青列車の秘密 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151300059

感想・レビュー・書評

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  • 有力な容疑者であるデリク、ドラローシュ伯爵がいるが、おそらく二人は犯人ではないのだろうと予測を立てながら読み進めた。途中から犯人かな?と思う人物も出てきたが、アポロの発言で「やっぱり違うのかな?」と悩み、読破した。犯人が本気の恋をしてしまうという衝撃的な結末だった。色々納得できない点もあるがアガサ・クリスティーらしい話の流れかなとも思う。

  • 男女関係が複雑に絡まった物語という印象

    個人的に犯人であってほしくなかった人が犯人で悲しかった

  • ブルー・トレインで富豪の娘ルースが殺された。しかも直前に父から送られた高価なルビーが盗まれていた。 そこにイギリスのセント・メアリー・ミード村!で10年間コンパニオンをしていた老夫人が亡くなったため遺産を貰ったキャサリンがルースと偶然会話した女性として登場する。

    自伝には出来に不満だったと書いてあったが犯人は夫か、結婚前の恋人か? はては? と推理しながら読む、そしてルビーの行方は? キャサリンは幸せになれるのか?(なんたってポワロが応援している) 先に読みたくてうずうずする読書感があった。 

    ミレーユというダンサーの描写が辛辣。美貌でルースの夫デリクの愛人なのだが、デリクがキャサリンに惹かれミレーユを振ると、「今まで男は私が振ってきた、なのに初めて男に振られた。これは許せない」というセリフを吐かせ、振る舞いも下品に描いている。

    キャサリンのセント・メアリー・ミード村での二度目の主人は老婦人で新聞切抜をしている。ミス・マープルの片鱗あり?

    1930年代はある階級にとっては遺産が大きな意味があったんだなあ。クリスティの作品では遺産の行方が犯罪の大きな理由になっている。使用人を「この階級の人」などと表し、イギリスの階級感が垣間見られる。

    クリスティが離婚で悩みカナリア諸島に娘と秘書で滞在して仕上げた本。書きたくなくても書く、この本でアマチュアからプロに転じた瞬間だったと書いている。

    1933発表
    2004.7.15発行 2008.8.31第3刷 図書館

  • 楽しく読めたけど、全体的に情報が拡散してて焦点が合わない感じ。読後に、あれはどうなったんだっけ?と消化不良に陥った。宝石が入った赤いスーツケースはどこにいったのか??図書館に返却したので確認できない、、

    キャサリン、、聡明な女性ですが、結局ワルな人を選んでしまうのね、、と残念な気持ちになった。もっとキャサリンに選択肢をーー!!笑


    この小説ではポワロの優しさが印象的だった。女性として自分に自信が持てない人に優しいんだよなぁ。
    パポポラスの娘ジアやレノックスタンプリン。
    灰色の脳細胞を持ち、本作でも誰の言葉も信じない、というポワロとは別のパパポアロの顔。


    ただこの小説って、結局、女性は男性によって幸せが決まり、そして大概相手を見極める力が無い、、って言ってるような気がした。アガサクリスティが書きたかったことなのかなぁ?

    そしてミレーユは最終的に宝石ゲット。一番得してたりして、、

  • 最近BSで放送されたデビッド・ポワロのカーテンを見て、ちょっと、いえいえ、かなりショックを受けてから初めて読むポワロ作品です。

    読んでいる最中、本作で事件の関係者達を楽しそうにつついて回ったり、得意げに「プレシゼマン!」と呟くエルキュール・ポワロの姿とあまりに乖離したカーテンでの姿彼のを思い出して、一人しんみりとしてしまいました。

    さて、アンニュイ気分は置いといて、本編感想です。
    事件は大富豪の娘が豪華列車の個室内で惨殺され、「偶然」別の個室を取っていた彼女の夫が第一容疑者となる、というミステリのテンプレとも言うべき導入部。
    更にその列車に「偶然」にも居合わせたポワロが、娘を亡くした大富豪の依頼を受けて事件捜査に乗り出します。
    列車での旅の途上、「偶然」にも被害者と言葉を交わすことになったある女性と、容疑者である夫、その愛人、富豪の執事、四者四様の愛憎渦巻くドロドロ四角関係いっちょ上がりで事件はより一層複雑な様相を呈するのでは~!

