逢沢りく 下

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163901473

感想・レビュー・書評

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  • 意地の張り合いは少し解消するが。
    時男にねだられてチイボの真似を、しかも関西弁の真似をする場面。
    簡単に成長するわけでもない。簡単に強張りが解けるわけでもない。
    わからなくなる。変化するのは怖い。走る、走る、走る。
    しかしひとりっきりで泣くわけではない、こっそり蟹が見守っていたりする。

  • 東京の、歪んだ家庭の思春期の女の子が、関西に放り出されてすったもんだの末カタルシス、っていうまあよくあるっちゃよくある話。なんだけど、描きかたが衝撃的。漫画って奥深い…。
    ジムノペディが似合いそうなアンニュイな、ドライな、雰囲気で始まったのに、舞台が関西(ざっくり)になった途端、笑いが止まらなくなりました。
    この家族どうなるのとかりくちゃんどうなるのとか、ラストとか、東京と関西とか、絵が良いとか、語る価値ありポイントはたくさんあるが、個人的には「笑ったわー」というところを何より評価したい!この内容なのに笑わせるというところを。

  • 図書館にて。
    たまたま上下巻棚にあったので同時に借りてきた。
    ラスト、やっぱりなという展開ではあったけれど、電話のやり取りで胸が熱くなった。
    全てのことに鈍感の局地をいく父親と、ピンポイントで人の一番傷つくところを突いてくる母親の元にこれから戻って、りくはどう生きていくんだろう。
    人間らしい感情を知ってしまったことで、もっと生きることが辛くなるかもしれない。
    でもきっと、強くなれたんだろうな。
    もしかしたら初めて自分を本気で求めてくれた人に出会えたんだろうし。
    最後の涙は今までの自分の全てからの脱皮になればいい。

    この内容はみんなが理解できるものなんだろうか。
    この孤独感ってわからない人もいるんだろうなと思ったんだけど、どうなんだろう・・・

  • 時ちゃんが助かって良かった…!りくちゃんは、これからもおばちゃん家で暮らすのだろうか?チーパッパが可愛かった。

  • cafeクレタで何の気なしに手に取り、ぐいぐい引き込まれ。悲しいってなに?かわいいってなに?人前でだけ涙を流せる美しい少女りく。誰にも馴染まず、染まらず。ある日、自分の時間を自分の資格、勉強のために使いたいからと、関西の親戚のところに預けられ。それまで関西の文化、関西弁を嫌うように教えられてきたのに、180度の転換。母への憎しみを糧に留まり続けるけど、やがて、いとこの小さな子が懐いてきて、闘病の果てに電話してきて、そのあと…のシーンが胸に迫ってくる。

  • ダメだ。涙が止まらない。
    今年1番に好きな本です。

  • 上下巻通しての感想。
    猫村さんを読んで以来の著者の作品。
    とっても良かった。
    前半は何度も爆笑したけれど、最後にはジーンときた。
    関西弁、関西人を馬鹿にした感じは関西人当人が読んだらどんな気持ちなんだろうと思ったが。
    しかしながら、多くの人が持っている関西人のイメージがよく捉えられていたと思う。
    そして、言葉は雑でも情の深い彼らの良さが伝わってきて、これなら関西人も納得して読むのかなと思った。

  • 14歳の美少女りくは、東京の家から、関西の親戚に預けられる。関西の家庭のようなこんな家は、幻のように思えてしまう。ほんとにこんな家庭があって、そういうところで育って、年取って死んで、そしたらなんて幸せだろう。
    りくのお母さんを責める気なんかひとつもない。こうなってしまう理由とかそれぞれの立場生き方があるし、本当のところは誰もわかりっこない。
    関西のおかんと、お嫁さんのちょっとした会話や、おかんとおとんの会話、おかんとおとんと鳥の会話、おかんと息子の会話、孫の可愛らしさ優しさ、、、こんなのに囲まれてたら、、、
    時坊との電話のあと、わたしも14歳になってしまった!気がついたら泣いてしまっていた!

  • 20150708
    久しぶりにしみじみ文学っぽい物語を読んだ気分。

    夫婦の関係って、こどもに影響するよねみたいな話。あと、周囲の環境って大きいなと。

    前半は彼女を大人びた子だと考える環境で、他人に興味が持てず周囲をバカにしている感じだったけど、後半、感情に素直な環境で戸惑い、学校では自分のことも捻じ曲げられていくように思いながらも、うまく伝えられずにいて。今までは言わなくても良かったからわからないんだよね。そしてどんどん鬱積していく感情。これでいいと思ってたけど、違うの?というような。
    その中で、時ちゃんだけが、素直に聞いてくるんだよね、おねーちゃん、こうなの?あーなの?って。誤魔化せないことに気づいてイライラしつつ、だんだんと向き合ううちに、自分に素直になっていく。まぁありきたりではあるけど、様式美ってことでとても良いです。
    黙っていれば自分に都合良く解釈された前半と、都合悪くなっていく後半で、主人公が混乱していく様子も見応えある。
    揺れ動きが見事だなーと。
    お父さんが罪深いと思ったら、逆にお母さんのが罪深いように見えてくる後半。
    いや、どっちもどっちなんだけど。
    これじゃダメだと、主人公を送り出すお母さん、勝手だと思いつつも、本人が取り繕う(勉強したいなど)言葉の裏が見えてくると、なんだかとても悲しくなってきてですね。

    人を傷つけてそれでもついてきて欲しいってわがまま、嫉妬して欲しい、嫉妬できない、察して欲しいばかりの息苦しさとか。
    感情のコントロールなんて、大人でもできないのに、中学生ができるわけがない、でも、できると思ってる主人公が痛々しくみえる。
    主人公が変化したら、親も変化していくんだね。なんかいろいろあるんだろうなと思うけど、素直になって欲しいなと思うよね、お母さんもお父さんも。

  • 猫村さんより好き。
    あの絵といい鉛筆書きといい。
    りく、が下巻の最後の最後になって心を表現したあたり感動。
    関西弁も結果話しちゃうし。
    嘘泣きでない本気泣きも出来たし。
    あんな変なお母さんと暮らしてたから、りくも変になったんだろう。
    人を惹き付けといて、離す。

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著者プロフィール

1974年生まれ。関西在住。2003年7月より、「きょうの猫村さん」をネット上で連載。2005年7月に初の単行本『きょうの猫村さん 1』を出版し、日本中の老若男女を虜に。2015年には『逢沢りく』で手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した。著書に『きょうの猫村さん』『カーサの猫村さん』シリーズのほか、『僕とポーク』『山とそば』『B&D』がある。

「2017年 『2018年「きょうの猫村さん」卓上カレンダー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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