コロロギ岳から木星トロヤへ (ハヤカワ文庫 JA オ 6-20)

著者 :
  • 早川書房
3.65
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本棚登録 : 710
感想 : 87
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150311049

感想・レビュー・書評

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  • あ。これすげー好きかも。
    時間モノSFとしては突っ込みどころも多そうだけど、2014年と200年未来とのやりとり。限られた登場人物で、清潔感あふれるストーリー。や、おもしろかった。

  • 小川一水なので一定のレベルは期待しちゃう。その意味で、まあ、さくさく読める佳作ってとこ。
    現代側主人公の行動動機がミソ。「ピアピア動画」とも通じる、真の意味での「応援」だと思う(笑)。ある意味新しい動機かも。
    でも途中でそれを捨てる、そこが小川一水。

  • 未来の男の子と、現在の女性ということで
    『未来(あした)のおもいで』(梶尾真治先生)
    のような話かと思っていたら、全然違った。
    時間と空間を超えて、というより人類の認識と
    まったく異なる概念の中に存在する生物(?)を通して
    人が地球を守るため、
    かつ赤の他人を助けるために知恵を絞ったり、
    かる~く、ゆるやかに、やさしく奮闘する
    ハードSFライトノベル・ブレンド。
    もうちょっとSF側で書き込んでページ数が増えれば、
    もうちょっとライト側で男子二人の関係や
    それに萌える女性二人の妄想を書き込めば、
    チョッと引いたかも。最後まで楽しく読みましょう。

  • 設定はバリッバリのSFだけど、語り口調はライトで、要点はといえばファンタジー。

    謎の生き物?が次元にひっかかってしまった(か何かそんな感じ)ために、現代の地球と200年後の惑星トロヤがつながってしまい、現代の女性が中心となって死の危機に瀕している200年後の2人の少年たちを救う物語。

    タイムパラドックスを扱うのに、本人たちはまったく移動しない、というのが斬新です。やってることは、要するに200年にわたって見も知らぬ人間の善意に頼り続けること、なんですが、時間という枠内での矛盾を取り除くためのあれやこれや、などは、しっかり本格的なSFだなあと思うし、救出の手段にはひとつひとつ細やかな伏線が貼られているなあと思います。

    思うけど、200年間、誰も何も疑わず、手間暇を惜しまず、本当かどうかすらわからない理屈で、ただの少年の救出劇に取り組むかなあ、という根本に疑問を持ってしまうと・・・だいなし、なんですよね。でも、そんなこと(といっては失礼ですが、少年たちの自業自得ともいえる行動)のために、人類がやれることの範囲を超えてるような気がするよ。

    だからこそ、「敬虔で優しい気持ち」が大事なのですよね。それを前面に押し出しているところが、ファンタジー。誰もが、そういう気持ちをもてるはず、ということ。

    それって本当は、とてもとても大切なことだと思う。だからこそ、この物語は、そこを強調して書かれているのでしょう。

    「そんなうまくいかないよ」そう思いながらも読み進めれば、きれいで透き通ってやさしい気持ちになれます。

  • 2014年、北アルプス・コロロギ岳山頂観測所。太陽観測に従事する岳樺(たけかんば)百葉の前に突然現れたのは、巨大な紫蘇大根だった。

    一方2231年、木星前方トロヤ群・小惑星アキレスでは宇宙戦艦に忍び込んだ少年リュセージとワランキが艦内に閉じ込められる事態に遭遇していた。

    時間蛇ってぐらいだから蛇なのよね? でも大根なのね⁇ どっちかってーとツチノコっぽいんだけど。

    人間が出来ることなんてちっぽけな事なんだろうけど、それでも未来を変えていくチカラがあるんだと信じたい。カイアクにも大雑把だけど伝わったみたいだし。

    敬虔で優しい気持ち、かな。

    百葉ちゃんと煌海(こうみ)さんのBL仲間っぷりがまた、よし。

  • オタ心への配慮が超行き届いてた。カイアクによるSF的世界観を理解できるだけの頭脳がないため、放り出しそうになったところを引き止めてくれました。共感しまくりです。

    最初に出てきた「敬虔で優しい気持ち」がとても心に馴染んだ。
    なんで腐女子って思う部分もあったけど、要するに想像力が大事ってことじゃない?「200年後にいる2人を救え!」じゃ漠然としてるけど、腐った想像力によって「そこにちゃんといる」感が出る。
    ちゃんとテーマに絡んでる…、ような気がしてきませんか?

  • 壮大でかつとてもちっちゃな話。すごくおもしろい。
    人間以外の心情や社会を書かせたら右に出るものはないね。今回は想像を越える生物…でいいんだよね…だったけど。

  • 読後すっきり感ばっちりです。
    この方らしい、読者にやさしいSFでした!
    時間の流れをネタにしたもの。斬新な設定でしたが堅苦しいとこなく、キャラクターたちがみなフワリとした優しさがありました。蛇もね。蛇が一番かもしれない。
    軽く読める一冊。軽さゆえに☆3つ。

  • 小川一水さん、初体験。タイムリミットSF。
    時の楔を移動する不思議な生命体がきっかけ。現在と未来の時間がつながるって、こんな感じになるのかな、と想像させてくれるお話。
    どんなことも、きっかけ(楔)があればこそ。いい楔が見つけられれば、壊さず大切にしていけたら。
    でも、気づいてない楔は…どうしようもないよね。

  • 概念だけでできてるようなものが登場するSF。いながらにしてその場その場でタイムパラドックスを体験、解消するというのがなかなか新しい。面白いSFだとおもう。
    ほっとくと死ぬ、の理由が、この時代の日本人ならわかる、っていう下りは、なんていうか、ねえ。まあ日本人はみんなそれ以前も知ってたからいいか。

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著者プロフィール

’75年岐阜県生まれ。’96年、河出智紀名義『まずは一報ポプラパレスより』でデビュー。’04年『第六大陸』で、’14年『コロロギ岳から木星トロヤへ』で星雲賞日本長編部門、’06年「漂った男」で、’11年「アリスマ王の愛した魔物」で星雲賞日本短編部門、’20年『天冥の標』で日本SF大賞を受賞。最新作は『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2』。

「2022年 『ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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