職場の科学 日本マイクロソフト働き方改革推進チーム×業務改善士が読み解く「成果が上がる働き方」

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163912370

作品紹介・あらすじ

〈週勤4日〉〈出社不要〉〈人生100年時代〉日本マイクロソフトが明かす職場のデータ分析!高い成果を上げる人はどんな働き方をしているのか。1兆ドル最強企業日本法人 × 『職場の問題地図』著者が職場データから「成果が上がる働き方」を徹底分析。アフターコロナに「働き方格差」時代がやってくる・「紙」と「会議」はこうしてなくせ・リモート勤務は「ニューノーマル」・信頼される/されない上司の違い日本企業は今、「岐路」に立たされている・緊急事態宣言前に、本社出社率1.7%が達成できた理由・「週勤4日週休3日」の衝撃・「紙の情報」では古すぎる・会議は「30分以内」「5人以下」・成果を上げる営業ほど「限られた相手」と「密なコミュニケーション」をしている・部下からの信頼が厚い上司はメールの返信が3時間早い・「とりあえずメール」の発想をやめる・会議のコストを見える化する・データが導く最適な「部下の数」とは

感想・レビュー・書評

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  • コロナに前後して、リモートワークにより生産性を高められるかどうかが、問題提起です。

    本章のデータから読み解く「職場の科学」がおもしろく、
    ・部下の数が5人以下と6人以上では上司の負担が大きく変わる
    ・部下からの信頼が厚い上司はメールの返信が3時間早い
    ・優秀な人ほど「上司と一緒の会議」にでている時間が短い
    など、「科学」に裏付けられるテーマがあげられています。

    最後に、「日本企業も、インターナルコミュニケーションに力を入れ始めている」とのことで、労働時間は減ったが本当に生産性は上がったのかとの疑問に対する解決策としての示唆で終わります。

  • データが導く成果が上がる働き方とは!?

    やみくもに働き方改革をすればいいってものじゃない。きちんと科学的根拠(データ)に基づいたものでないと、本末転倒になる。

    各企業、自分たちに合った「勝ちパターン」を見つけることが大事。

    本書が星3つなのは、「科学」といいながらデータがやや曖昧で、著者の感覚的なところから話を進めているような感触が否めなかったから。加えて、後半になると「そんなの当たり前だろう」という話も多く、何となく中だるみのまま完結してしまったのが残念だった。

  • マイクロソフトは2017年より自社製品の
    「ワークプレイスアナリティクス(チームや組織全体の動向を把握)」
    「マイアナリティクス(本人だけが参照できる、働き方を見直すきっかけづくりや進捗確認のためのツール)」
    →「ホワイトカラーの働き方」を徹底的に「見える化」する

    「勝ちパターン」は業界によっても、企業や部署によっても、個人によっても異なる。大事なのは、それぞれの勝ちパターンを見つけ、実践すること。今の時代や状況に即しているパターンであることが重要。

    リモートワーク中のビジネスパーソンが、ハンコを押すために出社しなければならない実態が問題視。ハンコだけの問題を解決するのではなく、本気でコラボレーションを促していくためには、就業規則、労務管理、時間管、ICTのデザイン、職場環境の整備、教育にいたるまで、すべての最適化が必要。

    外を知らない管理部門は悪気なく自分たちの「正義」を押し通そうとします。
    外資系企業は特に顕著で、マイクロソフトでも社内の管理部門は、事務仕事を行う部署ではなく、各専門業務のコンサルティングチームとなっています。

    マイクロソフトでは原則、情報はオープンになっていて、誰でもリアルタイムでアクセスできます。
    紙文化は「限られた人だけ」の情報共有をしやすくる、クローズドな情報共有スタイルです。中には「情報が欲しければ、俺のところに来い」のようなマウンディングをする人もいて、働く人たちのモチベーションやエンゲージメント(組織に対する帰属意識や愛着)を下げます。

    「部下5人までなら上司の負荷はそれほど変わらない」について。
    テレビの戦隊モノ、レンジャーモノの多くは5人です。「5人」は視聴者にとって覚えやすく、キャラクターや特技、強味をお互いが吐合しやすい人数です。仕事においても「お互いの必殺技」を理解したり、強味・弱みを共有したり、役割を切り分けるにあたって、5人程度は最適な人数と言えるのかもしれません。