    かと思いきや、夫の愛人以外、恋愛方面は意外にピュアだった(笑)。
    「私を捨てて別の女とくっつこうったってそうはいかないわ!おまわりさーん!この人、奥さんが死ねば金が入るって言ってました!」と密告しまくり・裏で糸引きまくりな愛人。
    そんな彼女を横目に(かわいそう笑)、残る男女三人は、「初心かよ!」と突っ込みを入れたくなるほどのぎこちないラブ展開を見せます。ミステリに恋愛要素は蛇足だと思っている私も、「どっちを選ぶのかしら…大穴で全然関係ないあの男だったりしたら面白いな…」とまんまとミステリ以外の部分の展開に食いついてしまいました。

    そんな愉快な人間模様が描かれる中、我らがポワロは勿論蚊帳の外で高みの見物です\(^o^)/いつもどーり
    雑怪奇な事件関係者達の間を素知らぬ顔でスイスイと泳ぎながら、華麗な種明かしで喝采を受ける。探偵とは須らくかくあるべし、を地で行くポワロなのでした。
    ただ、「彼」=「ある人物」と考えたのはちょっと飛んだ感じがするかなあ〜。
    自分の探偵としての手腕に対する依頼主の不信感を払しょくするやり口が、なかなかナルシストだったのが可笑しくも愛しかったです。カーテンを見た直後だったので、余計に…(涙)。

    ミステリとしては「意外な犯人」ものになるかなあ。ただ、十戒や二十則な照らし合わせると、アンフェアギリギリと言わざるを得ませんし、クリスティの作品としては及第点以上の評価はなかなかつけ辛いかもしれません。

    個人的には、ドラマ版カーテンを見た直後に読んだ作品ということで、普段のポワロ作品とは違った味わい方ができたのが嬉しかったなー\(^o^)/


    最近サボりがちな気がしますが、またまたAmazon先生から引用でっす\(^o^)/

    走行中の豪華列車“ブルー・トレイン”内で起きた陰惨な強盗殺人。警察は被害者の別居中の夫を逮捕した。必死に弁明する夫だが、妻の客室に入るところを目撃されているのだ。だが、偶然同じ列車に乗り合わせたことから、事件の調査を依頼されたポアロが示した犯人は意外な人物だった!新訳でおくる初期の意欲作。

  • 推理小説ではなく恋愛小説として楽しんでしまいました。
    恋愛小説としてだと消化不良ですけどね!
    ただ、どこの2時間ドラマスペシャルだよ!というツッコミには誰か賛同してくれると信じてます。
    ミステリではあるけれど、どちらかといえばロマンスサスペンスな感じです。

    グレーさんが良い人過ぎて見習いたいところが沢山ありました。この人の様子をもっと見たかったです。そして恋の行方を!引導渡したのかどうなのかはっきりとした結末が知りたかったですよ!!男共はダメ男集大成でイラッときましたよ!!不倫ダメ絶対!

  • <アガサ・クリスティーをプロの作家にした作品>


     年末、なつかしのポワロやマープルのドラマをまとめ鑑賞したのです。楽しかったな~♪ しかし、何作かの原作をぽつぽつ読み直したら、ドラマって変更された箇所がかなりあるんだなと気づきました。
    『青列車の秘密』も、ドラマ版には絵的に盛り上がるようなアクションが盛りこまれていて、「ふむふむ、映像の手法ではそういう方向に持っていくのだなぁ★」なんて感じることになりました。

     事件は、ハイソな方々が乗り合わせた寝台列車での殺人です。青列車をブルートレインと訳されると途端にガクッ★ と来てしまうのですけどね。西村○太郎……?
     限られた空間での犯行。一癖も二癖もありそうな客たちが織り成す人間模様。居合わせた名探偵エルキュール・ポアロが、謎を解き明かします。

     面白いことに(?)、殺しのあとで、乗客たちはあれよあれよというまに青列車を降りていってしまいます。捜査には結構な時間がかかり、その間に、ヒロインをめぐる魅力的な恋物語が開幕します☆
     ロマンティックでどきどきもするけど、「えっと、これでいいの?」とはらはらもするし、何だか呑気!? という印象を受けなくもない。そこが面白いんだけどね★

     その一方で、事件の内容はきわめて残忍なもの。ルスは首を締められた上で顔を殴られ殺され、宝石も強奪されたのです。貴婦人の顔面を殴打、という凶行は異様です!
     宝石の名が「炎の心臓」というのも、何だか忘れられません。心臓を抜かれてレディの命が止まった……。強いインパクトが残ります。

     最初は自分の好みや思いつきからタイプライターに向かっていた女性が、次作に期待をかけられる作家に変わった。展開にどこか荒っぽさが見当たるけれども、ここからアガサ・クリスティーは本物の作家へと羽化していったのだなと思いを馳せました。
     青列車に乗って、クリスティーもまた旅に出たのですね。職業ミステリ作家としての長い旅に☆

