クライマーズ・ハイ

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1998
感想 : 323
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  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163220901

感想・レビュー・書評

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  • 〈内容〉硬派の警察小説や社会派ミステリーの分野で当代一の横山秀夫が、上毛新聞記者時代に遭遇した御巣鷹山日航機墜落事故取材の体験を、本格長編小説にまとめ上げた。常に新しい手法を模索し手抜きを知らない著者の、会心の力作。

  • 新聞社を題材にした話ということで、
    少し前に読んだ堂場瞬一さんの『虚報』と重なった。
    辛かった。半泣きになりながら読みました。
    読み進める辛さも『虚報』と被りました。
    そんなに辛いんなら読むのやめりゃいいのに、何故かやめられなかった。

    確執に次ぐ確執。あちらを立てればこちらが立たず、というのは判る。
    しかもそれぞれがそれぞれの職責に真剣だからこそ起こる確執。
    (販売局の伊東だけは出自をネタに圧力をかけるのが汚ねぇなと思ったが)
    上からも下からも横からも家族からさえも突き上げられ、
    四面楚歌とはこのことか、と思った。
    家庭にも居場所がないと感じてるんじゃあまりにも辛すぎる。
    衝立岩を踏破したときに燐太郎くんが言った言葉がほんの少しの救いだったか。

    とにかく読んでて辛かった。
    こんなものが社会の縮図だと信じたくない自分は甘いということなのか。

  • 山岳小説のランキングに入っていたからうっかりしたが、御巣鷹山の話だったことを思い出した。
    気性の荒い一匹狼悠木は、日航事件全権デスクに就任。締め切りに追われる日々の中で、上との溝が開いていく。それは、約束した部下の記事を掲載できなかったり、ウラのとれなかったスクープを逃したり、と悔しい結果に結び付いていく。そんな中でも彼らの熱い熱気と混乱が臨場感たっぷりに伝わってくる。
    同時並行しているのが、販売部安西が倒れた事件。上は認めないが、過労の可能性が高い。父親のように安西の一人息子の面倒をみる中で、悠木は自分の息子淳との壊れた親子関係を修復していく。
    山繋がりなんだけど、別に登山じゃなくても成り立ってしまうので、そこがもったいない。
    最後新聞社の仲間のその後が淡々と簡単に記され、唐突に完結した印象。モデルがいるならこの終わり方もあるけど、個々のことまでは検索してもわからなかった。
    でも全部通して見ると、胸が熱くなるシーンもあるし、上出来。

  • いまさら読みました。やっぱりおもしろかったです。
    とにかく「重厚」。横山秀夫って警察小説以外もすごいんですね。

    途中で挟まれる登山シーン、特にラストは爽やかできれい。死に一番近い場所だから素直になれる、という言葉が印象的でした。

    しかし、悠木をはじめ、新聞社で働く男たちが熱かった!権力争いや自己の保身などに走る上層部、理不尽につぶされる記者たちの思い、デスクを任された悠木の苦悩や責任。1日1日が重く、長い。こんなに壮絶なのにまだ1週間しかたってないの!?

    あの人も、あの人もよかった・・・と考えてたらキリがないですが、とにかく人間ドラマがすごい!
    (ただ、帯にありましたがミステリーではないです。)



    どうでもいいですが、安西燐太郎くん(登場人物)は田中幸太郎のイメージで読みました。

  • 1985年の日航機墜落事故で地元「北関東新聞」の全権デスクを任された主人公の一週間を描いてた内容でした。
    また、これはひとりの地方新聞社のデスクが、日航機墜落事故取材を通して、ひとの命の重さ、仕事のあり方、そして親と子の絆を描いた素晴らしい作品だと思いました。

  • 御巣鷹山関連の本は何故か手に取ってしまいます。
    胸に来ました

  • とても、記憶に残る現実。当時高校生だったワンダーフォーゲル部の友人は、あの山に登っていました。夏の息苦しくなる暑さを感じると思い出す一冊。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「記憶に残る現実。」
      ズッシリ重い。この横山秀夫作品ではなく現実が、、、
      誰も助かる訳ない。と思ってしまったコトを思い出して落ち込む。。。
      「記憶に残る現実。」
      ズッシリ重い。この横山秀夫作品ではなく現実が、、、
      誰も助かる訳ない。と思ってしまったコトを思い出して落ち込む。。。
      2013/06/12
  • 最初は単純に山に登るだけの話かと勘違いしてしまいましたが、横山秀夫の本でそれはないですよね……。
    無論事件が絡んでくるお話。記者が主人公。
    過去に部下になったばかりの人物を亡くし、「自分は部下を持つのは相応しくない」と生涯一記者を貫く主人公。
    登山仲間、というか登山の道にひっぱりこんでくれた人物と山に登る約束の当日、日航機墜落事故が起こり、その全体のデスクになる。
    行けなかったことで申し訳ない気持ちと安堵の気持ちを抱えていたが、どうも約束をしていた相手は倒れ、植物人間状態になっていたらしい。
    そしてまた、主人公は息子とうまくいっておらず……
    様々なことが重なり、記者として如何動くか、人間として如何動くかを描いた作品のように思えました。
    正直、色々調べている場合じゃないだろう、と思ったりもしましたけど、そういう訳にもいかないんですよね。
    親子の絆、というものも描かれていました。

  • 日航機墜落事故って、こんな風にありとあらえる業種や年代の人に影響を与えたんだなあと、あらためて感じました。
    そういう意味では必読の一冊です。
    ただ、個人的には読みながらウンウン唸ってしまいそうな苦しさを感じたので少し★、低めです。でもいい本です。

  • 1993年から2003年までに読んだ本の中で☆五つの本を登録してみました。表紙を見るだけで思い出がこみあげてくるものですね。

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著者プロフィール

1957年東京生まれ。新聞記者、フリーライターを経て、1998年「陰の季節」で松本清張賞を受賞し、デビュー。2000年、第2作「動機」で、日本推理作家協会賞を受賞。2002年、『半落ち』が各ベストテンの1位を獲得、ベストセラーとなる。その後、『顔』、『クライマーズ・ハイ』、『看守眼』『臨場』『深追い』など、立て続けに話題作を刊行。7年の空白を経て、2012年『64』を刊行し、「このミステリーがすごい!」「週刊文春」などミステリーベストテンの1位に。そして、英国推理作家協会賞インターナショナル・ダガー賞(翻訳部門)の最終候補5作に選出される。また、ドイツ・ミステリー大賞海外部門第1位にも選ばれ、国際的な評価も高い。他の著書に、『真相』『影踏み』『震度ゼロ』『ルパンの消息』『ノースライト』など多数。

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