    マネジメントで大事なのは「モヤモヤを減らす」こと。
    上司が何を考えているのかわからない。自分の状況を理解してくれているのかわからない。何を大事にしてるのか、お互いの得意・不得意もわからない。このような場面でモヤモヤするケースは案外多い。こうしたモヤモヤは、モチベーションも、エンゲージメントも著しく下げてしまいます。
    信頼される上司は、必要な情報の共有で部下のモヤモヤを軽減している。

    人は「情報を与えられないと主体性が下がる生き物」です。情報は守秘義務の問題が発生しない限り、徹底してオープンにした方がいいと思います。

    結果を残すのは「個人で力を発揮できる人」ではなく「コラボできる人」

    メールは情報を属人化させやすい。→ビジネスチャットへ

    「社内人脈の広がり」は社員の「成長」に等しい。

    株式会社NOKIOOでは「ラウンドロビンランチ」なるユニークな取り組みを行っています。社員数およそ20名。全員が総当たりで「1対1」でランチに行く。社内には、まるで対戦表のような大きな図が貼り出されて「今日は誰と誰がランチに行くのか」が一目でわかります。ちなみに、費用は会社持ちです。

    相手が社内であれ、社外であれ、リモートの方が参加しやすいのは明らか。忙しいインフルエンサーや専門家の人に「ちょっとでもいいから会議に参加して欲しい」が叶う。新型コロナウィルスの問題で「リモートワークが広がった」なんてレベルではなく、企業として、組織として、絶対に活用すべきリソースです。

    「いつ、横やりが入るかわからない」環境自体がストレスであり、集中力、生産性の妨げになっている。
    →子育てでは、あるあるで、細かく作業をストップしながら進める技術は働くままは持っているが。

    上司は、人脈の広さも含め、常に部下より優秀な存在でいる必要はありません。むしろ、上司を超えていくような人材を育てることこそが価値。

    優秀あマネジャーほど部下の仕事のばらつきが少ない。
    それぞれの部下の状況に合わせて、質・量の最適配分を行えるのが優れたマネジャーである。優秀な個人への依存度が高いのは組織の脆弱性にもつながります。
    優秀な人に仕事が集まるのは世の常ですが、まず部下それぞれが「どのような仕事を、そのくらいやっているのか」をきちんと把握する。「業務量の把握」がすべてのはじまり。

    改革のポイントは「やらないことを決める」

    リモートワークは福利厚生ではなく「生産性向上の選択肢」

    リモートワーク、ペーパーレス化の波に乗り遅れると「負け組」になる

    何よりもまず上司自身が制度を使う!

  • 著者の別作品「仕事ごっこ」がおもしろかったので、次は日本マイクロソフト社とコラボされたこちらの本読了。
    文章が読みやすいです。

    個人的にささったのは、以下。
    ・モヤモヤは人の主体性を奪う
    「情報」「権限」「評価(短期長期)」「環境の自由度」の4つのポイントでみる。少しずつ変えていく。
    ・11.「個人の業績」だけの評価をやめる
    促したい行動があるなら、しっかりと評価制度にビルトインさせて絵に描いた餅を避ける
    ・26.現場のリーダーが変わらない限り、社内の価値観は変わらない

    いま働いているところは、まさに「制度は整っているけれど、機能せず」の状態。立派な餅がたくさん陳列されていて食べられません。意見を言わない女性しか評価されないって、入社前にわかりたかった!
    くじ引き(転職)やり直します

