モーダルな事象 (本格ミステリ・マスターズ)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (546ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163239705

感想・レビュー・書評

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  • ●サブタイトルは「桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活」。・・・・確かにスタイリッシュっつうかね?
    とりあえず、ハリセンでもって後頭部に連続ツッコミ入れ倒したりたいわっ。
    そんなダメダメ種族の系譜を立派に引き継ぐ男こそ、サブタイトルにも名前が出てるクワコーです。本書のSF≒幻想(?)部担当の主人公です。
    はたらけよてめええ・・・・・・・・・・! 

    ●ありがたいことに、本書のミステリ部を担当するミステリにかぶれたフリーライター兼ジャズシンガーおよび英国にかぶれた編集者の元夫婦刑事は、クワコーとは正反対と言っていいくらい、好奇心旺盛にあちこち積極的に行動してくれるので、スッキリできます。
    ま、探偵役が解決に向かって猪突猛進せねば、話にならんのだけどさ。(喋ってばっかりの人もいるけど。)
    このジャズシンガーは『鳥類学者のファンタジア』のナイスな迷主人公フォギーの友人であり、フォギーも顔見せ程度ですが出ます。よい。

    ●解説の千野帽子。
    一瞬、奥泉光が別人格で書いた本小説の一章かと思いましたよ・・・。それくらいわかりやすい解説でした。

  • 本についている帯ってあんまり好きじゃないのだけど、これのは読み終わってからなるほど気が利いている、と思いました。端から見れば突っ込みどころ満載の文学やトンデモも、同化してしまえば人生のすべてをささげてしまったり。メタな地の文を楽しみつつ、虚構の文字の世界に同化する幸福感。アトランティスのコイン、親子何代かにわたる複雑な人間関係、戦時中の不気味な人体実験。

  • 2006.10.20. 『「我が輩は猫である」殺人事件』『鳥類学者のファンタジア』『新・地底旅行』を先に読んだ方がいいらしい。必要以上に長い一冊だったが、その無駄な長さの要因である形容詞の多さや不必要な感情表現などのノリは結構好き。合わない人にはとことん合わないだろうなぁ、と思う。

  • この厚さじゃ通勤に持ち運べないので、読了までちょっと時間がかかりました。かつて「哲学者の密室」(創元推理文庫版)を通勤電車で読んだ私もさすがに無理というもの。とはいいつつ、いったん読み始めるとそこはもう奥泉世界。堪能しました。「鳥類学者のファンタジア」の世界に近いかとおもいきや(いろいろシンクロはするんですけれど)それほどあちこちぶっ飛びはせず、ちゃんと推理小説しています。ラストの桑幸も、いいじゃないですか。作者の愛を感じたのは私だけですか。

  • 「本の雑誌が選んだ2005年度ベスト10」の第5位。メタミス嫌いの僕でも非常に面白く読めました。ということは、メタミス好きな人なら非常に高評価になるのかな。まあ、難点を挙げるとすれば長すぎることですね。

  • 笑えるところと、厳しい所とおり混ぜがありますね。
    全体的にはよくできてると思います。

  • 皮肉たっぷりの語り口は、読んでいて楽しく分厚さを感じさせません。が、ミステリとして読むとちょっと期待はずれかも。

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    <br clear="left">
     <b>――桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活――</b>

    大阪にある最低レベルの女子短大・麗華女子短大の近代文学の助教授である桑潟幸一を主人公とする物語と、編集者の諸橋倫敦とジャズシンガーでフリーライターでもある北川アキの元夫婦探偵を主人公とする物語が同じ事件を軸に並行して進んでいく。
    桑潟幸一はまったくもってやる気のない学生しかいない短大に在って、まったくもってやる気のない講義をする助教授であり、何の変化もない退屈な日々を送っていたのであったが、あるとき大手の文芸出版社の猿渡という男によって持ち込まれた仕事――最近になって発見された童話作家溝口俊平の遺稿を桑潟が発見したことにして世に出すこと――を引き受けた途端、関係者が次々に殺されたり と、なにやら日常は混沌としてくる。
    一方、元夫婦刑事の物語はといえば、ごく普通の探偵物語としてこの事件を調べながら進むのである。
    元夫婦刑事物語の方はミステリなのだが、桑潟の物語の方は戦争中にタイムトリップしてみたりと SFの世界であり 哲学的でもある。そして、桑潟の物語の中で一連の事件は現実のものとして解決されるのだが、それは元夫婦刑事の物語の中では納得することができても、桑潟のいるSF的世界では何も解決されていないに等しいのである。今やひとところに集められた7つのアトランチィスのコインがこのまま大人しくしているはずがないと、ゾワゾワした心地は去らないのである。

  • 桑潟幸一は地方の女子短大で日本近代文学の助教授をしている。彼のところに夭折した作家の遺稿が持ち込まれ、「言霊」に紹介され、思いもよらずにベストセラーとなる。泣ける童話というのが可笑しい。
    編集者が殺害、アトランティスのコイン、香川県の久貝島、桑幸の不思議な夢が始まる。
    一方、フリーライターでシンガーの北川アキとその元夫の元夫婦刑事(めおとでか)の素人探偵も事件の捜査を始める。

  • いちばん最高なのは「その言葉を」だが、彼のテクニカルなところが本分らしい。長編な上にミステリなので途中挫折するかと思ったが、木苺先生を思い起こさせてなかなか。猫介が!

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著者プロフィール

作家、近畿大学教授

「2011年 『私と世界、世界の私』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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