛びたくなる。戦争とは、かなしいもの、なのかもしれないけれど、そんな一言で表すことができるわけないけれど、この物語の中には、戦争に生きる意味を、術を見出している人間がいる。そして戦っていない者でも、何も荷担していないとは言えない、そういう世界なのだ、戦争が起こる世の中とは。そんなことが描かれていた。晴れた空の下に広がる物語は、美しく、どこか寂しかった。

  • 死を内包した物語。

    飛行機は、そもそも死を内包した乗り物である。
    それが戦闘機とくれば、死はますますあからさまになる。
    その飛行機乗りとして子どもを乗せる。
    それがスカイ・クロラの物語の世界である。

    空のシーンとした静けさを感じさせるような文章。
    淡々とかすな息遣いで語られる物語。

    主人公の僕“カンナミ”は草薙水素という女性の上司のもとに赴任する。
    ともに大人になるのを拒否したキルドレ。
    出会いから、恋愛めいた空気がかすかにたちこめる。
    しかし、それは、実は。
    僕は優秀なパイロット。
    注意深く、手順を踏まえて、敵を撃つ。

    物語は飛行シーンと地上シーンとで
    異なる空気感を醸す。
    飛行シーンは精密なマシーンのようにマニアックで静謐な孤独。
    地上シーンは人との関わりの中での孤独。

    キルドレは孤独。
    コクピットも孤独。
    群衆も孤独。

    「理解しようとするほど、遠くなる。
    どうしてかっていうと、理解されることが、僕らは嫌なんだ」

    「死にたいと思ったことがある?」
    「だから、しょっちゅう」

    「電話のベルが鳴ったり、止んだりするみたいなものなんだ」

    「鳴りっぱなしじゃ煩いし、鳴らなかったら、
     電話がどこにあるのか、みんな忘れてしまう」

    そして、キルドレのもう一つの志向は死。

    物語はラストへ静かに加速する。
    フルスロットルで上昇する飛行機のように。

    森博嗣の小説は理科系ミステリーという
    新境地を拓いた。

    理科系の段階的思考を果てしなく積み重ねて。
    あるいは仮説の構築をいくつも繰り返して。
    それらは頭脳の中で。
    そして、熱の少ない、静かな文章を紡ぐ。
    ラストまで一気に。

    静けさ。科学の果てのリリカル。
    それは宇宙飛行士が地球上に戻って見る
    宗教的境地にも似ている。

    このスカイ・クロラは
    空を飛ぶ物語。
    その文章はリリカルで地表を離れて浮遊している。

    カンナミは空を飛んで
    敵を撃ち落とし
    仲間とかすかに触れ合い
    草薙という上司と対峙する。
    永遠は一瞬。
    永遠に大人にならないこと。
    永遠は死。
    大人にならない子どもは
    だから、空を飛ぶ。

  • 虚構のようなフィクションでありながら、
    現実のノンフィクションなんじゃないか、
    とも思えてしまいます。区別がつかない。

    背景もわからず無為に日常を送る。
    意味なんか考えずに皆、無感情に。
    これってすごい怖いことなんじゃ…

    人は生まれて死んでいくという大筋は変えられないとしても、その間をできるだけ有意義にしたいとあがく。そう願う。そうしたいと思う。
    そんな気も起こさず、願うこともせず、決められた相手に、淡々と決められた行動をするしかない、永遠に生き続ける子供、空を這うもの。

    ———キルドレ

    操縦し、索敵し、照準し、追跡し、回避し、撃墜し、被弾し、墜落し、帰還し、飛翔し、飛散し、繰返し、忘却し、終始し、起伏し、唯心し、喪神し、霞みし、迷いし、憂いし、儚い死、短い詩。

  • 森博嗣さんの死生観が見られるのだと感じました。
    あくまでも私の感じたことです。
    まだまだ謎だらけです。

  • 2021/12/01 00:17
    うーん…喜嶋先生の話と同じように、一文一文が簡潔なので、どんどん読み進められる。そして、こちらはもう、最後は詩のようで。
    結局最後まで「子供」と言われているキンドレとはなんなのかよくわからなかったが、おそらく、戦死でなければ死んでも死んでも生き返ってくるのだろう。
    ナ・バ・テアという続編があるそうだから、それも読んでみたいなと思った。
    この作家にも、乙川さんのような、読んでて「ああ、良いなこの言い回し」と思える一文がある。次も出会えるかな。

  • 映画の原作ということでちょっと気をひかれたので、買ってみました。出張のお伴、2冊目。
    (1冊目は「神様からひと言」荻原浩、3,4,5冊目は「グミ・チョコ・パイン」大槻ケンヂです)

    内容はまぁ、それほどわるくもないし、話のひっぱりかたもそれほど嫌味じゃない。飽きずに読めました。
    でもなー、カタカナ語を「伸ばさない」表記が、非常にイライラします。「カウンタ」「シャッタ」というような書き方ですね。IT関係の人の好きな表記法ですが、日常語までこれをやられると違和感があります。こういう人たちがお酒を飲む場所は「バ」なんでしょうか。(「バー」ではなく・・・)
    そうそう、意地悪を言うようですが、一生懸命そうやって書いているわりに、「ラダー」(飛行機の方向舵)は「ラダー」なのでした。ふふん。それもちゃんと「ラダ」にしないとおかしいんじゃないの!?
    というわけで、内容よりも表記法にいらだったので、星3つにします・・・。映画を先に見ればよかったのかなぁ。

