- Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122048775
感想・レビュー・書評
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建築家ブルーノタウトによる、日本建築の観察から、日本の風土、文化、自然観に思考を巡らした見聞記だろうか。
同感したり、特に感じるだけだったことの心象や価値観の文字化がなされたり。
当時の、風土に根付く建物や習慣の逞しさ、四季の美しさを感じつつ、今の画一的な街並みな建物に落胆する。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ようよう読み終える。
いくらか翻訳者のバイアスを感じつつも、いくつかの論考を詳しく読む。中公文庫版解説の日向邸についての解説が詳細で良き。
翻訳者が哲学者である故なのか、言葉の難しさと日本優位論的になっている感がある。読解には平易な言葉と冷徹な視点が必要なのではないか。 -
230415020
ドイツ人建築家ブルーノタウトが見た日本。日本らしさとは気候とその精神性の顕れであり、その具現化された建築物や庭園を見ることが理解に通じる。 -
正直翻訳部分の日本語がよく理解できない部分もありで真ん中部分が読みづらかったのですが、全体としてはブルーノ・タウトのすごさが伝わってくるものでした。
まず当時のドイツですでに兼好法師が訳され、日本文化の研究がなされ資料が多く存在していたことに驚く。いや、私が無知すぎるのかの知れないけれど。日本のような当時の新興国が先進国について学ぶのはわかる。でも逆に日本のような新興国を研究しようとしていた大国の余裕というか。
で、ある程度の文献を読んでいたにしろ、日本にやってきて間もないタウトが桂離宮をあれだけ深く読み解いて「ここにおいて芸術は意味である」と言い切った慧眼さに感動すら覚える。そして外国人でありながらこれほどまで日本の文化に対して思慮と洞察を持って語りかけてくれたことに敬服せざるを得ない。
この人の目を通して、私は日本文化を知りたい、もっと知りたい。そしてタウトという人間の思考のあり方を学びたい。そう思わせてくれるに十分な一冊だった。 -
日本礼賛本の元締めかと思いきや、比較的フェアな洞察によるものだった。つまるところ、日本にあるよいものとよくないものを腑分けしながら彼はたとえば桂離宮の建築様式に自身の美のあらかじめ完成せられた姿を見出すわけだ。
しかし、現代においては「いかもの」あってこその
日本アニメ文化の爛熟があるかとも思う。
その二つを結びつけている日本文化という大地を
発掘することができたらもっと面白いだろう。
また、昭和初期という戦争に埋もれがちな時代の
日常の住まいを見せてくれる貴重な文章でもある。 -
文化人類学者でも社会学者でもなく、建築家の視点からの日本文化論。80年前のものとは思えない、フレッシュな視点が素晴らしい。
桂離宮のお勉強にもなります。 -
また伊勢神宮に行きたくなった。
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必要から生まれたものこそが本物で美しい。
装飾を目的としたものはいかものである。
たぶん、そういうことを仰っているのだろうと。
修学旅行で見た日光東照宮が大不評で驚いた。
歴史的建造物はすべて美しいと感じなければいけない、と思い込んでいたので、本当の審美眼を持つことが大切なんだなあと感じた。
何を美しいと感じるか、何を評価するかは人それぞれだけど、その基準を強く持つこと、根拠を示せることが重要だと感じた。
陰翳礼讃とセットで置いておきたい。 -
タウト氏にとって、桂離宮と伊勢神宮は日本建築の世界的奇蹟なのである。自分の目でその奇蹟的な美を感じてみたい、と思わせるものがここに論じられている。