武士道ジェネレーション

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 255
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  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163903002

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。武士道とはとか、日本の歴史についてもちょっと考えさせられた。早苗ってあんなキャラだったけ?

  • 作品紹介に6年ぶりの最新刊とありますがそれはだいぶ前の話なのですぐ読んじゃいますw
    いきなりの衝撃的展開からのスタート
    桐谷道場の閉鎖問題も絡みつつ二人の武士道に一応それぞれの答えがみつかり大団円的な最終刊となっております
    そして終わり方も良かったです
    ベタですが自分ベタ大好きであります

    二人の友情が永遠であれ!

  • 武士道シリーズの続きもの。
    主人公の早苗と香織が社会人になって(大学時代含む)のストーリー。
    早苗は結婚し、香織は桐谷道場を引き継ごうとする。

    早苗に似てるなと思うところが、けっこうじっとしていられない性分なとこ。日舞がないから剣道とか。帰宅部でも、読書でも良かった。時間の使い方は様々だ。それでも何かしたかった。で、探して、見つけたのが剣道。

    その中で玄明先生のお言葉、
    人が何かを守ろうとする時、気持ちだけでは叶わないことが多い。そんな綺麗事で成り立つ世界ではない。必要なのは圧倒的な力。それでいて暴走しない、抑制的、禁欲的、どこまでも制御され、研ぎ澄まされた力。持ちえなければ奪い合いの渦に飲み込まれる。打って勝つな。勝って打て。
    シカケとオサメを学んだ沢谷さんは、その言葉の通り驚異的な記憶力、判断力、冷静さでもって技を使いこなす。

    その精神があるからなのか、玄明先生は樹のような人と感じるのだろうか。この様な佇まいを尊敬するし、なりたいと思う。
    大木ではないけれど、根はものすごく太く、広く、地中に張っている、樹。

    シカケもオサメ知った上で、攻防は円のように連なりグルグルと回る。大切なことは技を覚えることではなく、体に取り込み、染みつかせ、使いこなすこと。
    これは剣道のみならず、あらゆる戦いの本質なのかと感じる。

    その中で個人的にはオサメることの強さというか、大事さというのか、そういうものを感じる。中心はどこ?押さえるとこはどこか?

    香織は悠太に稽古をつける。悠太が失敗すれば、香織が傷つく様な稽古。
    剣は暴力である事実。その暴力を封じるにはそれ以上の力が必要。相手を傷付けることなく、暴力のみを封ずる。それこそが武道。だから、生半可な力では駄目、上辺だけの正義も駄目。真ん中から、ブレずに真っ直ぐ、前に押し出す。そういう技と、気持ちが必要。
    本質を突いている言葉だと感じる。

    早苗から貴重な沢谷さんとの時間を奪ってしまった香織に対し、知っていたことを黙っていてごめんと謝る早苗。
    その早苗を前にして、香織は単に悪者になりたくないと、面倒なことに首を突っ込みたくないと、問題から逃げていたと自覚する。
    これ自分によくあると思う。逃げるよ。嫌だもの。でも、そこで謝るも、譲れるところ、譲れないところがはっきり付けれる香織。見習いたい。

    世のためを思い、他人を敬い、精進を怠らない。これされ守ればどこでもいつでも誰とでも生きていける。
    力に勝つにはより強い力を持ち、またその力さえも制さなければならない。戦いを収めるための戦い。持てる力を如何に使うのか。
    なぜ生きるのか?それを突き詰めれば、人生を使った暇潰しにほかならない。確かにそうだなぁ。ならば大事なのは、どう生きるのか?誰のために生きるのか?か。確かにそうだなぁ。
    人は誰もが、日一日、一日と、死に向かい生きる。その覚悟があろうとなかろうと、死は万人に等しく訪れる。ならば、その覚悟をして戦う。そうしている人だからこそ、見つめ続けられる答えがあるように感じる。

    全編を読み通し、誰もが先を進み、様々な人生を魅せていく。そんなキラキラした仲間が羨ましい。俺も自分の繋がりを大事にしたい。
    繋がりを大事にするとは、どうすることなのだろうか。

  • 香織と早苗の大学時代以降のお話。
    このシリーズは読み終わった後にとても爽やかな気持ちになります。

  • 早苗の結婚や桐谷道場の後継者問題と、新しいステージに進んだ2人。2人の関係性はもちろんまだ続いていて、きっとこれからも2人はこの距離感でつながっていくんだろうなって思える話だった。途中、戦争や慰安婦などの話が突然出てきて、自分が日本の歴史に無知なこともあり、唐突感があったが、作者が主張したいことなのだろうと感じた。勝負を楽しみ、極めていく剣道もあれば、自分がこれまでできなかったことをできるようになることに喜びを感じる剣道もあるというところが印象的だった。

