- Amazon.co.jp ・本 (96ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163917122
感想・レビュー・書評
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表紙が気になって、事前情報0で読みました。(帯が無かったので、途中で、これは受賞で話題になってたやつだなって気づきました)
読みやすい分量で、一気に読み上げてしまいました。文章は端的で簡単なのですが、ところどころに難しい言葉?というか特別な用語が多い。調べながら必死に読みました。読解力・語彙力が足りない、というより、障がい者(この言い方が正しいのかさえも分からない)についてあまりにも無知なことを思い知らされました。そんな文章が主人公らしくて好きでした。
読んでる間、ずっと苦しい。私は彼女のいう健常者。今この瞬間にもページを捲って読書を楽しんでいる、贅沢な健常者です。そんな私が、彼女を(または彼女のような人を)「可哀想」と同情するのが本当に良いことなのかは分かりません。というか、障がい者ということに対して無条件に同情することは、私には出来ません。なぜなら、やはり、同情するほど知らない・分からないので。だけど、読みながら胸がきゅっとなりました。初めて人とちゃんと向き合った気がします。苦しい。
もっともっともっとたくさんの人に読まれてほしいです。 -
読書備忘録802号。
★★★☆。
法事で会った姉貴殿からこの作品掲載の文芸春秋を頂いた!
毎回言ってるような気がしますが、こういうのが最近の芥川賞の傾向なのかなぁ。
新人を対象に、文学を学問的に捉えた短編の由緒ある賞レースだったはず。
嫌では無かったですが、読後は身体的ハンディキャップを持った方の性的感覚の一面を知ったという感じが残っただけでした。
井沢釈華。40歳をちょっと超えた女性。ミオチュブラー・ミオパチーを患っている。
親は既に他界している。ただ娘の為に莫大なお金を残してくれた。
なので、両親が遺してくれたハンディキャップ者対象グループホームの特等ルームで暮らす。
snsでは、紗花、或いはbuddhaと名乗っているようだ。
そして、ハプバー(ハプニングバー?)を舞台としたTL(ティーンズラブ?)のネット小説を創作するような仕事をしているみたいですね。
snsでは、ハンディキャップであることから、健常者と同じように子供を産めないということに対して「せめて妊娠したい。そして産めないなら中絶したい」などと物騒なつぶやきをする。
そしてあるとき。コロナ禍影響で、入浴介助の女性担当者が自宅待機となってしまう。釈華は、男性でも良いとお願いする。いつも洗濯・掃除等の介助でお世話になっている田中くんが担当することに。
田中くんは、釈華が紗花でありbuddhaであることを知っていた。
釈華は田中くんに報酬を与えセックスをお願いすることに。そして・・・。
エンディングに出てきた風俗で働く紗花は誰?その兄とは?
全編を通して主人公の思考を借りた形で作者の恨みが行間に表れていました。
そしてちょっとエンディングは怖かったですね。それで★0.5追加の3.5となりました。
結論としては作風が合わん。でも新作が出たら読むけど。-
これ、実は8割読んで挫折しました…薄いのに。
普段はどんなに合わなくても読み切るのにそれすら無理でした…これ、実は8割読んで挫折しました…薄いのに。
普段はどんなに合わなくても読み切るのにそれすら無理でした…2024/02/11 -
2024/02/11
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2024/02/11
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やはり、全てにおいて衝撃的な作品、自分も紙の本が好きだなどと平然と言ってられないと思った。
全体的にエロチックな雰囲気が凄くてちょっと、気持ち悪くなるが、社会に平然と問いかける、凄い作品だと思った。 -
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mihiroさーん、どーも!
この作品は、賛否両論あるみたいですね
私は読んでませんから何とも言えませんが…
ただ、「妊娠して中絶するのが夢...mihiroさーん、どーも!
この作品は、賛否両論あるみたいですね
私は読んでませんから何とも言えませんが…
ただ、「妊娠して中絶するのが夢」という部分はないだろうと、何言ってんだと思いますけどね…
2023/09/11 -
1Qさ〜ん、こんばんは(^-^)/
なんだか賛否分かれてますよね〜
個人的には久々に読んでてイライラする作品でした〜σ(^_^;)1Qさ〜ん、こんばんは(^-^)/
なんだか賛否分かれてますよね〜
個人的には久々に読んでてイライラする作品でした〜σ(^_^;)2023/09/12 -
2023/09/12
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直木賞作品に興味が湧く一方で、芥川賞には畏れ多くも純文学的な独りよがりっぽさを感じられ苦手となることが多い。ところが、今回は受賞した市川沙央さんのインタビューをテレビで見てすぐに読みたくなった。図書館はすでに予約待ちが長く、検索しても購入もすぐには難しそう。読みたい熱が収まらずにいたら、すでに本作は文學界5月号で新人賞を受賞し全文が掲載されているのを知り、図書館に文學界5月号を予約。運よくすぐ手元に届いた!
