ポアロのクリスマス (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 早川書房
3.67
  • (56)
  • (129)
  • (145)
  • (7)
  • (3)
本棚登録 : 1130
感想 : 121
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (473ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151300172

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • いつもよりポワロが控えめ。

    クリスマスって入ってる割には、あんまりクリスマスっぽくない。
    犯人が意外と意外。

  • 独身の癖(?)に恋人に優しいポアロ。
    自信家で人をからかうのが好きなポアロ。
    だからこそ、あの場面を読み返すと、一際凄みが際立つ。
    犯人支点で読み返すと、胸が詰まる。

  • 読んでて犯人とポアロの絡みがぼやけてて、何だかおかしいなとは思ってたけど、なるほどねっ!って感じ。

  • 終わり方がすごく好きだった、な ぜ か !

    杉の柩は途中で止めちゃったので、この作品が初めて最後まで読みとおしたクリスティー作品。

  • 黄金時代のどうってことない秀作です。
    どうってことないレベルでもここまで書けるのが
    この時期のクリスティーのすごさ。

    また、彼女の長編ではほとんど唯一の密室殺人。
    (短編では「バクダッドの大棺の謎」等があります)
    このトリックはドラマで観た方が頭に入りやすいかも。

    話の大筋は典型的すぎるほど典型的。
    前作『死との約束』と酷似しています。
    リディアが死海の箱庭を作っているのは偶然?

    専制的な家長(前回は母、今回は父)のもと、
    一族が集まり、家長が殺される。
    動機は怨恨か、それとも遺産目当てか……。

    アガサ・クリスティーと聞いて
    多くの人が連想するパターンですが、
    この手の話にA級作品は
    案外少ないんじゃないでしょうか。

    代表作とされる『アクロイド』も
    『オリエント』も『ABC』も違うし、
    通好みの『五匹の子豚』『ホロー荘の殺人』
    『鏡は横にひび割れて』『杉の棺』
    といったあたりもこのパターンではない。
    辛うじて『ゼロ時間へ』が該当するかな?
    『葬儀を終えて』だって結局は……
    まあそれはいいとして。

    この話は「これぞクリスティー」な
    お膳立てがそろっている、というか、
    自分で自分をなぞっているみたいです。
    そのあたりが「黄金期の黄昏」
    という印象を強くしているのでしょう。
    (次の『杉の棺』では心理描写を深め、
     円熟期に入っていったような気がする)

    でてくるのは
    「決して親に逆らわない孝行息子」であり
    「浪費するしか能がない美人妻」であり
    「植民地帰りの快活な青年」であり……

    すがすがしいほどに、底が浅い。
    記憶に残る登場人物なんていやしない。

    そして……その底の浅さが
    「丁度いい」んですよね。

    彼女は「引き」が天才的に上手かった。
    なにかが確実におきるだろう、
    という予感を常に漂わせながら
    読者をひっぱり、
    次々と登場人物を登場させては
    殺人舞台へと送り込む。

    容疑者が徐々に集結する、
    このじらしの美学!

    絶対にこいつが殺されるだろう、
    という人が容疑者たちをいびり、
    動機をちらちら見せては、ひっこめる。

    「ああ、いつ起こるかな?
     煮立ってきた、煮立ってきた、
     もうすぐ殺人だ、あと少し!」

    読者はじらされじらされ、
    実際に殺人が起きたときには、
    半分も読み終えていないのに
    すでにカタルシスを覚えている。

    最後まで読んだら
    「名探偵みなを集めてさてと言い」
    があり、これが二度目のカタルシス。
    一粒で二度おいしいとは、まさにこのこと!

    でさ、話の構造だけで
    十二分にドラマティックなんだから、
    いちいち重厚な描写してたら
    ページがいくらあっても足りないんですよ。

    近年の分厚い重厚路線のミステリの中には
    何度も読み返せる魅力を持ったいい小説がある。
    それはそうなんだけど、
    おつまみみたいに
    ぱぱっと読み飛ばすことはできませんよね。

    そして! ミステリの女王は
    また会いたくなる登場人物、
    また聞きたくなる会話も
    (時々だけど)用意している。
    伏線もうまいから、読み返さずにはいられない。

    クリスティーは
    「読み飛ばすことも、読み返すこともできる」
    性質を持った稀有な作家です。
    こんな人滅多にいない。

    旧版は浅田寛厚さんの解説。
    我々には向うのクリスマスは羨ましく見える、
    しかしクリスティーはそこにひそむ
    偽善と悪意も見抜いている、という話。

    新版は霞流一さんの解説。
    意外と、といっては失礼だけど
    意外とまともな解説。

    まずクリスマスがらみのミステリを列挙。
    『サンタクロース殺人事件』は知らなかったなあ。

    前作『死との約束』の舞台がエルサレムだったから
    今回はクリスマスに手をつけたのではないか、
    という指摘も面白かった。

    でも『死との約束』で殺人の舞台になるのは
    ヨルダンのペトラです。
    エルサレムは最初に出てくるだけ。
    これもクリスティーがちゃんと
    描写していないせいなのですが……。

    『クリスマス・キャロル』を意識したのではないか、
    という仮説はちょっと無理がある気がする。
    (三人のゴーストとか、こじつけだと思う)
    でもよく考えつきました。

    「聖なる夜が性なる夜へ」などの
    お下品な言葉も散見されますが、
    そこらへんも含めて、霞さんらしい解説です。
    (霞さんには「下品」ではなくて
     「お下品」という言葉の方が似合う)

    新版の勝ちです。

  • 2010.12.19 紹介

  • (メモ:中等部3年のときに読了。)

  • 分かってみれば、どこかで読んだことのあるトリック。でも読んでいる間はそれに気づかない。
    クリスティは会話のひとつひとつに、登場人物の心理がうまく表現されている。それがすばらしい。

  • /?day=20060930

  • 持っているのはハヤカワミステリ文庫版ですが、画像がないのでこちらを登録。

全121件中 91 - 100件を表示

アガサ・クリスティーの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×