- Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122052611
感想・レビュー・書評
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むかーし、読んだことあるような気がする。
タイトル通り、「そして誰もいなくなった」のような展開になるお話でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
題名通り「そして誰もいなくなった」≒私のトラウマのオマージュ作品。名門女子高で行われた劇「そして誰もいなくなった」劇場でマーストン青年役が毒殺。大混乱の中、ロジャース夫人役の生徒が大量の睡眠薬を飲み公園で亡くなっているのが発見される。「見立て殺人の見立て殺人」とも言うべき状況はさらに恐ろしい方向へ進んでいき…。元作品さながら、アップテンポでかなり読みやすい。テーマの方も共通されており、今作ではさらに掘り下げられた印象があります。事件の解決とともに明らかになる真実は重くやるせないですが、ともかく面白い。
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主要登場人物みんなクズというこの作品。
根底にあるのはアガサクリスティーの名作「そして誰もいなくなった」なんですが、作中でも早い段階から言われる【裁かれざる犯罪】が主テーマでしょうか。
もし、何かの拍子に誰かの犯罪行為を目にしてしまったけれど、それが法律で裁けるようなものじゃなかったため、その人は一切のお咎めもなく、普段通りの生活を送っている。
数年後にそんな場合に遭遇してしまったとしても、だからといって、否、だからこそ自分も同じ場所まで堕ちていく必要はないと思うんです。なぜ裁かれざる犯罪者と同じ場所まで進んで堕ちていくのか、そこが引っ掛かりましたが二転三転としていくストーリーに引き込まれました。
で、読了後に私が真っ先に思い浮かべた感想が冒頭の「みんなクズ」です。本当にクズ揃い。最後の告白も同じ場所まで堕ちてきてと言っているのか、私の裁かれざる犯罪を覚えておいてとでも言っているのか考えても答えが出ず気味が悪い。
だけど一番琴線に触れたのは、皆川の独白です。
「恋は幻想に酔ってるだけ。愛は幻想から覚めたときから始まる(本文のママではあらず)」でしたね。自分でも驚きました。推理小説読んでここに揺さぶられるとは。 -
「そして誰もいなくなった」のオマージュとのことで、「そして誰もいなくなった」を読んだことがなくても楽しめるか少し心配して読み始めたがとても楽しんで読むことができました。
文章も読みやすく、最後までどうなるのかわからない展開にワクワクしました。 -
とても読みやすい作品でした。
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#読了 #今邑彩 #そして誰もいなくなる #読書好きな人と繋がりたい
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見立て殺人事件です。
伏線も沢山あり、回収も見事で、なるほどとは思いました。
ただ、最後の方は正直うーん、という感じです。
好みの問題ですが、ほぼ一気読みは間違いないと思います。
内容(「BOOK」データベースより)
名門女子校の式典の最中、演劇部による『そして誰もいなくなった』の舞台上で、服毒死する役の生徒が実際に死亡。上演は中断されたが、その後も部員たちが芝居の筋書き通りの順序と手段で殺されていく。次のターゲットは私!?部長の江島小雪は顧問の向坂典子とともに、姿なき犯人に立ち向かうが…。戦慄の本格ミステリー。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
今邑/彩
1955年(昭和30)年、長野県生まれ。都留文科大学英文科卒。会社勤務を経て、フリーに。1989(平成元)年鮎川哲也賞の前身である「鮎川哲也と13の謎」に応募し13番目の椅子を『卍の殺人』で受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) -
いわゆる古典的な「見立て殺人」をベースに始まる話の展開といい、スタンダードな90年代ミステリ、という印象。96年文庫化の作品とあるけれど、「ダベリング」「とっぽい」「ダイジョウビ」etc.の当時の言葉(同じ作者の「ルームメイト」を読んだときには出てこなかったはず)がちょいちょい挟まれるのでもっと古い時期のものを読んでいる感覚になる。
一貫して「人間の裏の顔」「裁かれない犯罪」「家族・親子の在り方」が軸になっているのと、主要人物達について様々な設定がきちんとなされて話の根幹に繋がっているのでどんでん返し含めて「読みやすい文体なのにかなりの読み応え」が味わえて良かった。