螺旋階段のアリス

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 375
感想 : 66
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163196800

作品紹介・あらすじ

脱サラ探偵仁木と美少女(人妻?)安梨沙が事件を解決!人々の心模様を「不思議の国のアリス」のキャラクターに託して描く七つの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 脱サラ探偵・仁木と、押しかけ助手の美少女・安梨沙の謎解き譚、連作7話が収録されています。

    所謂“日常系”なので、持ち込まれる案件が探偵に・・というより便利屋みたいな依頼が多い印象です。
    そんな様々な日常の謎を『不思議(&鏡)の国のアリス』のキャラクターになぞらえつつ、探偵の仁木が、というより主に“助手”の安梨沙が解き明かしていく展開です。
    所々で、仁木が安梨沙によって小綺麗になっていく事務所を見て、自分の理想とする探偵像(ハードボイルド系を目指しているっぽい)とのギャップにモヤモヤする場面があるのですが、つい、“いやいやアンタ、安梨沙がいなければ、まともに依頼こなせていないよね?”とツッコミたくなった私です。
    個人的には第5話「最上階のアリス」が、“プロバビリティーの犯罪”を匂わせて、一見ダークな背景かと思いきや、実は切ない事情があったというその意外性が好みでした。
    そして、“実質探偵”の安梨沙が姿を消してしまう第7話「アリスのいない部屋」は、ちょっと心配な内容でしたが、ラストでの螺旋階段を昇ってくる足音が福音だったようですね(多分)。

  • 私はこの作者の本を数冊しか読んでいないのですが(しかもかなり昔)、ずっとこの人の話は好きだなぁと思い続けていました。
    そして今回この本を読んで、なんとなく読まなかった理由がわかった。

    心地良すぎて不安になるのです。

    探偵ものですが人は死にません。
    後味が良い話ばかりではない。
    でも優しいのです。
    ひどく不安になる。
    でも読むのはやめられない。

    題名通り、不思議の国のアリスの話もちらほら出てきますので、鏡も合わせてよく知らないという方は、先にさらっと読んでおくといいかもしれません。
    単に登場人物の会話に乗れるという程度のことですがね。

  • 昔読んだことがあるのを突然思い出して再読してみたが、内容をほとんど覚えていなかったので初めて読んだのと同じ感じ。
    日常の些細な謎を解いていく短編集で一見ほのぼのとした雰囲気だが、中にはいろいろ考えさせられる深い話もあった。
    『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』の引用が結構あったので、読みたくなった。

  • 20200125
    早期退職優遇制度を使って憧れの探偵事務所を開いた仁木。やって来たのは客ではなく、猫をつれた美少女の安梨沙だった。意外と切れる探偵と美少女助手の連作ミステリ。
    一つ一つは軽いミステリだが、真相は基本的に重い。爽やかなのに気が晴れない…安梨沙は可愛いけど。最後の1話で安梨沙の事情やら仁木の妻との関係やらが明らかになるのだが、尺が足りなさすぎるのか、駆け足すぎて、バタバタしているうちに終わってしまった印象。勿体ない。

  •  脱サラして探偵になった中年男性とそこに突然助手志望と現れる女の子。全部つながってはいるが、エピソードはそれぞれ短編でまとまっているので、読みやすい。本格推理ものを言う感じでもないので、ラノベを読むように気軽に読むのが良いと思う。不思議の国のアリス、鏡の国のアリスが所々にでてくるので、そっちが読みたくなった(笑)

  • 2019.9.22 読了


    仁木順平は 突然 私立探偵になった。
    といって すぐに依頼が飛び込んでくるわけでもなく。

    ヒマを持て余していたところに
    ネコと共に 突然 やってきた少女 安梨沙。
    経理 兼 探偵助手として来ることになる。


    ちょこまかとした依頼が短編で続く。


    最上階のアリスが ちょっと切なかった。

  • ファンタジーでないんだけどファンタジーのような世界観は、不思議の国のアリスのキャラクターが度々登場するせいかな。不思議の国のアリスと鏡の国のアリスが読みたくなった。

  •  前に、『ななつのこ』をおすすめされて、ちょこっと読んでみたものの、私にはあんまり合わないなぁ…て思って、結局読まなかったんですけど。
     今回別シリーズで再挑戦してみました。

     でも、やっぱ何かダメ…。
     謎解き自体は、そこそこおもしろかったけど、キャラが何かダメ…。
     安梨沙ちゃんのキャラが不自然すぎる…。

     あと、わざわざそういう設定とか、描写にしてるんだろうから、それはそれでしょうがないんだろうけど、いちいち不思議の国のアリスを引き合いに出すのが何か鬱陶しい。
     20歳くらいの女の子がアリスに詳しいのはいいとして、50歳を過ぎたおっさんが、そこまでアリスに出て来るキャラに詳しいとか、不自然じゃない?

  • 2012.3図書館で借りて読了。
    本を読むのが好きな人間は【アリス】という文字に弱い気がする。私だけ?
    夫婦がキーワードの連作短編集。さほど、印象に残る話はなかった。加納さんは、女性が主人公の作品のほうが好きだ。

  • 半分くらい読んでから再読と気付きました。

    ロマンを胸に早期退職して探偵事務所を立ち上げた男と、レースとフリルと長い髪に彩られた美少女。
    ふたりが日常系な依頼の数々を請け負ってゆく短篇集。

    さらさらさらと読み終える。
    著者お得意の「あら、そんなことはなくってよ」口調の娘がふわふわと活躍するのを見守り、男のやわらかさ温かさ、そして知恵にほのぼのと安心する。

    高齢ご婦人の髪がしばしば紫に染められている理由、私もずっと謎でした。なぜ、紫。白髪でないと綺麗に染まらない色ではありますよね。

    そういえば、川上未映子の古いエッセイで知った、美輪明宏の髪が黄色なのは風水的に金運を上げるためだというのはショックなエピソードでありました(脱線)。

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著者プロフィール

1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。

「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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