  • 良い

  • 生産性の高い組織、信頼されるマネージャー等が統計的に示されており説得力があった。

  • 個々人の働きをデータにより量と質で可視化する。生産性を改善する目的だが効果的に利活用できているのか?
    データ化することに関して、全く意味がないとは思わない。
    むしろ、非常に有効だろうと思う。
    例えば、活躍しているハイパフォーマー社員のデータを観測することで、他者とどんな異なる動きをしているのか?
    そんな具体的比較が出来るだけでも、マネジメント側に気付きがあるだろう。
    しかしながら、実情はなかなか困難だ。
    それは人事側のスキル不足も正直大きい。(私のスキル不足という固有の問題だが)
    さらに、システムを管理する人事側の負担が大きいのも現実的な課題である。
    なかなかデータというのは不思議なもので「数字で見れば一目瞭然だろう」と思っても、案外と読み解く人によって解釈にブレが出たりする。
    「10点満点中5点」と出た場合は、「多い」と思うのか「少ない」と思うのか?
    当然実点数だけでなく、他者と比較したり平均値と比べたりするのだが、それでも調べれば調べるほど迷子のように深みにハマる時がある。
    この辺も永遠の課題であるが「もっと上手くできないものか」と常日頃悩んでいる。
    定型化された業務であればあるほど、数値化して生産性を計ることは分かりやすい。
    しかし今の状況でそういう業務が社内にどれだけあるのか?
    特にこれからの時代はAI化が益々進んでいく。
    数値化しづらい「人間ならでは」みたいなものの価値が高まるのは間違いない。
    この状態で科学的アプローチがどこまで有効かは、その時になってみないと分からない。
    あくまでも個人的な感想かもしれないが、そんな悩みを私(今まさに人事で働いている)が抱えているということも補足しておきたい。
    非常にレベルが低くて申し訳ないのだが、科学的アプローチで分かりやすく結果が出たのが、社内のペーパーレス化だった。
    これもさらにレベル低い話であるが、ペーパーレス化がDX上で大きな一歩になることは案外本質であるため、少しでも話が進展して安堵したというので印象に残っている。
    もちろん「紙を無くすことがDXの本質か?」と疑問に思う人も多いとは思う。
    しかしながら、今までの仕事の発想を全く変えて「全部紙を無くす」という極限まで突き詰めたことで、結果的にその後のDXの施策がすんなり入っていったのは確か。
    「本当にそんな単純な話?」と疑うかもしれないが、結局「簡単なことほど難しい」という典型事例ではないかとさえ、今でも感じてしまう。
    この事例も含めて、見極めが非常に困難なのだ。
    人事側でその見極めを背負うことは、社内の人事部の力関係にもよるし、周囲の理解力にもよる。
    ペーパーレスは絶対に必要だったのに、効率性以前の問題で「絶対に今までの仕事のやり方を変えたくない人たち」が、案外と多数存在したことも事実である。
    コロナ禍だったからこそ「各人事の施策を無理矢理進められた」という側面も正直大きい。
    社内で改善したいことはまだまだ多数あるが、今後どこまで実施出来るかは分からない。
    効率化&生産性向上の歩みを止めるつもりはないが、困難は続くだろうことも想像している。
    どれだけスピード感を持って、本気でやり切るかが非常に重要だ。
    そうでないと、もう今の会社は生き残れない。
    これだけ急激に社会自体が変化している中で、その変化について行けなければ負けるだけである。
    そういう意識を今の経営陣がどれだけ持っているのか。
    「あと数年だけ、つつがなく過ごせれば」と考えている人も現実的にはいると思う。
    しかしその考えは確実に命取りだ。
    断固たる決意と実行力が、今こそ必要なのだと思う。
    本書を読んで1点だけ「当社の状況はさらに変化しているな」と感じたところがある。
    「無駄な会議は止める。そして会議時間はとにかく短くする。会議コストも可視化する」という部分。
    書いてあることはその通りの部分が大きいのだが、当社の場合は「会議(というか打ち合わせや議論)」が増えている傾向がある。
    それは「解決しなければならない課題」が山積しているためだ。
    「課題が見えているなら、解決のための実行をすればよいのでは?」と思うだろうが、そんな単純な話でもない。
    解決しづらい課題ほど先送りにされ、結果山積みになったという状況なのだ。
    そもそも正解がないために、1人の判断ではなく多くの知恵を使ってこの時点での最適解を求める必要性がある。
    そのためには、どうしても「議論」が必要なのだ。
    しかも1回の議論で結論が出ることは少ないし、そもそも議論し尽くすためには相当な時間の確保が必要となる。
    「会議は30分以内」などを強制的に当てはめると、いつまで経っても結論が出ないことになってしまう。
    こういう部分はデータ分析だけではどうしても計れない。
    まだまだ社内では、課題解決のための議論が足りていない。
    早めに結論を出して、実行して行かなければならないのに。
    この辺も含めて、人事部としての大きな悩みなのである。
    (2023/7/30日)

  • 全体的にきれいにまとまっていて読みやすかった

  • データを羅列するようで、深い所見が無く残念。もっとユニークじゃないと読み飽きる。

  • Microsoftの組織の話。
    働き方の選択肢と社内の色々な人とのコラボレーションを促している。
    営業ハイパフォーマーは顧客対応数が少なく1社あたりの対応時間が長い

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著者プロフィール

作家/ワークスタイル&組織開発専門家
あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOOアドバイザー/
株式会社なないろのはな 浜松ワークスタイルLab所長/
ワークフロー総研フェロー
日産自動車、NTTデータなど(情報システム・広報・ネットワークソリューション事業部門などを経験)を経て現職。350以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。

「2023年 『悪気のないその一言が、職場の一体感を奪ってる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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