100ページ足らずの本を読み終え、何とも言えない衝撃にひりひりとした痛みを感じた。私小説と思っていたら、オートフィクションで重なるのは30%だそうだ。しかし、小説主人公の釈華は背骨がたわむ重度障害を患っていて、市川さん自らも筋疾患先天性ミオパチーである(タイトルのハンチバックはせむしという意味)。釈華の日常が迫る勢いで綴られていて、著者とダブってしかたがない。釈華は親から受け継いだ遺産で運営するグループホームに暮らしながら有名私大の通信課程でオンライン授業を受けている。コタツ記事(取材せずにネット上の情報だけで書ける記事)を書いたり、TL小説(女性向けの官能ライトノベル)を小説投稿サイトに連載して報酬を得ているが、そのお金はほとんど寄付に回していて、暮らし向きには困らないということは判然としている。その一方で、Twitterに”普通の人間の女のように子どもを宿して中絶するのが私の夢”との投稿もしていた。その心情はとても分かる。性的な体験への憧れだけでなく、障害を持つ可能性がある胎児を中絶する社会への反旗でもあろう。グループホームで働いている田中(男性)は釈華のTwitterアカウントを特定して、彼女が抱く妊娠中絶への興味を知り、ある話を持ち掛ける。彼らが語る”弱者同士”の駆け引きがユニークなエロさで描かれているが、エクスタシーは遠い。
障碍者という特殊なお話ではなく、現在を生きる同世代の人々にも当てはまる葛藤も感じられた。映画『coda』と『こんな夜更けにバナナかよ』を思い出す。
小説中で、紙の本か電子書籍かと論争する前に、電子書籍しか読めない釈華の実情から発せられる、健常者に対する激しい言い草にぐさりと胸を刺される箇所も多々あった。実際、私には車いす独り暮らしの知人がいる。一人でベッドから車いすに移動することがままならないので、朝6時半にヘルパーさんが来て、彼女は車いすに座り料理や部屋の片付けなどの家事をできる範囲でこなし、その後も幾人かのヘルパーさんの手を経て、夜9時に最後のヘルパーさんにベッドに運んでもらい1日を終える。(年齢上介護保険適応となり厳しくなった、ヘルパー利用が短い時間でしか使えなくなった)。彼女を訪問するのに迷いがある。私のように自由に動き回れる者が何を話していいのか、健常者の私は優越感を満たすために彼女の存在が気になっているのではないかなどと突き詰めて悩んだあげく、ドアに手土産と簡単なメッセージを残して帰ることもある。
問題のラストシーンは、選考者の間でも議論されたらしいが、私もない方がきちんと伝わると思った。 -
これはまた…。
予想を裏切る振り切れ方をしていて、多くの方が戸惑いをレビューに書かれているのも納得。
生きてるなあ、市川さん。
私は推します。
選考委員がこれを選んだことに共感します。 -
テレビで作者のドキュメンタリーをたまたま目にし、興味を持った。知らない世界、知らない感情。性的描写が多いけれど、それよりも「生」がすごい。頭の中で的確な言葉を探そうとするが、的確かどうかわからず感想に悩む。怒りであろうと、強さを感じる。それは生きる強さに直結している気がした。障がいを抱える作者だから書けた本。彼女の想いは彼女と同じ立場にならないとわからない。そして私も本は紙派だ。パンチを喰らった。
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去年の芥川賞受賞作。これはセンセーショナルというか、
衝撃的な作品。非常にデリケートなところに鉈をぶちこむ感じの文章。当事者にしか許されない表現とでもいおうか、。
というか、欲ってなんやろか、ということを考えさせられる。
令和シングルデジットの文学というか、
読書のベースが昭和以前にある私にとっては
すさまじく”今”まさに今というか、、
誤嚥性肺炎の原因だとか、
ルポルタージュしてない”ルポ”記事だとか
福祉だとか、権利だとか、、
ラストが妙にしっくりきて、
こういってはアレだが、芥川賞にありがちな、
コンテンポラリーすぎて、モヤっとするオチではない
というところも素晴らしいとは思う。
短いが、内容としては絶妙にいいヴォリューム
次の作品が楽しみである。 -
第169回芥川賞受賞作。
本屋で手にしたところ、いきなり過激な表現から始まったので、恥ずかしくて棚に戻してしまいました。女性の強烈な性と生のお話です。
ミオパチーを患い14歳で気管切開をし、吸痰器は片時も離せない。S字に曲がった背骨、呼吸器が必要である。生きれば生きるほど壊れていく体…。子供は産めないため、妊娠して中絶するのが望みになってしまっています。
作者は可哀想だと思われたくないような気がします…。病気で苦しむ様子とは反比例して、生きていく強さを感じました。