一人称単数

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163912394

感想・レビュー・書評

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  • 短編集。それぞれ独特の雰囲気があって、良かった。表題作、クリーム、謝肉祭、石のまくらが良かった。

  • 一人称単数…自分であり、自分でない存在となり、出来事に向き合うのはとても大変。特にメンタルがキツい。
    今の私の精神状態では、荷が重すぎたかも。コロナ禍が明けたら、また読んでみたい。

  • 村上さん版・夢十夜、というイメージを持った。
    短編集。
    絵がよい。

    「石のまくらに」
    夜を過ごした女性が送ってきた歌集。
    ←口をそそぎ。

    「クリーム」
    ある女の子に招待されたピアノ演奏会の会場で。
    ←関西弁読むと、村上さんって関西出身やなーて思う。

    「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」
    雑誌に寄稿した法螺記事。の続きを書いた15年後の出来事。
    ←ボサノヴァ、聴こう。

    「ウィズ・ザ・ビートルズ」
    すれ違った女の子はビートルズのLPレコードを抱えていた。
    ←当時はパナソニックではなく、ナショナルか松下電工ではなかったかと思った。けど、私の思い違いか理由があってのパナソニックかも。

    「「ヤクルト・スワローズ詩集」」
    神宮球場とヤクルト・スワローズに捧げる
    ←野球ファンではないけど、野球ファンを見るのが好きなので、フフッてなった。

    「謝肉祭」
    シューマン謝肉祭仲間の女性の思い出。
    ←少しミステリー風味。

    「品川猿の告白」
    品川には年老いた恋する猿が住んでいる。
    ←ねっとりと怖い。

    「一人称単数」
    ある日曜日、滅多に着ないスーツ姿でバーに行くと…。
    ←事故のような邂逅。なんとなく他人事ではない情景。


    私はもしかしたら、村上さんの描く女性が苦手になってきてるかもしれない。

  • 「僕(または私)」がかつて出会った不思議な人や猿、レコードの話。
    ヤクルト・スワローズの話だけすこし毛並みが違ったけど、あとはおおむね”以前、奇妙な出来事があったんですよ”というテイストだった。

    やはり自分は村上さんの短編が好きだ。一度読んだだけで、その後何度も思い返すような短編もあるし、読み返すまで内容を忘れてしまっているような短編もある。どちらも素晴らしい。
    その一瞬すれ違っただけの人と視線を合わせるような感覚。

    四番目に収録されている『ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles』がとてもよかった。
    高校時代に一度だけすれ違った女の子、当時の「僕」が付き合っていた彼女、彼女のお兄さん。「僕」や彼女の人生のその後。
    これは何度も思い返すタイプの短編だな、と思いながら読んだ。

    ”ポップ・ソングがいちばん深く、じわじわと自然に心に染みこむ時代が、その人の人生で最も幸せな時期だと主張する人もいる。たしかにそうかもしれない。あるいはそうではないかもしれない。ポップ・ソングは結局のところ、ただのポップ・ソングでしかないのかもしれない。そして僕らの人生なんて結局のところ、ただの粉飾された消耗品に過ぎないのかもしれない。(P85より引用)”

    自分は主役じゃなくて、誰かの人生のための脇役だと気づいたのはいつ頃だっただろう。どうして誰も教えてくれなかったんだろう。もっと早く知りたかった。
    でも、主役ではないとしても、色んな人とわかり合えたり、素晴らしい音楽と出会えたりする。それを喜べる人生ならわるい人生でもないはず。

  • ついこの間「猫を棄てる」を読んだところだが、最近著者は私小説に目覚めたのだろうか、私小説といえば一昔前は日本の作家の特徴のように下らん私小説の乱造があったが、本作も著者には珍しい私小説の短編集かと思って読んでいけば、徐々に徐々にミステリーゾーンというか村上春樹ゾーンへと導かれていった。やはりこの作家は一味違うね。

  • 最初の篇で、女性の名前がわたしと同じだったのでハッとした。
    いるようで意外と出会わない、同じ名前のひと。
    3月のライオンでもでてきてドキッとしたのです。
    相変わらず村上春樹だし、モヤッとする言い回しとか結構あるんだけど(とくに女性に関する表現とか)
    それでもやっぱりこの人の文章とか物語が好きなんだよなー。
    しかし村上春樹ごっこをA氏とやってからその言葉遣いが妙に笑えてしまうときがあって、なんともはや。
    どの篇がすきかと問われたら答えられないが、一冊の本としてすきです。
    強いて挙げたら謝肉祭。かな?

  • 村上春樹は短編の方が良いと思っていて、「神々の子は…」がベストだと思っている(むしろねじまき鳥以降のメガノベルに挫折した口)。本書収録作は短編やエッセイ寄りの作品もあり、品川猿も出てくるとの自分にとってちょうどいい幅感だった。最後の表題作はなかなか意味深?

  • 本作は短篇小説集だけど、途中からエッセイ風になってきて、でもやはりフィクションではある感じが、新鮮でおもしろかった!

    久々に村上さんを読むと、やっぱり日本語が綺麗だなぁと思う。

  • 面白かったけれど、1つ1つの短編のボリュームが物足りないように思いました。
    ページ数をもっと増やして、話を膨らませて欲しかったです。
    でも、その分、読者側に想像させる余地があり読後感は爽やかで余韻が後まで残りました。

  • エッセイと小説の、ちょうど間のような短編集。久しぶりに読む村上春樹はやっぱりすごく面白くて、楽しくて、好きだなあ、と思った。

    最初の作品「石のまくらに」が一番すきだった。この感想文を先に読んだことがあったことも理由のひとつかもしれない。



    ──「ねえ、いっちゃうときに、ひょっとしてほかの男の人の名前を呼んじゃうかもしれないけど、それはかまわない?」
    「別にかまわないけど」

    「大きな声を出すかもしれないけど」
    「それはちょっと困るかもしれない」


    ……いや、逆じゃない?笑
    ………いや、逆でもないか?笑
    はるきん節すぎて声出して笑った。笑

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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