検察側の罪人

著者 : 雫井脩介

• 文藝春秋 (2013年9月11日発売)

感想・レビュー・書評

[y26212621さんの感想 · 2015年8月9日]

正義。悪を罰する事が正義？
人が人を裁く事の危うさ。
必殺仕置人。本当の意味の確信犯。
水清くして魚棲まず。など、頭に浮かんだ。
なんか、モヤモヤするけど、面白かった。
最上さんの、「俺は本当にもういいんだ」のセリフが沁みた。沖野さん、貴方は本当の意味で最上さんを救ったのかもしれないよ、と言ってあげたい。

[tatsumineさんの感想 · 2015年7月18日]

非常にモヤモヤとした読後感でした。
雫井脩介の作風、少し変わったように感じます。
いい意味で。

[manon127さんの感想 · 2015年6月30日]

警察・検察の取り調べと起訴の描写はかなり迫る感じで怖さを感じるほどだった。
しかし、起訴後の展開はそこまでの詳細な描写とは打って変わってあっさりとした展開。前半に警察が必死になっても見つからなかったようは事実を、雑誌記者がいとも簡単にみつけてしまうは、高名な冤罪弁護人が急に出てきて、弁護方針をどんどん打ち立ててしまう始末。
多少長くなってもいいから、若手の国選弁護人が骨身を削って事実を見出だしていく展開がないとリアリティにかけてしまう。
それでも、さすがだと思ったのは、主人公と真犯人の心理描写。正義を信じ、真実を追求した人間の納得はどこに行き着くのか。主人公の真理の今後を見届けたいと思わされた。

[ichiropapaさんの感想 · 2015年6月6日]

非常に難しいテーマで、ずっと重たい気持ちで読みました。
雫井さんの本には珍しく、登場する景色の色彩感がなく、暗い印象を深くしています。
結論が見えていて、読後感もイマイチ…。かなり期待していただけに、残念でした。

[katatumuruさんの感想 · 2015年4月28日]

最初この本を手にした時、重く、固いイメージの表紙だと思いました。
読んでみると、正しくそのイメージ通りの内容でした。

二人の検事が主人公。
一人はベテラン検事の最上。
もう一人は若手検事の沖野。
二人は蒲田で起きた老夫婦殺害事件を担当する事となる。
その事件の容疑者としてあがった中に、最上は一人の男を見つける。
その男とは、２３年前に起きた女子中学生暴行殺害事件の容疑者として名前があがるも、実際に罪に問われる事はないままだった男。
その事件はそのまま時効を迎えていたが、今回の事件の取り調べの段階で、男は２３年前の事件の犯人は自分だったと白状する。
殺された女子中学生、そしてその親である寮母とも懇意にしていた最上はそこから男を激しく追及、事実はどうあれ必ず今回の事件の犯人にする事を決意する。
そこに若手検事、沖野は巻き込まれやがて地検を去る事となるが－。

読んでいて、その都度肩入れする人物が変わってしまうお話でした。
女子中学生を暴行、殺害した男は絶対に許せない。
そう思い、最初は最上に共感するも、だんだんそのやり方についていけなくなり、これでいいのか？と何度も読みながら思う。
そして、沖野に気持ちがリンクしつつも、最後はやはり、これで良かったのか？と思う。
人間の感情のあやふやさ。
そんな人間がそんなあやふやな感情でもって人を裁く。
そういう事があってはならない・・・けれど、それが人間だとも思う。

罪を憎んで人を憎まず
という言葉があるけれど、その言葉がイマイチ今までピンとこなかった。
それがこの本を読んで、何となく分かったような気がします。

丁寧にきちんと書かれているという印象をもつ本ですが、何せ、内容が内容だけに重いし、暗いし、途中退屈。
それでも読み終えた後、考えさせられる本ではあります。

[pupunao99さんの感想 · 2015年4月9日]

この作品を読み終えて、正義とはなんだろう・・・と思わされる。
ベテラン検察官の最上と、新人の沖野、どちらに感情移入しても答えは出ない気がする。
登場人物の中では、弁護士の前川が個人的には好きだった。

[kamisuke0117さんの感想 · 2015年2月5日]

前半、なぜか間延びしているように感じた。
検事が証拠捏造を図ろうとしはじめてから、俄然おもしろくなったけど。。
内容は題名からも想像がついてしまうのでちょっと残念。

[migoushaさんの感想 · 2015年2月4日]

序中盤はややダレたものの、
後半は一気読み。

沖野の気持ちもは複雑で、
彼はこれからどうなってしまうのか心配になる。

最上の動機がやはり弱いためか、強引さが目に余るが、
でも理解出来る部分もある。

[ともりぶさんの感想 · 2015年2月3日]

検事がそれやっちゃだめでしょ。

[ushinobさんの感想 · 2015年1月12日]

そこまでやるかなぁ

著者プロフィール

1968年愛知県生まれ。専修大学文学部卒。2000年、第４回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作『栄光一途』で小説家デビュー。04年に刊行した『犯人に告ぐ』で第７回大藪春彦賞を受賞。他の作品に、『火の粉』『クローズド・ノート』『ビター・ブラッド』『殺気！』『つばさものがたり』『銀色の絆』『途中の一歩』『仮面同窓会』『検察側の罪人』『引き抜き屋1 鹿子小穂の冒険』『引き抜き屋2 鹿子小穂の帰還』『犯人に告ぐ２　闇の蜃気楼』『犯人に告ぐ3 紅の影』『望み』などがある。

「2021年 『霧をはらう』 で使われていた紹介文から引用しています。」