宇宙が始まる前には何があったのか?

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163768700

感想・レビュー・書評

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  • なかなか難しい本で、量子力学を中心とした宇宙論の仕組み自体は、はっきり言って理解できなかった。しかし、この宇宙が無(これは時間的物理的に何もないことであり、極めて不安定なゆえに)から宇宙が生まれ、137億年経った現在も加速的に膨張しつつ、2兆年後には我々の銀河(そのときには天の川銀河は2倍の大きさのアンドロメダ銀河や他の銀河と合体したメガ銀河)だけがあり、今我々が見ることのできている数千億の他の銀河系等全ては宇宙の地平線の彼方に消え去り、もはやどんな(2兆年後の!)最先端科学的手法を使っても、ビックバンの痕跡すら観測できなくなるらしい、という事を知ることとなった。なぜそうなのかは理解不能だが・・・

  • 村山斉氏の著作と併読推薦。標準理論、暗黒物質、ダークエネルギーなど最新トピックについて。
    一兆年先、10の120乗の話がバンバン出てくる天文学のスケール感に酔う。
    宇宙膨張などの一般的なトピックの説明も著者なりの解説になっているので、誰かの解説を引き写したような啓蒙書よりも読みごたえがある。

  • 宇宙は137億2000万歳。
    我々の宇宙は非常に大きいので、
    不可能でないことは絶えず、どこかで起こっている。

    閉じた宇宙の全エネルギーはゼロ。
    宇宙はありうる限りもっとも対称的で何もない状態で始まり、物質は存在しなかった。
    次の状態では対称性が崩れ、粒子が発生し、ビッグバンとなった。
    空間そのものの性質に対しても量子力学の規則を当てはめられる理論が必要。
    宇宙はひとつではないかもしれない。

  • サイモン・シンの『ビッグバン宇宙論』
    (文庫化の際、改題され『宇宙創成』)を読んだ後に、
    本作を読むとより理解が深まる作品だと思う。翻訳も同じ青木薫氏だし。
    人類の探究心のすばらしさ、科学の素晴らしさに感動する。

  • 無から始まった宇宙、というテーマ。ただ、インフレーション宇宙の説明が明確にされてないので、結局どのように宇宙が出来たかがこの一冊だけでは分からない。

  • 夏休みに実家に帰省した際に父親が読んでいたのを見て、タイトルからもう読みたくてたまらなくなり、その場でスマホで発注して買ってしまった本です。こちらに戻ってきてじっくりと読みましたが、いわゆる宇宙論の最新版なのですが、焦点は宇宙の始まりに力を入れています。タイトルから期待するに宇宙が始まる前の事象や状態の話かと思いきや、やはりここら辺の世界になってくると宗教や哲学と同じ土俵?の話になってきて、科学論という枠から随分はみ出さざるを得ない印象があります。それでも筆者の科学者らしい立場から、宇宙の始まりを宗教や哲学とは似て非なるものという論理的推論から解き明かしていきます。結論としてはビックバンがどのようにして「無」から始まったかを、最新の量子論や観測による研究から比較的わかりやすいタッチで解説してくれています。



    筆者が述べているように「今の時代は宇宙を観測できる稀有な時期」や「高度文明が同時期に存在しないことは悠久の宇宙の時間を考えれば不思議ではない」などというあたりは、色々と宇宙の本を興味本位で読んできた自分にもなるほどという感じです。こんな解釈の仕方もあるわけですから、宇宙というのは研究するだけでも本当に楽しそうな学問ではあります。究極的には宇宙論は人間の存在の謎を解き明かす「科学」な訳ですから、究極の学問ともいえます。

    それでも本書では宇宙論の論争であった「閉じた宇宙」と「開いた宇宙」の最新の考え方や、ダークマターの実情など最新の宇宙論から、マイクロ波(背景放射)の意義など他の宇宙論を読んでいる方にはお馴染みかも知れませんが、改めて分かり易い視点で読むと理解が深まるのではないでしょうか。本書の題名は宇宙の始まりに焦点をあててはいますが、実際にこの宇宙で生きている我々として尽きない疑問は、やはり宇宙の終わり(方)だと思います。こちらは最新のSFでも表現されているものが多いのですが、永劫の果てにはやはり無に戻るのが今の宇宙論の帰結のようです。まあ一個人としては(人類としても!?)全く関係ない時間軸の話なのでしょうが、今の宇宙(世界)が必ず無に帰すという結論は、いつもながら抵抗を感じるというかなんとも居心地が悪い感じにさせられます。

    またもう一つのテーマでもある宇宙のはじまる前の「無の状態(定義)」や、「何もない状態は不安定」といった一般人にはやっぱり理解しがたい話は何とも難しいものがあります。宇宙論を研究している著者のような方々は、ちょっと一般人とは感覚が違うのでしょうか!?

    この本書を含めて宇宙論の成果というものは、進歩したツールや研究のお蔭で、私の子ども時代と比べて隔世の感があります。きっと人類が生き続ければ、数千年か数万年の時間軸では宇宙の謎も解明できるのでしょう。その時は今の時代のSFのどれが実現していることやら、本当に想像するだけで楽しいことです。そのためにも、もう少し有意義なことに人類の知恵と資産を集中できるような世の中になって欲しいですね。。。

  • 【「種の起源」に匹敵! 宇宙論のパラダイムシフト】無からなぜ有が生まれたのか? 最先端の量子物理学は宇宙誕生の謎を解明しつつある。文系にもわかる。全米ベストセラーの衝撃の書。

  • 宇宙は無から生じた
    副題: Why there is something rather than nothing.
    この副題が大きな混乱を引き起こしたらしい。

    この本は2012年に原著が発刊されている。基本的なところから、最近の宇宙論まで明快に説明してくれる。著者は、今ダークエネルギーと呼ばれているものを予言した人で、いろいろな説明に説得力がある。また、物理に対する態度がカッコ良い。

    マルチバース、人間原理などは、この本ではじめて把握できた。宇宙が無から量子ゆらぎにより生まれたという点は、この本を読んでも納得できない、というよりそもそもイメージが湧かない。

    個人的に一番興味があった点: ヒッグス場の発見は、さらなる根拠を与える。インフレーションや宇宙が何もない状態から生じたという説の正否は、ヒッグス場に類似の場が初期宇宙において支配的だったかどうかにかかっている。

    この分野の本は、新しい本をまず読むのが良いことが分かった。過去の名著を読むにしても、現在の最新の理解を把握し、位置づけを自分で判断できるようにしてからの方が混乱が少ない。

  • 宇宙論の話は好きでいろいろ読んでいますが、この本は現時点での決定版といった趣で、非常におもしろかったです。
    宇宙がビッグバンで始まったというのは、すでに常識と言って良い知識になっていますが、そうするとそのビッグバンが起こるきっかけとは一体何だったのかというのは、昔からの疑問でした。その答えはこの宇宙の中にいる限り原理的に得られようがないのかと思っていたのですが、その問題にまともに向き合おうとしている物理学者がいることにまず驚きましたし、想像以上に「答え」らしきものに近づいていることにも驚きました。
    途中結構難しいところもありましたが、全体として比喩を駆使してわかりやすく説明してくれていてなんとか議論にもついて行け、知的好奇心を大いに満たしてくれる本でした。

  • 宇宙論に興味を持つきっかけとなった本。話がとびとびで全体的にはよくわからなかった。ただ、一つ一つの小ネタは面白い。科学と宗教についての話や宇宙論は環境学だ!といった話などは特に。大学の先生が書きたい様に書いている印象を持った。

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