クライマーズ・ハイ

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1998
感想 : 323
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  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163220901

感想・レビュー・書評

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  • 御巣鷹山関連の本は何故か手に取ってしまいます。
    胸に来ました

  • 1993年から2003年までに読んだ本の中で☆五つの本を登録してみました。表紙を見るだけで思い出がこみあげてくるものですね。

  • 1985年8月12日におこった日航機墜落事故は日本航空機事故誌上、最悪の事故と言われている。長野県と群馬県の境にあるけわしい御巣鷹山の一角を削り取るほどの航空機墜落の惨劇は、当時の報道で、日本はおろか世界中に伝えられた。

    この本は地元新聞の新聞記者悠木和雅がこの事故にかかわる様子を表している。地元新聞局では古株の新聞記者との確執もあり、悠木は新聞記者本来の職業意識を見失いかけていたが、事故にあった遺族の様子を見るにつけ、真実を伝えなければと思うようなったのだ。

    未曾有の大惨事といわれた事故の裏側で、真実を報道する記者の姿がある。「何がおこったのか」日航機ジャンボが消えたとわかった時、誰もがそう思ったことだろう。一刻も早く真実を知り素早い処置をとらなければならない。警察官や自衛官に混じり、報道関係者も一斉にけわしい御巣鷹山に向かって行った。

    あの暑い夏の日…。
    読み終わった後、また当時の悲惨さが思い出される。

  • 映画を見に行ったときに予告で流れていたのが、この作品だった。
    現代メディア論のなかで、扱っていた御巣鷹山の事件だけに実際にどのようなものであったのか知りたくもあったので、読むことにした。

    作者は横山秀夫。今まで読んだことのない作家だけに、どのようなものなのか期待も不安もあったのだが読んですぐに彼の精緻な描写の虜となった。
    それまでは、仕事も家庭もあるにはあるが、情熱を傾けることもなかった主人公。
    そんな時に起きたのがこの事件であり、自分の新聞記者人生を賭けるものとなってゆく。
    墜落した場所が群馬であると分かって会社全体が騒々しくなり、悠木が全権デスクに
    任命されるところは、本当に鳥肌モノだった。
    しかし、ページが進むごとに、組織として割り切らねばならない確執に踊らされてゆくシーンは、たしかに必要だろうが、少し興ざめしてしまう。

    新聞記者として、あるいは組織に属するものとして悠木は様々な判断を仰ぎその中には自分の思い通りにいかないことがある。
    特に印象的なのが、航空機の破損の原因が機体の障壁の破裂にあると分かった大スクープを報道しないことを選択するシーンだ。
    彼は何のための報道なのかを考えた。それは、東京の大手の新聞の情報よりも早く伝達することではなく遺族にいかにして寄り添うかだったからこその判断だったのだと思う。
    この辺はジャーナリストは一度は考えるテーマだろう。
    小説であれば、一挙に報道するほうが面白いと思うのに、この選択を描いたのは著者自身こういった岐路に立たされ、悠木と同じ決断をしたからではないかと邪推してしまう。


    ※実は一番気になったのが、この一行。

    酔わなきゃ本音を言えない人を信じちゃだめだよ。そういう人は本当の人生を生きていないからねー。

  • 新聞社の組織の中で葛藤し、複雑な生い立ち故に息子との関係に悩む男が、御巣鷹山の日航機墜落事故の全権デスクを任されて・・・という話です。

    というと飛行機事故の話がメインに思われるが、描かれているのは事故そのものではなく(もちろん事故の悲惨さや悲しさは伝わってくるが)、主人公の仕事、家族、友人、への思いと、その生き様であるように感じました。
    衝立岩への登山、難関の最後の一歩に胸が熱くなった。

    こういう男っぽい話、私は好きなのかも・・・。

  • ミステリー以外で、ここまでドキドキはらはらさせられた作品は初めてかもしれない。人間の業というものが描かれているのだけど、最後気持ちがちゃんと昇天させられた。

  • 大人に読んで欲しい。
    仕事に生きる男に読んで欲しい。
    胸打つラストは感動。

  • 横山秀夫『クライマーズ・ハイ』読了。著者の体験がベースとなった日航機墜落事故に関わる地方新聞記者たちの熱い戦いを描く。新聞記事とは多くの主観と客観のせめぎ合いであることを思い知らされる。ひとつひとつの記事の裏にある記者の葛藤や新聞社組織の思惑、軋轢が圧倒的な臨場感で迫る。

  • 2004年本屋大賞第2位。

    世界最大の航空機事故に遭遇した、地方新聞社の奮闘を描く。

    作者が地方新聞で働いていただけあって、
    締切前の様子など、編集部の描写が読み応え十分。

    基本的に共同通信の記事を元に新聞を作るとか、
    地方新聞ならではの状況も知れて面白かった。

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著者プロフィール

1957年東京生まれ。新聞記者、フリーライターを経て、1998年「陰の季節」で松本清張賞を受賞し、デビュー。2000年、第2作「動機」で、日本推理作家協会賞を受賞。2002年、『半落ち』が各ベストテンの1位を獲得、ベストセラーとなる。その後、『顔』、『クライマーズ・ハイ』、『看守眼』『臨場』『深追い』など、立て続けに話題作を刊行。7年の空白を経て、2012年『64』を刊行し、「このミステリーがすごい!」「週刊文春」などミステリーベストテンの1位に。そして、英国推理作家協会賞インターナショナル・ダガー賞(翻訳部門)の最終候補5作に選出される。また、ドイツ・ミステリー大賞海外部門第1位にも選ばれ、国際的な評価も高い。他の著書に、『真相』『影踏み』『震度ゼロ』『ルパンの消息』『ノースライト』など多数。

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