命もいらず名もいらず 下 明治篇

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  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140055816

感想・レビュー・書評

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  • 幕末で天才・高杉晋作と並んで好きな無私の人「山岡鉄舟」。二人とも『春風』のよう。江戸城無血開城を実質的に地ならしし、天皇の侍従として「忠臣とは山岡の真似をすればよい」と言わしめた鉄舟。
    西郷隆盛の鉄舟評「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、始末に困るものなり。この始末に困る人ならでは、艱難を共にして国家の大業は成し得られぬなり。」は有名だが、鉄舟のいう武士道は、日本の精神的原理、武士だけでなくすべての国民が踏み行うべき道。

    神渡良平「春風を斬る-山岡鉄舟伝」とは違う感覚だが、山兼ならもっと人物を物語として掘り下げて欲しかった。面白い伝記だが、有名なエピソードをちりばめすぎて物語としての面白さには少し欠ける。

  • 明治以降の山岡鉄舟の活躍について。

    タイトルにもなっている「命もいらず名もいらず」というのは西郷隆盛との面会の時のこと。

    愚直に全力を尽くすのみという山岡よりも、賢しい勝海舟のほうが共感できる。

  • 山岡鉄舟の壮絶な生きざまとそれを描ききった山本兼一両氏に感服。

  • 「お腹がすいたら、心を満腹にしなさい。」
    心の底からこんなこと言えるってすごい。
    鉄舟のような人は、身内には欲しくないけど(笑)、人間としては学ぶことが多いなぁ!

    あ、あと、牧の原台地をお茶畑として開墾した人でもあったんだ!
    意外と知らない地元のこと、ひとつ知識が増えました☆

  • 諸事情あって読む時間が取れませんでしたがようやく読破しました。
    上巻のとにかく真っすぐに突き進んでいた鉄舟。それに比べ、どうすれば勝てるのか、どうすれば大悟できるのか、悩み抜いた末に行きついた真っすぐさを手に入れた壮年の鉄舟は、けして揺らぐことのない一本の芯を手に入れていました。
    雑音に囲まれ揺らいでしまいやすい私に、一つの指針を与えてくれたような気がします。

  • <上下あわせた感想>
    山岡鉄舟の生涯を描く。
    上巻は薩長同盟前後まで
    下巻は明治維新〜鉄舟最後の時まで

    何事にも「常に全力を尽くす」姿勢を崩さず、剣、書、禅の道を極め、同時に徳川側としての幕末の始末、新しい明治では天皇の側近として、この難しい時代に采配を振るう。この山岡鉄舟の人のために尽くす真摯な姿勢が最大限の魅力であろう。こんな人が本当に居たのであろうかという程、真面目で情熱的で恐ろしい程の職務をこなしている。ちょっとデキスギ感漂うが...。

    山本兼一の作品は4冊目だが、どれも己の道を究めようと邁進する男の一徹な心を描いている。欲を言えばこの作者は、まじめ一筋の主人公でなく、昔の人は今の日本人よりよっぽどユーモアセンス溢れる愉快な面があったであろう、そういうその時代を生きた生々しい魅力を加えると、もっと深みが増すように思う。

  •  上巻が如何に修行した、ということに対し下巻は如何に修行をさせたのか、ということがテーマかと思って楽しみに読んだ。

     まあ面白かったが
    もう少し西南戦争の西郷隆盛との話や明治天皇との話を書いてほしかった気もします。 

     鉄舟のイデオロギーを如何に磨き上げたか、ということは細かく書かれていたが、組織にどう生かしたかというのがいささか物足りなく思いました。

  • この豪快な人物について自分は書家くらいの印象しかなかった事を恥じる。今の世に山岡鉄舟がいたら何と言うだろう。
    嘆くか、落胆するか...いやとてつもない力を発揮し国を動かすであろう。歴史は言ったモノ勝ちなのか?勝海舟は時流を旨く見極め乗った男であったか。
    そして何よりも鉄舟の妻、英子を讃えたい。

  • 激動の時代を生きた山岡鉄舟の物語下巻。下巻では新たな時代が生まれ行く日本の中での鉄舟が描かれており、さらに西郷隆盛、勝海舟、清水次郎長、そして明治天皇まで、この時代の役者たちが勢揃いだ。

    どんな相手にも心でぶつかって腹で話せば分かる。それは剣・禅・書を極めることによってはもちろん、何より鉄舟の人柄がその態度に滲み出ている。

    この時代を築いてきた鉄舟たちのような熱い志、これが今の時代にもあれば…と思ってしまう。
    最後の武士の姿とは何か。正座して読ませていただきました。

    ちなみに。
    木村屋のあんぱんを食べ、その看板を今一度よく見たくなります。

  • 913.6 ヤ 登録番号8307

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著者プロフィール

歴史・時代小説作家。1956年京都生まれ。同志社大学文学部を卒業後、出版社勤務を経てフリーのライターとなる。88年「信長を撃つ」で作家デビュー。99年「弾正の鷹」で小説NON短編時代小説賞、2001年『火天の城』で松本清張賞、09年『利休にたずねよ』で第140回直木賞を受賞。

「2022年 『夫婦商売 時代小説アンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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