そして誰もいなくなる 改版 (中公文庫 い 74-7)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122052611

感想・レビュー・書評

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  • むかーし、読んだことあるような気がする。
    タイトル通り、「そして誰もいなくなった」のような展開になるお話でした。

  • 十角館の殺人でハマったクリスティの「そして誰もいなくなった」オマージュ作品。今邑彩さんは文体も読みやすいしワクワクしながら読み始めて……



    以下ネタバレ。



    あーなるほどね(笑)犯人が二転三転するわけだ。手を下した人、放置した人、放置する原因を作った人。
    どんでん返し的に面白いけど、終わらせ方が少し残念……な気もするかな。

    まぁ、高城先生がめちゃくちゃいい人でよかった……!登場人物がわりとみんな身勝手で読んでて「おいおい」だったんで(笑)

    てか、加古くんの家賃滞納話は伏線ではなかったのかな……?

  • 題名通り「そして誰もいなくなった」≒私のトラウマのオマージュ作品。名門女子高で行われた劇「そして誰もいなくなった」劇場でマーストン青年役が毒殺。大混乱の中、ロジャース夫人役の生徒が大量の睡眠薬を飲み公園で亡くなっているのが発見される。「見立て殺人の見立て殺人」とも言うべき状況はさらに恐ろしい方向へ進んでいき…。元作品さながら、アップテンポでかなり読みやすい。テーマの方も共通されており、今作ではさらに掘り下げられた印象があります。事件の解決とともに明らかになる真実は重くやるせないですが、ともかく面白い。

  • 主要登場人物みんなクズというこの作品。
    根底にあるのはアガサクリスティーの名作「そして誰もいなくなった」なんですが、作中でも早い段階から言われる【裁かれざる犯罪】が主テーマでしょうか。

    もし、何かの拍子に誰かの犯罪行為を目にしてしまったけれど、それが法律で裁けるようなものじゃなかったため、その人は一切のお咎めもなく、普段通りの生活を送っている。
    数年後にそんな場合に遭遇してしまったとしても、だからといって、否、だからこそ自分も同じ場所まで堕ちていく必要はないと思うんです。なぜ裁かれざる犯罪者と同じ場所まで進んで堕ちていくのか、そこが引っ掛かりましたが二転三転としていくストーリーに引き込まれました。

    で、読了後に私が真っ先に思い浮かべた感想が冒頭の「みんなクズ」です。本当にクズ揃い。最後の告白も同じ場所まで堕ちてきてと言っているのか、私の裁かれざる犯罪を覚えておいてとでも言っているのか考えても答えが出ず気味が悪い。

    だけど一番琴線に触れたのは、皆川の独白です。
    「恋は幻想に酔ってるだけ。愛は幻想から覚めたときから始まる(本文のママではあらず)」でしたね。自分でも驚きました。推理小説読んでここに揺さぶられるとは。

  •  作者自らが「あとがき」でも書いているが,アガサ・クリスティの名作「そして誰もいなくなった」を本歌取りした作品。
     名門女子高の七夕祭の舞台で,「そして誰もいなくなった」の劇が講演されるが,その舞台で,「そして誰もいなくなった」で最初に毒を飲んで死ぬ「アンソニー・マーストン」役の西田エリカが,実際に毒を飲んで死んでしまう。その後,そして誰もいなくなったで死亡する順番に,舞台で演じるはずだった女生徒が死んでいくというストーリー。
     真相は非常に込み入っている。西田エリカを殺害したのは,松木晴美という女生徒。松木晴美は,「そして誰もいなくなった」の劇で,二人目に死ぬ「ロジャース夫人」の役だった。晴美は,西田エリカを殺したかったわけではなく,「そして誰もいなくなった」の劇をぶち壊すために,劇を台無しにしようとして,毒を入れたという(それで青酸カリを入れるなよ…。)。
      晴美は,真相に気付いた江島小雪からの脅迫電話を受け,自殺するが,松木晴美の父である松木憲一郎は,自らの保身のために,晴美の死体を遺棄し,「そして誰もいなくなった」の見立てで連続殺人がされたような偽装をする。
    その後,松木憲一郎は,女子高の教師で,「そして誰もいなくなった」の脚本を書いた向坂典子を共犯として,幻であった「犯人」を用意するために,「そして誰もいなくなった」のとおり,女生徒の殺害を続ける。
     ウォーグレイヴ元判事役の江島小雪という女生徒を殺害する場面で,松木憲一郎が向坂典子を裏切る。
     江島小雪は,皆川という刑事がこの真相を早々に見破った上で,皆川が過去に行った殺人事件の目撃者だった江島が殺害されるまで,松木を逮捕しようとしなかったという事実を突きつける。皆川は自殺する。江島は,自殺をせずに,生き抜くことを近い,渡米するというラスト。
     意外性を追求したあまり,入り込んだストーリーになり過ぎてしまったという印象。設定は面白いのだが,荒唐無稽な部分が多い。こういうむちゃくちゃなエンターテイメントは嫌いではないが,作品としてのレベルはそこまで高くないと思う。★3で。

  • 「そして誰もいなくなった」のオマージュとのことで、「そして誰もいなくなった」を読んだことがなくても楽しめるか少し心配して読み始めたがとても楽しんで読むことができました。
    文章も読みやすく、最後までどうなるのかわからない展開にワクワクしました。

  • とても読みやすい作品でした。

  • #読了 #今邑彩 #そして誰もいなくなる #読書好きな人と繋がりたい 

  • 見立て殺人事件です。
    伏線も沢山あり、回収も見事で、なるほどとは思いました。
    ただ、最後の方は正直うーん、という感じです。
    好みの問題ですが、ほぼ一気読みは間違いないと思います。


    内容(「BOOK」データベースより)
    名門女子校の式典の最中、演劇部による『そして誰もいなくなった』の舞台上で、服毒死する役の生徒が実際に死亡。上演は中断されたが、その後も部員たちが芝居の筋書き通りの順序と手段で殺されていく。次のターゲットは私!?部長の江島小雪は顧問の向坂典子とともに、姿なき犯人に立ち向かうが…。戦慄の本格ミステリー。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    今邑/彩
    1955年(昭和30)年、長野県生まれ。都留文科大学英文科卒。会社勤務を経て、フリーに。1989(平成元)年鮎川哲也賞の前身である「鮎川哲也と13の謎」に応募し13番目の椅子を『卍の殺人』で受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • いわゆる古典的な「見立て殺人」をベースに始まる話の展開といい、スタンダードな90年代ミステリ、という印象。96年文庫化の作品とあるけれど、「ダベリング」「とっぽい」「ダイジョウビ」etc.の当時の言葉(同じ作者の「ルームメイト」を読んだときには出てこなかったはず)がちょいちょい挟まれるのでもっと古い時期のものを読んでいる感覚になる。

    一貫して「人間の裏の顔」「裁かれない犯罪」「家族・親子の在り方」が軸になっているのと、主要人物達について様々な設定がきちんとなされて話の根幹に繋がっているのでどんでん返し含めて「読みやすい文体なのにかなりの読み応え」が味わえて良かった。

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