羊と鋼の森

著者 :
  • 文藝春秋
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  • / ISBN・EAN: 9784163902944

感想・レビュー・書評

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  • もしかしたら、
    すごい世界に生まれついたのかもしれない。

    何もかもを与えられているんだ。
    ただ私が見つけられていないだけ…。

    そんな幸福感の中で、本を閉じました。

    高校生の時、学校のピアノの調律に偶然立ち会い
    衝撃をうけてその道をすすむことになる
    新米調律師のお話。

    フォローさせていただいている方々のレビューで
    ずっとずっと気になっていた作品ですが
    ピアノや音楽と縁遠い生活の私が理解できるのかと
    ちょっと不安が大きかったもので。
    (宮下奈都さんの作品も初読みでしたし)

    なんのなんの。全く問題ありませんでした。
    ピアノの調律の話であるのに、
    主人公の苦悩や、先輩調律師たち、
    調律してもらうピアノの所有者たちの話は
    私にも通じるものが沢山沢山あるんです。

    調律されて共鳴し連なっていくピアノたちのように
    私の心も自然と整えられて、いい状態のどこかへ
    繋がった感覚があり、とても気持ち良かったです。

    私自身…だいぶ歪んでいましたね。
    でもそれもピアノと一緒で
    生きていればここに居続けるだけで
    自然と起こってしまうこと。

    いい本を見つけました。
    歪んでもまたこの本に調律してもらえば
    いいんですから☆

    羊ってすごいんですね。素敵な字の元だなんて。
    …できれば未年の間に読みたかったなぁ…なんて。

    ピアノもすごい。
    調和のとれた森に会いに行きたくなります。

    コツコツコツコツやって、
    今年どれだけ溶けている「美しい」を取り出せるか。
    なんだか楽しみになってきました。

  • 漆黒の森に冒険に出かけ成長して行く。
    知らぬ間に鳥肌が立つ自然の香りがする美しい文面。

    裏方の調律師がピアニストをダイナミックに大海原に出航させる船頭の様だ。

    主人公の外村は、そんな大自然を相手に解答が難しい仕事を繊細な心でピアニストの船頭になる日が来るだろう。

    彼もまた、ピアノで食べて行くのではなく、ピアノを食べてやる調律師の未来が垣間見えた。

  • 静謐で、崇高なまでの音の世界にひたることができました。

    才能があるとかないとか、そんなことは問題ではなく、
    一人の調律師の”音”に憧れ、
    迷いながらも信じる道をひたすら進む外村。
    その純粋さが羨ましくなるほどでした。

    不器用な人が、自分なりに模索しつつ成長していく話って、好きなんですよね。

    そして表紙が可愛い~♪
    読んでいくうちに楽譜の上の羊たちが
    ピアノの音にあわせて、ぴょんぴょん跳ねそうに見えてね。

    最後に鍵盤に触れたのがいつだったか、思い出せない私ですら、
    無性にピアノが弾きたくなってしまいました。

    いや、弾くというより、ぽーん。ぽーん。と鍵盤をたたいて、
    その響きを感じてみたくなった、と言った方がいいのかな。

    今まで読んだ宮下さんの作品の中でも、
    特に好きな一冊になりました。

    • あいさん
      こんばんは(^-^)/

      私もこの作品早く読まなくちゃ!
      杜のうさこさんのレビュー読んでますます読みたくなっちゃった。
      伊坂さんと...
      こんばんは(^-^)/