  • 読んだという記憶はあったけれど、驚くほど何もおぼえていなかった。読んだ事実が欲しいそういう読み方をしてしまっていたのかもしれない。あるいは自分の中の何かが以前と変わったのかもしれない。ただ今回はとても記憶に残る良い小説だったなと感じた。けれども、もしかしたらこの感想だけが後の記憶に残るのかもしれない。

  • 自分を高いところから見下ろしているような,そんな俯瞰的な視点で思考をする主人公。静かな物語と強い言葉。

  • 『スカイ・クロラ』再読3回目
    JKになってお小遣いアップした記念(?)で大人買いしたシリーズ。
    つぅ…とした感じで起伏があまりないストーリーが相変わらず心地よかった。
    確たる自己を持っていないのに周囲に合わせない主人公に魅力を感じてしまい読むにつれこんな人になりたいと毎度思う。

    2017.7.26(3回目)

  • 映画があったなー、くらいしか知らなかったのですがふとしたきっかけで読もうと思いました。
    なんですかこの世界観は。詳細に説明されるわけではないけれど、徐々に明らかになっていく状況と、真実と、一緒にほぐされていく物語。死ぬってなんだろう、と考えさせられる一冊です。

  • クールを通り越して空虚な少年少女がすがすがしく格好良かった。途切れ途切れで改行で空白の多い文章も良い。こういうのが鼻につく人もいるのも分かるけど、この軽さは無理やり引き伸ばしたからではないと思う。

  • 淡々と話が進んで最後に大事な説明がくる。
    衝撃をうけたというより不意討ちに近いと思うような話だった。
    この話独特の主人公たちの不毛な会話はなんとなく好きかもしれない

  • いつか来る死を予感しながら飛行機を運転している姿が、日本で盲目的に働いているサラリーマンとリンクしました。これから社会へ出るとき、転職を考えているとき、など仕事での価値観を見つめ直す節目を迎えたときに読みたくなる本です。

  • 退屈を凌ぐことが、生きること。
    大人にならない、年をとらないキルドレにとって、生きることと死ぬことは、いることといないこととも捉えることができる。
    死なないことを願う人もいるが、死ねない時には、死ぬことを願うのだろうか。
    昔読んだ本で、死にたくないという感情を持つ時は、何かやり残したことがある時って書いてあった。
    キルドレにとって、飛行機に乗ることも、相手を撃ち落とすことも、ハンバーガーを食べることも、お酒を飲むことも、いつか撃ち落とされるのを待つ間の退屈しのぎでしかないのであれば、死にたいって思う感情は抱き得るのではないか。

  • 映画を見てから前情報なしで読んだので結末が違うことにびっくり。考察サイト等を読むと作品に込めた思いが原作・映画で違うのではないかというものがあり納得。
    説明過多の時代にぼんやりとした設定を用意しつつ深い入りしない点が非常に新鮮であった。
    映画は基本的に原作に忠実であるが何点か相違点がありそういったところを追いながら読むのもまた楽しかった。
    森博嗣の文体やキャラクタは気取った感じがしてそれほど好きじゃないところもあるが、かっこいいなって思わされてしまう妙がある。

  • 何気にこのシリーズだけは読んでいませんでした。買ってから2年ぐらい寝かしてたかな。
    独特の世界観がなのに、スッと理解できるのが面白い。アニメ版の表紙の方を買ってしまったので、青い表紙の方をもう1冊買うか悩み中。

  • 結局物語のテーマを掴みきれずに読み終わった。テーマが全くないというわけではなく、読み手によってそれは違ってくるだろうということ。しかし、たとえ何かしらのテーマを見つけ出したとしても、それを解釈していくのは相当の労力を必要とするだろう。「難しい」とはまた違う感じ。なんだろう。矛盾しているかもしれないが、透明すぎて(眩しすぎて)かえって「見えない」。僕の表現力だとこう表すのが限界だ。

  • 【よく使う言葉だけどこれは終わりの始まり】

    理解しようとすれば、儘撃ち落される。この物語を楽しむコツは風を読んで上手くその風に乗ることだ。

    ひらひら開いては閉じて。
    上と下はなくなって、ただ白いだけの空と、ただ暗いだけの空の間で踊るのは、ワルツ。

  • この透明感溢れる世界観はなんだろう?
    「戦闘機乗り」の特殊な感覚や感情は判らないけれど、「空」を飛びたいという気持ちは素直に共感できる。「地上」に戻りたくないという気持ちも。
    だから、彼(彼女)らは永遠の子供なのだ・・・と思う。

  • 絵画のような風景。映画のような情景。美しい文章と世界観が相まって形作られる世界。大人にならない永遠の子供、キルドレ達を通して、生きるとは何か静かに語りかけてくる。彼等は言う。大人には飛ぶことはできない、と。まだ僕はこのような美しい世界を見たことはない。まだ見れていないのか、それとももう見れないのか。どちらなのだろう。

  • 大人にならない子供達が戦闘機に乗って戦闘を繰り広げる。
    子供なのに肝が座ってるし、私たちより大人な気がするけど…主人公たちは子供だと言い張る。
    森博嗣らしからぬ作品とも言えるけど、キャラ達の言葉には森さんらしい言葉が含まれて、やはり、森さんの作品だと再確認できる。
    ミステリー要素はないが、楽しめた。
    専門用語は出てくるものの、そんなのは関係ないので、十分だった。
    そういうのを気にする人には向かないかも。

全707件中 1 - 30件を表示

著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森博嗣の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×