  • 作者から最も嫌われた作品。
    「ずっといやでたまらなかった」
    「月並みで、きまり文句いっぱいで、
     筋もおもしろくない」
    でもそんなに悪くない……
    いや、かなりいいですよ。

    まあ確かに
    「まるでそれは、あの危険な女豹のようだった」
    なんていう文章は恥かしい。
    それにこんなに長くする必要はないよね。

    聡明なヒロイン、キャザリン・グレイの登場で
    物語がぐっとひきしまる。

    第7章、舞台はセント・メアリ・ミード。
    どこかで聞いたことのある村ですが、
    勤め先の老婦人から遺産を相続したキャザリンは
    親族から無心状を受け取ります。
    (親族が何度も手紙を書き直すくだりがおかしい)

    この強欲な申し出にも、彼女は腹を立てない。
    「べつにあつかましいというほどのものではありませんわ。
    こういう際には、こういう手紙を書くのが、
    人情ではないでしょうか」
    そう、人情。「東京物語」の杉村春子を思い出す。
    あの自分勝手で、なおかつ憎めない長女……。
    人生最悪のときにこう書けたクリスティーが好きだ。

    作家の自己評価はあてにならない。
    もっとひどい小説、ほかにもあるでしょ。
    (どれとは言わないけど『ビッグ4』とか)

    旧版は田村隆一さんの訳者あとがき。
    青列車についてさらっとふれているだけ。
    それなのに、乗せられてしまう。

    「一九七九年の春、ぼくはパリでブランデイばかり飲んで歩いていたから、
     「青列車」のことなど、頭に浮んでこなかった」

    名調子、なんですねえ。

    「とにかく、読者諸君諸嬢よ、
    ぼくと一緒に、「青列車」に乗ってみませんか」

    新版は北上次郎さんの解説。
    「私がはじめてクリスティーを読んだのは」構文と、
    冒険スリラーの思い出。
    北上さんは、新しい才能を発掘したり
    同時代の作家の変化を見つめたりする分には
    すばらしいんだけど、
    既成の大作家にはうまく距離をとれない。
    「私」を出しすぎるのです。

    この人はよくも悪くも、
    娯楽小説界の平野謙なんですね。
    肝は時評にあり、繰り言が多い。
    旧版の勝ちです。

  • 推理小説としての面白さはもちろんだけど、終盤、そこに登場する人物の選択、品の良さは物語として本当に素晴らしいと思う。

  •  青列車の秘密
     クリスティの長編ミステリー。ポアロシリーズ。
    ブルートレイン車内で発生した宝石「火の心臓」を巡る盗難事件とアメリカ人令嬢の殺人事件の謎。単純な殺人事件の調査だけではなくイギリスで有名な宝石泥棒「侯爵」に繋がる事件。
     クリスティ作品において冒険ものは沢山あるが、今作は冒険的な部分と殺人による捜査、推理のパートのバランスがよくスリリングに物語が進行していく。上手く言えないが構成も現代的な印象があり、まずは宝石商と購入した人物のやりとりからスタートする。
     他のシリーズに比べてポアロの性格や人間関係がとてもよくわかる作品で、様々な分野の上位の人物に顔がきき、捜査の合間に恐ろしさを見せる等、とても表情豊かだ。最後、宝石商がポアロを悪魔だと形容するが、今回の様に事件の時間が経過していってもポアロは強かに情報を集め、事象を整理し確実に犯人を捕まえる様子は犯罪者から見れば誠に悪魔の様だ。(今回も侯爵を事件のあったブルートレインまで引っ張り出し、罠に嵌め誰も正体すら掴めなかった人物を見事に捕まえている。)
    ポアロの内面も垣間見れた様なきがする。泥棒に恋するのは構わないが、殺人者はダメだ。というキャサリンへの言葉は少しだけ哀愁を感じてしまった。そして今作にも恋する女性、お金がなくてギャンブル好きの不良か、真面目で面白みのない金持ちの秘書か、という二択があった訳だが、必然、どちらかが犯人だろうと勘繰ってしまう(クリスティ作品ではお馴染みだ。)いずれにせよ他作と同様に女性達は幸せになる様な結末が予想できる。
     余談だがポアロの執事であるジョージにスポットが当たっており、普段以上に彼の知的な部分を知る事ができる。
     全体的にとても面白い作品だった。記憶が定かではないが、おそらくこの作品は3番目が4番目位に読んだ作品で当時は余り印象に残らなかったが、改めて読んでとても素晴らしい作品だと印象が変わった作品だ。

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