      私もこの作品早く読まなくちゃ!
      杜のうさこさんのレビュー読んでますます読みたくなっちゃった。
      伊坂さんとどちらを先にしようか迷うわ。

      宮下さんの作品でも特に好きな作品だと書いてあるのがこの作品の素晴らしさを表していていいわぁ(^o^)v

      こちらも待っててね〜♪
      2015/12/05
    • 杜のうさこさん
      けいたんさん、こんばんは~♪

      この本、ほんとに良かったよ~。
      けいたんさんも、きっと感動してくれるんじゃないかなって。

      それと...
      けいたんさん、こんばんは~♪

      この本、ほんとに良かったよ~。
      けいたんさんも、きっと感動してくれるんじゃないかなって。

      それとお返事に書いてくれた『あなたへ』読んでみた~い。
      凛…楽しみ♪
      お互い読みたい本が次々とできて、困ってしまうね。
      嬉しい悲鳴だわ(#^^#)

      オカマさんも一緒♡
      私たち好きなものが似ている「ゆかいな仲間♪」って感じだね!

      それと今日見てたドラマに、
      主演の天海さんが『ナオミとカナコ』読んでるシーンがあって、
      けいたんさんも今頃…って思っちゃった。

      いつも優しくしてくれてありがとう♪
      こちらこそ、これからもずっと仲良くしてね(*^-^*)
      2015/12/07
    • あいさん
      私もとても嬉しいよ!
      これからもよろしくね♪

      うさちゃん、頭いいねぇヾ(≧∪≦*)ノ〃
      レビュー書いてないのなんてあったんだ、私(...
      私もとても嬉しいよ!
      これからもよろしくね♪

      うさちゃん、頭いいねぇヾ(≧∪≦*)ノ〃
      レビュー書いてないのなんてあったんだ、私(笑)
      では、お互い消し消ししましょう。
      2018/06/27
  • 読んだ気がする、いや、映画を観ただけなのか?と曖昧になってしまっていたので、今更ながら読みました。

    ピアニストではなく、調律師のストーリーという視点が面白いですよね。私も小さい頃ピアノを習っていたので、幼い頃、たまーに調律師の方が来たことがあったなぁと思い出しました。

    「明るく静かに澄んで懐かしい文体 少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えている文体 夢のように美しいが現実のようにたしかな文体」
    ピアノの素敵な音って本当にこれに尽きると思います。

    さらに、自然の美しさ、豊かさを的確で無駄のない言葉で表現されていて、これまで自分が言葉で言い表せなかったことが沢山あって、そうそう!と思いながら読みました。作者と同じ出身地なのですが、海も山もあり、自然豊かなところです。だからこそのこの表現力なのかなぁと思ったら、なぜかちょっと地元が誇らしくなりました。
    また何年かしたらまた読みたい一冊になりましたし、また1人好きな作家さんが増えました。

  • 北海道を舞台に、主人公が調律師として成長していく姿を描いた小説。

    ピアノの音や、主人公の”外村君”の心情を表現した文章がとても美しい。舞台となっている北海道の情景が浮かんでくる。作中に出てくる原民喜の言葉が、ぴったり当てはまる文章。

    調律師の仕事に対する知識が全く無く、一律に同じ音になるように調整すると思っていたので、目から鱗でした。調律師と演奏者、人の手で作られた音だから、聴く人を感動させるんでしょうね。

    ”外村君”は、本人も読者も気づかないうちに、とても緩やかに成長していく。不器用にも見えるけど、周りの人の言葉を素直に受け止め、悩みながらも真っ直ぐ努力している姿が胸を打ちました。

  • 調律師をモチーフにした仕事小説。ピアノの調律の奥深さを感じさせてくれる。一切の情熱を仕事に注ぎ、つまづきながらも成長していく主人公の姿は美しく感動的。

  • ピアノの調律師の話。調律師という仕事と向き合い、先輩の助言を受けながら成長する話。
    読み終えて、調律師の仕事を垣間見れたと思う。面白いとかそうゆう判断をする本ではないかもしれない。

