選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子

著者 :
  • 文藝春秋
4.16
  • (68)
  • (66)
  • (26)
  • (2)
  • (4)
本棚登録 : 667
感想 : 79
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163908670

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • いろいろ考えながら読んだ。
    たくさん泣いた。
    私には子供がいない。
    ダウン症の知り合いがいる。
    明るくて面白くて可愛い。
    だけど、自分のことだったら?
    いろんな観点から考える。

  • 結婚したら自然に子供を授かり、何の問題もなく妊娠を継続し、無事に元気な子が生まれ、健やかに育って大人になり、社会に出てやがて自分の家庭を持つ。
    それが当たり前だと思ってしまうが、実際にはそれがどれほどの奇跡なのか。
    出生前診断をするかしないか。その結果どうするか。
    実際にその立場になってみなければ自分がどんな選択をして何を思うかなど分からない。
    どちらを選んだとしても後悔や苦労はあるだろう。

    この裁判は担当医師の態度が変わってしまったことから不信感が募り、子供に謝って欲しいという思いからこじれていったように見えた。
    だが、別の医師の「謝の言葉を言われると医師としての充足感も感じた。それは全て結果が良かった場合。結果が悪いと感謝の気持ちは憎しみとなってこちらに向かってくる。それが耐えられない」という言葉が重い。

    現在の法律とその成り立ちなどもあるのでいかに複雑な問題なのか、それぞれの立場でとらえ方も印象も変わってしまい、とても難しい。
    著者がフラットな視線でいろいろな立場の人の声を拾っているので、いろいろな角度から考えてみたいと思う。

  • 2020/04/08

  • 私は40歳で出産を迎えたので、出生前診断を一度は考えました。けれど受けませんでした。

    「運を天に任せる」といった、ある意味、無責任な理由からです。もし診断を受け、染色体異常などが見られたとしたら、どのように向き合ったら良いのかを考えると、運を天に任せるしかなかった、ということです。

    本書では、命について考えさせられました。

    この件は、「そういえば、ニュースで見たような気がする」という程度の記憶しかありませんでした。報道では限られた側面しか伝えられないことが多いので、母親のことが誤解されて社会に伝わっていたと思います。

    この母は、本当に、子どもが苦しんだことに対して、一言でいいから謝って欲しかったのだろうと思います。
    とても愛情深い母親だと思いました。

    今日も様々なニュースが報道されています。
    聞きかじった一部分だけで、是非を判断しないようにしたいと心から思いました。

  • 2020.03.10 著者のTwitterプロフィールで本書の存在に気づく。

  • 障害についても、患者側、医療者側についても、
    結局立場変われば、当事者になれば意見も変わるんだろうな
    自分が選んだ、考えたことを正当化したくなると思う
    それが善か悪かなんて他人が決めるものではないな

  • 産んだ産まなかった、生きている死んだというそれぞれの関係者にインタビューしている。

  • 命の選択について考えさせられる。
    中絶も、今の日本の法律の上でグレーゾーンで行われている実態ついても知らなかった。
    これから医療技術の進歩によって、出生前に色々な情報がわかるようになると、どこまで親が産む産まないを判断する権利を持つべきなのか。

  • 医師の勧めで出生前診断(羊水検査)を受けた41歳の女性。結果は陰性だったが、生まれてきた子はダウン症だった。それに起因する様々な疾患のため、3ヶ月半でこの世を去った子・天聖。医師の単純なミスで結果を誤って伝えられた両親は、その後の対応への不信感もあり裁判を起こす──。なんのための、誰のための検査なのか、異常が見つかったら中絶すべきなのか、生まれてきた子が障害を持っていたら……などなど、様々な疑問や考えが交錯するなか読み終えた。当然、答えなど出せない。……全然関係ないが、実の親に虐待され命を落とした子たちも、妊娠中にこの検査を受けて生まれてきたのだろうかと、ふと思った。

  • ダウン症

全79件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

河合 香織(かわい・かおり):1974年生まれ。ノンフィクション作家。2004年、障害者の性と愛の問題を取り上げた『セックスボランティア』が話題を呼ぶ。09年、『ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち』で小学館ノンフィクション大賞、19年に『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』で大宅壮一賞および新潮ドキュメント賞をW受賞。ほか著書に『分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議』『帰りたくない 少女沖縄連れ去り事件』(『誘拐逃避行――少女沖縄「連れ去り」事件』改題)、『絶望に効くブックカフェ』がある。

「2023年 『母は死ねない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

河合香織の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三浦 しをん
村田 沙耶香
ヴィクトール・E...
恩田 陸
エラ・フランシス...
宮下奈都
塩田 武士
佐々木 圭一
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×