朝が来る

著者 :
  • 文藝春秋
3.90
  • (437)
  • (860)
  • (491)
  • (57)
  • (5)
本棚登録 : 5067
感想 : 781
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163902739

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「子どもを、返してほしいんです」親子三人で穏やかに暮らす栗原家に、ある朝かかってきた一本の電話。電話口の女が口にした「片倉ひかり」は、だが、確かに息子の産みの母の名だった・・・。子を産めなかった者、子を手放さなければならなかった者、両者の葛藤と人生を丹念に描いた、感動長篇。

    最後にひかりのことを朝斗ママが見つけてくれるまで、ずっと張りつめたような気持ちで祈るように読み進めていて、ようやくほっとして読み終えました。個人的に不妊治療の難しさやつらさを身近に感じる立場なので、やめたいという気持ちもとても分かる。子供を育てたくても世間の目や家庭の状況から難しい人もいることは分かっていましたが、もしもひかりのような人生を歩む人がいるのならすごく悲しい。彼女のような人がいたら迷いなく手を差し伸べられる大人でありたい・・・。この後ひかりは救われるんだろうけど、もっと一歩先を踏み込んで書いた話も読みたかった気がする。

  • 妊娠をめぐるそれぞれの立場の女性の想い。
    育てられなかった母の幼稚さ、成長のなさから、
    誰しもが辛い苦難を乗り越えたことで、平等に強く逞しくなれるわけではないと苦しかった。
    子供のために、私は強く優しく母でいたい。

  • 辻村さんの他の本では
    心の奥底を覗いてしまった感があるけど、この本はちょっと違った。
    すごく真っ直ぐ。こんな社会派なものも書けてしまうんだ。

    精神的にも経済的にも余裕があり
    子どもを信じ通せることの大切さをひしひしと感じたりもした。
    余裕がないと、子どもが入れる余白がないのも確かだなと。

    養親養子実母
    それぞれの心境が描かれてるのがよかった。

    解説にある“普通であることの退屈を打破したい想い”という表現もすごいな。
    学生のとき、妊娠した子を羨んでた時期があったのだけど、いまだにそんな人生に憧れを抱くのは
    まさにそれだ。

  • 夫が無精子症で子供に恵まれない佐都子と、中学生で好きな彼氏の子を出産したひかり。特別養子縁組を通じて知り合う事となる2人の女性の物語。
    子供が出来ない事に対する親世代との認識のギャップ、不妊治療やら顕微受精の精神的ストレス等の中でも、しっかりとした自分の核を持っている佐都子。
    共に教師でどちらかというと固く世間体を気にする両親に反抗心を抱きつつ、妊娠、出産をきっかけに普通の中学生からどんどん堕ちて行ってしまいながらも根っこに持つ健全性から風俗一歩手前ギリギリ踏み止まるひかり。
    いわれのない借金を払う為に、佐都子夫婦から金を取るべく養子である事を世間にバラすと言って脅すというひかりの追い詰められた浅薄さが哀れで、どうなるかと思いきや、救いのある結末で良かった。

  • すごく涙が出た
    色んな境遇での真面目さや、正義、があると思った

    世の中のことを知ること、
    考えること、
    相談する相手がいること、
    は大事なことで、教育を受ける機会の尊さを知った

  • 辛かった。
    やめたいって言えなくてごめん、というところがすごく、ぐわっときた。
    ひかりの話は、なんて浅はかで幼稚なんだ、、と思いつつも、こうなる可能性って全然、誰にでもあるなって思って怖くなった。
    教育とか、相談できることの大切さを感じた。

  • 母が2人、これには理由がある。みんな幸せになれるといい。

  • 栗原夫婦の温かさに救われる。
    義務教育での法律や性教育は出来ないのだろうか。

  • 特別養子縁組の話、としか知らずに読み始め、思っていたのとは全く違う展開に引き込まれた。
    特別養子縁組で養子を迎え、その子が6歳になったときに夫婦のもとにかかってきた「子供を返してほしい」という電話が発端。養子を迎える側の佐都子、養子に出す側のひかり、それぞれのここまでの人生が描かれていく。

    なによりも心を打たれたのは、佐都子夫婦がひかりを全面的に信じているところ。お金を要求してくる女性(ひかり)はあの子の母親ではないと言い切るところ。
    ひかりは、自分の両親からはいないものとして扱われていた。目の前に現実のひかりがいても、「失敗しなかったひかり」を親はずっとその背後に見ていた。一方で佐都子たちは、一度顔を合わせただけのひかりをまっすぐに信じていて、彼らの家では「広島のお母ちゃん」として誠実な姿で生きていた。その対比があまりにも見事で、ようやく救いのあるラストに向かっていくところがとてもよかった。

  • 物語に入り込み、一気に読んでしまった。
    ラストは涙が止まりませんでした。

全781件中 51 - 60件を表示

著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

辻村深月の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×