犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

  • 早川書房
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感想 : 86
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  • Amazon.co.jp ・本 (542ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152085535

感想・レビュー・書評

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  •  いい、これ。コニー・ウィリスのタイムトラベルもの、歴史とリンクするのが好き。あー、イギリスに行きたい。

  • コニー・ウィリスのチャーミングな大傑作。
    内容はタイムトラベル物なので、ジャンル的にはSFでしょうか。
    「消えたヴィクトリア朝花瓶の謎」という副題が示すように〜歴史ミステリに近い感触がありますが…
    「犬は勘定に入れません」というタイトルは「ボートの三人男」の副題だったもの。
    犬も一緒にボートに乗ってテムズ川下りをするわけですが、三人というのに犬は入ってない、という意味合いでしょうね。

    近未来のオックスフォードから時間旅行へ旅立つ若き研究者ネッドとヴェリティが主人公。
    つまり、中世へのタイムトラベルを描いて荘厳なまでの迫力のあった「ドゥームズデイ・ブック」と舞台設定は同じです。
    今回は主な行き先が19世紀の平和な時代で、恋愛の要素も強く、楽しめる仕上がりになっています。
    この話の中では時間旅行は十分可能になっているけど、費用がかかるのでスポンサー無しでは成り立たないものとなっているんですね。
    ネッドとヴェリティは、スポンサーの好き勝手な要請にしたがって何度も行き来を繰り返します。
    時差ボケならぬ時間旅行ボケという症状に悩まされながら、歴史に誤った影響を与えないように奮闘することになります。
    歴史の過誤を理論的に研究しているのは日本人の藤崎といい、最近読んだ小説のあちこちで見かける日本人像の中でもマトモな名前と役割を与えられている方だと思う‥(^^;
    未来では絶滅種となってしまった猫を巡っての物語でもあります。
    プリンセス・アージュマンドというたいそうな名前の猫にネッドは振り回されます。
    この猫が後書きで「性格の悪い猫」と表現されているけど、猫としてはごく自然にふるまっているだけで性格は全然悪くないのも可笑しい(^^;
    旅の道連れのブルドッグも良い味出してます。

  • タイトルに引かれて読んだけど、大当たり!
    文章もしゃれてるし(大森望・訳)、読後感もいい。
    特に猫好きには超おススメ。
    「主教の鳥株」、死ぬまでにひと目この眼で見たいものです。

  • 思わせぶりなタイトルと評判のよさにつられて読んでみたが、、、正直、面白さを理解できなかった。英語で読むと、言葉遊び的な部分や時代がかった引用なども楽しめるのかもしれないが、、、。今、見たら、「航路」の作者だったのね、このヒト。「航路」もやはり??だったし、相性がよくないのかも。一応、タイムトラベルもののSF小説ということになっており、パラドックスをめぐるドタバタが中心になっている小説。

  • コニー・ウィリスにはまったきっかけ。

  • ボートの三人男が好きなため手に取ってみたはじめての作家さん。とても面白かった。
    タイムスリップもののSFかつラブコメ。時代のねじれを解消しようとした未来人がヴィクトリア朝を舞台にさらにこんがらがせていく様がウィットに富んだ表現でコミカルにつづられていく。ねじれた恋の行方とか、ハチャメチャな登場人物とか、言葉遊び的な修辞なども実に魅力的で楽しい。各章立ての部分にボートの三人男風の表現があったりと、細かい部分にも凝っている。
    とても長い小説だけど(しかも重い!そして高い!)、毎日楽しく読み進めることができました。早く文庫にならないかしら。

  • 夏の行事でいささかくたびれたので私もヴィクトリア朝の優雅なのんびりした時間を持つべく読み始めたんですが、睡眠時間を削る羽目になりましたな!これ訳注がかなり付いているから誰のどこからの引用かわかるからいいけれど英国人はみんなわかるんかいな?あっ「教養」か。アルバート記念碑とセント・パンクラス駅、ググッて見ました。そんなにひどいかどうか良くわかんないな。実物を見ないと。セント・パンクラス駅はユーロスターの国際駅として、改修されたそうです。赤煉瓦のゴシック建築の部分は残っているようです。いま福岡伸一さんが光文社のPR誌に連載している文にヴィジャク・マタービという女性科学者が書かれているんだけど、これが「レイディ・シュラプネル」そっくりの猛女で、こういう人ってほんとにいるんだと思いました。

  • コニー・ウィリス、1997年の作品。分厚いです。長いです。
    しかし、それを感じさせない面白さ! 
    章が終わるたびに事件が勃発。
    もうその事件の起こり方ときたら、おかしくてたまらない。
    タイムトラベル・ラブ・コメディと言いましょうか。

    この小説は、SFが好きで、ミステリが好きで、歴史が好きで、
    犬が好きで、猫が好きで、文学が好きで、恋愛コメディが好きな人なら
    夢中になること請け合い。底抜けに楽しく、はらはらどきどきできて、
    そして最後は、楽しかった冒険が終わる余韻に、読者はちょっぴり寂しさを感じつつ、
    それでも迎える大団円に拍手喝采。
    これ映画化しないのだろうか。いや、それより連続TVドラマがいいな。

    登場人物が魅力的で、若いっていいなぁ、大学生になりたいな、
    なんて思ったりもした。ネッドとヴェリティの丁々発矢のやり取りの楽しさ! 
    テレンスの浮世離れしたおとぼけお坊ちゃんぶり。
    そして、わがままトシーの自由奔放さときたら! 
    尋常ではない働きの、本好き執事のベインの細やかさ。
    レイディ・シュラプネルやダンワージー先生ら大人たちも負けてはいない。
    揃いも揃って魅力的過ぎる。日本流金まで出てくるし。
    おっと、愛すべきシリルとプリンセス・アージュマンドのことを忘れてはいけない。

    話の作りが、SFの要素が重要な鍵を握りながらも、ミステリの形式を踏襲している。
    しかも、結構本格的だと思った。ミステリ「風」じゃなくて、まさにミステリ。
    そのため、この本の中に出てきた数え切れないほどの事件について、
    ここで述べることはネタバレになる恐れがあるため控えたい。
    ただ、通読して、何箇所か納得のいかないことも実はあった。
    が、先が気になって、その記述を軽く見過ごしてしまった可能性はある。
    また再読して、その不具合を埋めて...いや、齟齬を修復してみたいと思う。

    灰色の脳細胞を駆使して、主教の鳥株のありかを突き止めろ。
    ボン・ボヤージ、よい旅を!

  • ★★★★★

  • 海外SFでミステリでラブコメ。おもしろさてんこもり。

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