- Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150114589
感想・レビュー・書評
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映画『メッセージ』(原題は Arrival )の原作。先に映画を観ていたのである程度のイメージを持ちながら読んだが、かなり難解。その難解な部分を紐解く物語だと思うけれど、正直言ってうまく行っているようには思えない。次作に期待というところか。
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おもしろい!理系脳を持ち合わせていないので、理解が追いつかず、時間がかかるのは、私に問題あり!単なるSFじゃない「近い未来」のはなし
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映画を観たかったのだけど、観損ねたので。短編集とは知らなかった。え、これを映画にしたの? どうやって? とさらに映画が気になる罠でした。たぶん、わりと、理解が追いついていないけど、どの短編も発想がすごくてぞくぞくしました。面白かったー。SFは読む気になれない、と思っていた過去の自分に、こんなに面白い世界があるんだぞ、と教えてあげたい。
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表紙からして全力で宣伝をかけている通り、映画「メッセージ」の原作である表題作「あなたの人生の物語」をふくむSF短編集。この作品がこの1冊に占める割合はそんなに多くないので、まずこの分量を良く映画にしたな、と思うはずだ。
SF、というと我々が生活している実社会とは大きく離れた世界観や科学技術を取り入れるイメージが強いだろうが、収録作品の多くは実社会をベースにしており、また科学についても世界観に影響を与える前段階、「その技術の誕生により世界がどう変容するか」という描き方をしているように思う。つまるところ、我々が実際に生活する社会のif思考実験だ。
そして、多くの作品においてその題材は、「人間の認知」と「世界(科学技術をふくむ)」のやり取りをテーマとして描き出しているように思う。科学技術や世界観の変化によって、人の認知の枠組みは変容するのか。人がそれまでと異なる認知をし始めたとき、世界に対してどのような影響を及ぼすのか。そのような問いが現実感を伴って書かれているのを読むとき、我々は実際にそのような変容があったら自分はどうするのか、と思わずにはいられないだろう。
そうして考えていくうちに、きっと気が付くはずだ。フィクションレベルまで行かなくとも、現実の社会においてある程度この作品を読むことによって得た「認知」が、現実の社会における生き方にも影響を与えているということに。
それほどの力を持った作品であるので、多くの人に読んでもらいたいとは思う。が、いかんせん文が難しい。ある程度「学問」というもののイメージが付いていないと、作品の特性上学者が出てきて、彼らが話すことがどう論理的なのか判別しにくくなるだろう。自分で学問を始められる大学生辺りからチャレンジしてほしい。 -
SFは苦手で、10年前に読んだ「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」が最後。そんな私ですが、読書会で推薦された本書は、とても楽しめました。
本書は8編の短編小説集。表題作は「メッセージ」(2015年/監督 D・ヴィルヌーヴ)の原作。映画は地球外生命体と言語学者の交流を描きますが、時折、言語学者の娘との思い出がフラッシュバックされ、異色の娯楽映画として楽しめました。ただ、設定が馴染みにくく、鑑賞後は複雑な印象も受けました。今回、本書を手に取ったのは、原作を読んでこのもやもやを払拭したかったのも理由です。
映画は概ね原作をなぞっていると思います。小説は地球外生命体ヘプタポッドの言語体系を詳細に記述しています。発話言語であるヘプタポッドA、書法体系であるヘプタポッドBとふたつの言語体系から構成され、AとBは全く異なり、二次元的構造の言語です。本書で再確認できたのは、ヘプタポッドBで筆記を行う際、書き手は書きはじめた段階で文章の結末を知っていなくてはならないということ。「あなたの人生」はヘプタポッドBの書式で書かれているということですね。もう一度、「メッセージ」を見たくなりました。
映画を見ていたので、娘との思い出が未来形で書かれていることには素直に入れたと思います。娯楽性の高い小説ですが、ヘプタポッドと物理学者とのコンタクト成功がフェルマーの定理をきっかけとすることなど、ある程度集中しないと本書は楽しめないかもしれません。ただ、集中する価値は十分にあります。また、私のような文系でも理解できます。
8編の短編小説のうち気に入ったのは「バビロンの塔」と「地獄とは神の不在なり」。特に後者はショートショートを短編の文学作品に昇華させてような印象で読み応えがありました。
お勧めのSF短編小説集。前に書いた通り、集中できる環境でお読みください。なお、「理解」と「ゼロで割る」は私にはハードルが高すぎました。 -
SF短編集。
映画「メッセージ」のなかなか深い世界観がよかったので、原作も読んでみようと思って。
著者はアメリカ人だが、中国系移民の子息だという。
著者のデビュー作でもあるらしい冒頭の「バビロンの塔」は、映画「メッセージ」とも近い、時空を極めて行くと元いたところに繋がっているというテーマか。太極(大いなる極みはつまり無窮に通じる)や陰陽(陽は陰を生み、陰はまた陽を生む)といった中国的思想を反映しているのかも。
表題作で、映画の原作となった「あなたの人生の物語」は、映画と違って(映画はやっぱりアクション要素も必要だろうしね)、過去・現在・未来がただそこにあるものとして描かれている。独特の寂寥感が意外と心地よかった。
一方、「名辞」で泥人形を操る(「七十二文字」)、天使(神)の実在(「地獄とは神の不在なり」)、美醜失認処置(「顔の美醜について」)など、著者独特の世界設定による作品は終止違和感があった、というか気持ち悪かった。こちらは一神教的価値観に楔を打ち込んでいる・・・と思うのはカンタンすぎる解釈だろうか。
著者はまた、物理学やコンピュータ科学の学位を持っているという。SFも「空想科学小説」の枠を超えて、こうした専門知識なくしては描けなくなっているジャンルなんだろうな。 -
へー、こんな難解な単語で溢れた説明を、よくこうもすんなりと理解させてくれるのだなぁ
というのが直感的な衝撃。
時系列でない段落構成は、メインテーマを伝える方法としてその効果が作品の最後に明確になり、そしてそれらが表すメインテーマは、温かいぬくもりをもって昇華して行きました。 -
あまり意識はしなかったのだけれど、テッド・チャンの小説は私の嗜好に合致していて読んでいて気持ちよい。というのも、氏の作品は一口にSFとは言い切れない、ファンタジーや歴史的要素が多分に含まれたものだからだと思う。
個人的には巻頭の「バビロンの塔」が一番面白かった。バビロンの塔をどんどん建てていく人々が、バビロン的な世界観のなかで天の頂上に達し、そのさらに上を目指すとき、そこに神はいたのかという話。不思議な読書体験だったし、こういう語り口があるのかと感嘆した。
惜しむらくはテッド・チャンが非常に寡作な作家だということ。一冊でファンになってしまいました。-
「惜しむらくはテッド・チャンが非常に」
そうですねぇ~
チャンが読みたくて「ここがウィネトカなら、きみはジュディ」(商人と錬金術師の門)を買...「惜しむらくはテッド・チャンが非常に」
そうですねぇ~
チャンが読みたくて「ここがウィネトカなら、きみはジュディ」(商人と錬金術師の門)を買いましたよ。2012/04/11 -
nyancomaruさん、コメントありがとうございます。『商人と錬金術師の門』はわたしも読みました! 本当に味わい深いSFを書く人だなぁと思...nyancomaruさん、コメントありがとうございます。『商人と錬金術師の門』はわたしも読みました! 本当に味わい深いSFを書く人だなぁと思います。2012/05/10
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難しいけど、頑張って読んだ。社会人になって友達が1人もいないから研修中でも読んだ。この本を思い出すとこの悲しい思い出も思い出してしまうんだろうか。