紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

制作 : 古沢嘉通 
  • 早川書房
3.92
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本棚登録 : 1304
感想 : 152
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  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784153350205

感想・レビュー・書評

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  • SF短編集。でも、ファンタジー色強め。
    読み始めたらググッと引き込まれる話が多い。
    表題作の「紙の動物園」はなんとなくノスタルジックな雰囲気が漂い、しんみり。
    でも、次の「もののあわれ」はしんみりするはずのストーリーなのに、なんだかサラサラ乾いたような読後感。不思議。
    「心智五行」「良い狩りを」は夢中でグイグイ読めた。

    図書館の返却期限が来たから、読めなかった短編もあり残念。

  • まず、気合いの入った装丁からして出版社の意気込みが伝わってきた。そして、その気合いも当然だなあといった内容。結構情緒的なものが多いし、著者が中国系(というか中国で育って幼少期に米国平民)なので伝奇SFっぽいものも数点。なかなか良い。ただ、これは中国じゃ出版できないだろうなあ?と思ったモノはやはり翻訳されていないそうな(訳者後書きより)そして、最後に一言。
    『読んだ。悪くない。』言ってやった!言ってやった!

  • SF小説を読むのは久しぶり。短編集なので読みやすかった。

  • 12:ついったでの評判通り! どの作品にも静かな(東洋的な?)生死観や情緒があって、素晴らしかったです。生命としての流転や別ステージ(形態)、言語についての話が多くてほくほく。私には難しい科学要素もあったけど、読んでよかった。他の作品も訳されてほしいなあ。

  • SF短編集。登場人物や舞台がアジアに関連しているものが多く、今まで欧米のSFばかり読んでいたので斬新だった。短編でも1話1話の話や設定の濃さがすごい!

  • 紙の動物園、もののあはれ、月へ、結縄、太平洋横断海底トンネル小史、潮汐、選抜宇宙種族の本づくり習性、心智五行、どこかまったく別な場所でトナカイの大群が、円弧、波、1ビットのエラー、愛のアルゴリズム、文字占い師、良い狩りを。

    あり得たかもしれない日本の歴史は、日本人ではないから書けたのかもと思いました。

  • しまった…これも人生後半に取っておくべき一冊でした!
    テッド・チャン信奉者であるという点でもうハズレじゃないのは解っていた・・そして先生に勧められたので、これはもう読んでおこうかなと。昨年出版された文庫版は、こちらの短編集からの再収録なので、こちらのトールサイズを読んだ方がお得です。
    以下気に入ったものを抜粋して。

    「紙の動物園」からもうね…霞んで読めない一作でした。これは少し不思議の方のSF。

    「もののあはれ」正統派SF。そして染み入る様な語り口と、美しく悲しいラスト。でも悲しまなくても良いんだよと云う、優しさ。

    「心智五行」若干乙女ゲ―的な楽しみを覚えました(笑)

    「円弧(アーク)」生死とか愛情とか何それと思わせる話。もし人に永遠があったなら、リーナのような生き方をするだろうか、いやそれが悪いとか良いとかなど、誰かに断ずることは出来ず、本人が何もかもを(それこそいつ死ぬのかも)決めて生きねばならないのね、嗚呼。

    「波」円弧に対を為すような話でありながら設定はガチSF。円弧では人の肉体を、こちらの波では意識を物理に用いています。またその上で前者は個を、後者は集団を描いた作品です。是非セットで。

    「1ビットのエラー」まんまテッド・チャンの「地獄とは神の不在なり」展開で、ラストが違う感じかな…この作品でケンリュウ自身も作家として天国と地獄を見極めたのだという機縁な一作。読み比べ推奨。

    「文字占い師」一番辛い・・・。小説には著者の生まれや育ち、思想が根ざす物とはいえ、彼が中国出身者であるという事を一番感じさせる一作。でも目を逸らしてはいけない事なのですね。

    「良い狩りを」ボーイミーツガールな話かと思いきや!胸ワクドキ冒険活劇の始まりかと思いきや!いや、そういう部分が無いかと云われたらそうでもないけど!巻末解説の「きつねうどんだと思ったら蒸しパンだった」が云い得て妙。蒸パンク喰ぅSF!(笑)

  • 表題作はとても良くて、泣けた。
    表題作だけなら星四つ。
    自分の好きな「移民の抱えるジレンマと哀しみ」系の話と、やさしいファンタジーとが淡々と混ざりあっていて、ちょっと、こんなSF小説っていうのもあるんだ!って発見。
    それ以外の話は面白かったり面白くなかったりだったので、星三つ。

  • 明敏かつセンチメントな文章というか。
    「円弧」「文字占い師」はセンチって言葉じゃ温いか。この2作は本当にシビれた。前者は不死の社会、後者は二・二八事件に纏わる話。
    よく訓練されたSFファンなら「トランス脂肪酸たっぷりのクッキー」と読んだ瞬間によだれが出るはず。舞台の時代背景とそれが禁断の誘惑に溢れた食べものであることを直感して。

  • 中国、アジアの香りがする。切ない話が多い。多彩。

    1.紙の動物園
    泣ける、せつない。折り紙の動物たちが可愛いだろうなあ、きっと。

    2.もののあはれ
    最後のシーンですごく宇宙がイメージされた。挿入される詩歌が叙情豊か。一番好き。

    4.結縄
    トム、ひどい!アミノ酸配列の設計のアイディアは面白い。

    8.心智五行
    これも面白かった。ストーリーも良いが、個人用AIがとても気に入りました。これまた欲しい。
    バクテリアが気分や脳内化学に影響を与えてるというアイディアが面白い。

    9.どこかまったく別な場所でトナカイの大群が
    これもなかなか面白かった。データとして不老不死で生きる時、親子関係や愛情はどのようなものになるのだろうか。

    10.円弧(アーク)
    こちらの中での不老不死は、あまり幸せそうでない。

    11.波
    永遠に子どもなら、身体は大人でも頭(脳の処理)的には大人並なのか?

    12.1ビットのエラー
    テッド・チャン「地獄とは神の不在なり」にインスピレーションを受けた作らしい。

    13.愛のアルゴリズム …(紙の動物園)
    テッド・チャン 「ゼロで割る」から、トーンと葛藤の部分のインスピレーションを受けたとのこと。

    14.文字占い師 …(紙の動物園)
    結末がきつい。ある程度予想はしていたけれど。

    15.良い狩りを
    歴史改変モノ ファンタジー+SF。これも好き。
    予想を裏切る展開で意外だったが、想像すると妖狐が非常に魅力的だった。アニメ化してほしい。

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