本の声を聴け ブックディレクター幅允孝の仕事

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163760308

感想・レビュー・書評

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  • 幅氏の作る本棚のようなものを私もお店で作りたい
    正剛による実験的本棚との比較もあった

  • いろいろなヒントがある。

  • 以前、ある分野にとても詳しい書店員の同僚と話していて、
    「ワタシには本好き・読書好きの人達に好まれるような書店やブックカフェは作れないのだろうな」と心底がっかりしたことがある。

    ベストセラーが好きで、著名人の本が好きで、コミックが好きで、広く浅く大衆が好む本の動向を掴むことを得意としていると、
    「通」な本にはどうしても疎くなってしまう。
    その上どちらかというと古書より新刊本を好んでいるので尚更だ。

    同僚は一人で「通」好みの棚が作れるかもしれないが、
    ワタシはどうやったって老若男女が広く使うタイプの大衆的な書店で、個性のない棚作りしかできないのだ。

    幅さんは、決して広く浅くはないけれど、特定の分野に特化しすぎるわけでもなく、「広く深く」棚をつくる人だ。

    幅さんのように、なんておこがましいけれども目指すのなら幅さんのような「本を扱う人」になりたいなぁ。
    そう思うと自分の書店員人生?も悪いものじゃなかったのかな、と思えた。

  • 幅允孝さん。ブックディレクターと言われても、
    どんな職業なのかわからなかったのですが、
    本棚に並べる本を選び、美しく見せる人だそうです。
    本屋さんはもちろん、美容院やオフィス、雑貨屋さんなど
    様々なお店を手がけていらっしゃいます。

    この本はその幅さんを取材した著者の方が書いた本です。
    なので、幅さん本人の言葉ではありません。
    幅さんが手がけた本棚の依頼人や幅さんの仕事仲間など様々な人に話を聞いた上で
    書かれているので幅さんの仕事ぶり、というか人柄もよくわかります。
    ただ難点は書かれている意見は幅さんの意見なのか、話を聞いた他の人の意見なのか、著者本人の意見なのか、がわかりづらいところ。
    それでも、幅さんがかっこいいのでどんどん本を読んでしまいます。

    今、本屋さんの本棚はすべてジャンルごとに並べられています。
    マンガと文庫と単行本や図鑑が同じ棚に並んでいることはあまりありませんが、
    幅さんはそういうのを取っ払ってテーマを決めて並べるそうです。
    それによってテーマは掘り下げられて、棚を見た人が新しい本と出会える。
    なんか、いいなと思います。
    自分の部屋の本棚もジャンルごとになっているから、
    もう少し違う並べ方にしようかなと考えてしまいました。

  • 面白い。美容室や病院、大学、銀行、本屋でないところに、本が置いてあることが多くなった。そういう場所の本棚を作っている仕事をする幅允孝さんの話。

    本と人の「幸福な事故」を誘発する仕事。


    最近、司書の勉強をしていて、本のことについて以前より考えるようになった。

    体系的に本を分類して、必要な情報を引き出せるようなシステムを作る図書館司書も大切。でも、分類に縛られず、より自由に想像力を働かして実際どんな人が、その本棚を使うのか考え、偶然出会う本から夢をふくらませることができる場所を作ることが、いま必要とされてい
    るのかな。

    少しコミュニティデザインの山崎亮さんを思い出した。山崎さんは地域の人と人をつなげる場所。幅さんは知識と人をつなげる場所かな。

    あと、本だけは好きなだけ買っていいよと言える親になりたいな。

  • 単体でしかないものを繋げて時空を創る仕事。

    本の声を聴く。
    ただ並べるのではなく一つの世界を創る。そして本と人との出会いの架け橋になる。

    本を扱う者として、今の自分に足りないこと、忘れてたこと、未来のあるべき自分像を描けた、今読めて本当に良かった一冊。

  • 仕事の参考にしようと思って、久々に買って読んだ本。

    日本で唯一ブックディレクターという「その場に合った本を選び、本棚を作る」という仕事をしている幅允孝さんについてと彼の仕事について書かれています。美容院、病院、美術館など様々な場で彼がどんなことを考え本棚を作って来たのかが知れて、面白かったです。

    ただ一点引っかかったのは彼の大学時代の恩師が言った「彼ら(=図書館司書)の仕事は、膨大な書物の中から、何を提供するかという検索システムを作ることです」 と言った箇所。(全体としては"キュレーション"について語っている)
    検索システムを作るのはどちらかというとシステム開発会社であって、司書がするのはせいぜい利用者が利用しやすいように件名目録を取ることぐらいだと思うんだけど。
    大学や専門図書館は知らないけど、公共図書館や学校図書館では"キュレーション"能力も無いとやっていけないと思う。少なくとも私はそう感じる。

  • ふむ

  • 抜粋を含むまとめメモ

    ・本の遅効性
    ・明日の会議で何かいいことを言うためになどという読み方はしない。本はそんなものではないから。
    ・何冊読んだか、難しい本をどれだけ読んだか、ということは読書の本質ではない
    ・一見関係ないと思われるもの同士が接近したり隣り合わせになったりすることで、見るものの中で何かが閃いたり、思わぬことに気づかされたり、何かあると感じさせられたりする
    ・偶発的な出会い
    ・本棚は外部記憶の保存装置

  • 2019.3月。
    おもしろい本屋が近くに少なくて。量があればいいってんじゃない。最初だけよくても褪せるとがっかり。最近感じている「本屋じゃない」感。私が求めてるのは本屋じゃない。手をかけて選ばれた本のある空間。幅さんの作る場所がまさにそれでした。どれだけ膨大な本の知識があるのだろう。驚愕でしかない。行ってみたいところがたくさんあった。おもしろければ人は集まる。おもしろいを続けないと。続けないと。

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著者プロフィール

1955年長崎県生まれ、ジャーナリスト・ノンフィクション作家。ニッポン放送勤務時の1982年に日本民間放送連盟賞最優秀賞他受賞。著書『ブラボー 隠されたビキニ水爆実験の真実』他。

「2023年 『ニッポンの正体』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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