  • このシリーズが好きで、全て単行本で読んでいる。一挙に四年間を描いた前回でもう終わっていたと思っていたので、虚をつかれた。メン一本、「ンメェェェーアッ、タァッ」って処か。油断も隙もありゃしない。今回は大学卒業後から一挙に約5ー6年間を描く。2015年刊行。

    早苗が、何と言うか、武士道を歩いていない気がする。もちろん、いろんな道があっていい、というかそれが人生なんだけど、それならば香織と早苗、2人の視点を交互に描く必要はなくなるのではないか。結局、今回は早苗の視点も借りた香織の武士道青春物語になったのではないか。だから、もういくらなんでもこれで終わりでしょう。私は少女が頑張る話が好きなので、2人の成長を見て来た。早苗の稚拙な反・自虐史観に辟易したこともあるけど、もう2人は見守るような年頃でもなくなった。

    それと、ここに来て作者の思想についていけなくなった。早苗をたしなめるかのようにして、著者は大人の意見として「理性に裏打ちされた圧倒的な力を持つ必要性」を説く。個人の場合はいいけど、それを安易に国の問題まで広げてはダメだと私は思う。その他いろいろ異論を持ったけど、大筋ではないので割愛する。

    香織の武士道人生に幸あれとは思う。

    2017年3月30日読了

  • 今までで一番深いストーリーだった。
    人はなぜ生きるのか、人生は暇つぶしであるという答えも一つ、どう生きるか考えることも一つ。
    日本に産まれたことを誇りに思い、どう生きていくかをもっと真剣に考える人生を歩けることが、幸せなのかもしれない。

  • シリーズの中でも一番読みやすかった。
    磯山さんは変にギラギラしたところがなくなってとても感じのいい武人になっていた。早苗はすっかりお嬢さんに。
    そして充也さん。イケメンオーラ半端ない。
    さらに吉野先生。鬼て。嬉しい。
    政治観は申し訳ないが流し読みしたけれども、とても面白かった。
    人を傷つけてはいけない、命を大切に、など綺麗事だけど、そういった言葉にするほどに伝わりにくくしてしまうことを、伝える力のある物語だと思う。
    一生懸命生きようと素直に思える。
    瑛斗の物語を期待します。

    • komoroさん
      読みましたか。
      また、同じ本について語り合いたいですね。
      9nanokaさんの独特な感性が懐かしく思い出されます。
      読みましたか。
      また、同じ本について語り合いたいですね。
      9nanokaさんの独特な感性が懐かしく思い出されます。
      2016/09/17
  • 思わぬところで戦争論始まってびっくりするけども、読み終えた今となってはこの作品で語られた「武士道」を説明するために必要だったのかな、と着地してます。
    アメリカ人のジェフが語るシーンがあってこそだとは思うけどね。

    高校卒業後の沙織と香苗二人のお話し。題名のジェネレーションは、最後の言葉「この武士道を、続く者たちに、つたえなければならない」という意味での世代という意味なのかな、と思いました。
    玄明先生の言葉や、ジェフの未来への言葉。誰もが生きた時代は違えども、自分たち以後の世代に伝えるべきことの本質は変わらない、ということではないですかね。
    結婚・出産もその象徴。
    ジェネレーションギャップで済ましてはいけないこと。紡いでいくことが何より必要なこと。

  • この作者の他の本はどうしても好きなれないのに、武士道シリーズだけは他に類を見ない位好きです。とうとう完結してしまいましたね~。まあこの本から読む人は居ないと思うので、シックスティーンからしっかりと読んで頂きたいですね。最初はおしとやかな早苗派だった僕ちゃんも、すっかり男勝りな香織のファンと相成りました。

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著者プロフィール

誉田哲也
1969年東京都生まれ。2002年『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞受賞、03年『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞。主なシリーズとして、『ジウⅠ・Ⅱ・Ⅲ』に始まり『国境事変』『ハング』『歌舞伎町セブン』『歌舞伎町ダムド』『ノワール 硝子の太陽』と続く〈ジウ〉サーガ、『ストロベリーナイト』から『ルージュ 硝子の太陽』まで続く〈姫川玲子〉シリーズ、『武士道シックスティーン』などの〈武士道〉シリーズ、『ドルチェ』など〈魚住久江〉シリーズ等があり、映像化作品も多い。

「2023年 『ジウX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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