  • 純文学なのに実に読み易い。
    2~3時間もあれば読み終わってしまう。
    こういう純文学も珍しいのかもしれない。

    所謂、国語の教科書の教材になりそうな本だなぁというのが率直な感想。

    これが初めて読む本であれば、私はとても感動したと思うし、
    文章の美しさに圧倒されたのではないかと思う。

    澄んだ、品のある文章で、読んでいてとても心地が良い。

    しかし、平野啓一郎先生のマチネの終わりにを読んで、まだ時間が経ってない今・・・
    今ひとつ物足りなさを感じてしまうのは、心が贅沢になりすぎているのかもしれない・・・(^-^;
    それくらい、平野啓一郎先生の「マチネの終わりに」が良かった。
    この本を手にとって高評価を付けた方には、是非読んで頂きたい。。。

  • タイトルから内容が想像できなかったが、なるほどそういう意味だったのか。
    裏方職人の世界。調律師のように影の存在だけれど、確かに何かを支えている仕事というものがほとんどなのではないだろうか。
    そういう世界の奥深さを、我々現役世代はもっと知るべきだろう。

    • mayutochibu9さん
      ピアノコンサートで裏方さんのことが知ることができて為になった。
      ピアノもどうしているのか気になりました。
      前、休憩でチェックしてますよね...
      ピアノコンサートで裏方さんのことが知ることができて為になった。
      ピアノもどうしているのか気になりました。
      前、休憩でチェックしてますよね。
      2019/05/03
    • ロニコさん
      コメントありがとうございます。
      コンサート前の調律師さんのお姿は見たことないのですが、毎年40年の年月を経たピアノを調律して頂いてます。子ど...
      コメントありがとうございます。
      コンサート前の調律師さんのお姿は見たことないのですが、毎年40年の年月を経たピアノを調律して頂いてます。子どもが弾くだけのピアノですが、どんなピアノにも誠実に向かうその仕事への姿勢に、自分にはないプライドと情熱を感じます。
      2019/05/03
  • 最近、活字の細かい本のピントが合いづらくなってきた。
    (げ。これが老眼、というものだろうか?!)
    私は不安になった。
    老い、に対するソレでは無く、
    将来、本が読めなくなる事への不安が、だ。

    目の機能の衰えのせいで
    本が読めなくなるのなら、
    その先の人生に何の意味があるだろう?
    ちょっと前に
    「まだ来ぬ不安に対する心配など、何の意味も無い。」
    と、枡野住職の本で学んだばかりだと言うのに、
    全く私の学習能力の低さには
    自分自身あきれるばかりである。

    そんな私を見捨てずに
    この物語には
    「物語」が活字の中にばかり存在しているのではない事、
    どうしても、と求めるものは
    宝箱の中ばかりでは無く、
    本の中ばかりでは無く、
    どこにでも存在している事に気がつく感性をほおっておくべきではない事。を、教えてもらった。

    物語の中に綺麗なメロディーが流れる。
    目を閉じて、
    私は見た事も、行った事も無い場所の風景を思い浮かべる。
    音を捉えていない耳でも、
    活字を捉えきれない目でも、
    不思議とコロコロ、物語は(聞きたい)と言う欲求が拵えた道を見つけて必ずやって来てくれる。

    物語の主人公であるピアノの新米調律師の外村には、
    板鳥さんの様な天才的な感性も才能も無いかも知れない。
    でも、それがなんだと言うんだ。
    …と、突っ走る頑固な勇気が人生にもたらしてくれるものは大きいんだなぁ、としみじみ感じた。

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著者プロフィール

1967年、福井県生まれ。上智大学文学部哲学科卒業。2004年、第3子妊娠中に書いた初めての小説『静かな雨』が、文學界新人賞佳作に入選。07年、長編小説『スコーレNo.4』がロングセラーに。13年4月から1年間、北海道トムラウシに家族で移住し、その体験を『神さまたちの遊ぶ庭』に綴る。16年、『羊と鋼の森』が本屋大賞を受賞。ほかに『太陽のパスタ、豆のスープ』『誰かが足りない』『つぼみ』など。

「2018年 『とりあえずウミガメのスープを仕込もう。   』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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