新装版 坂の上の雲 (1) (文春文庫) (文春文庫 し 1-76)
- 文藝春秋 (1999年1月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167105761
作品紹介・あらすじ
明治維新をとげ、近代国家の仲間入りをした日本は、息せき切って先進国に追いつこうとしていた。この時期を生きた四国松山出身の三人の男達-日露戦争においてコサック騎兵を破った秋山好古、日本海海戦の参謀秋山真之兄弟と文学の世界に巨大な足跡を遺した正岡子規を中心に、昂揚の時代・明治の群像を描く長篇小説全八冊。
感想・レビュー・書評
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【あらすじ】
明治時代初期~日露戦争まで。
国力を上げようとしていく日本を舞台として、旧松山藩で軍人の秋山好古・真之兄弟と、俳人である正岡子規を中心とした物語。
【内容まとめ】
1.好古と真之兄弟の兄弟関係は上下関係が厳しいが、好古は素晴らしい兄であろうと努め、信頼し合っている。
2.正岡子規の優等生ではない感じが意外。友達思いの、ただの面倒くさい悪がき。
3.隣国の熾烈な土佐藩と違い、松山は話し方を始め非常に穏やかな国風。
【感想】
司馬遼太郎の代表作「坂の上の雲」遂にチャレンジ!
1巻は登場人物たちの紹介や幼年期~大人の始めまでしか描いておらず、歴史背景も日清戦争まで行っていないこともあって特に面白くはなかった。
また、「竜馬がゆく」や「翔ぶが如く」と比べ、主人公たちがマイナーなところがやや面白みに欠けた。
あと、各登場人物の晩年が既に語られているため、楽しみがないなぁ・・・(司馬遼太郎の作品はそういう傾向にあるから仕方ないが。笑)
ただ、好古の性格はとても格好いいし、これから日清・日露戦争に舞台が移って行くと面白くなっていくのだろうなと期待ができる。
結論、今後の話の流れに期待!ってところだな。
ドラマもキャストが面白そうだから是非見てみよう。
【引用】
p41
「世間には色んな人間がいる。笑って腹中に呑み下すほかない。」
p58
「人を故なく罵りなさる以上、命をお賭けになっておるのじゃろと思いますがな。
私もここで命を捨てる覚悟がでけ申したけん、チクと表においでませ」
p130
珍しいほどの美男であったが、好古は何が嫌いといっても自分が美男と言われることほど嫌いなことはなかった。
この人物は目的主義であり、美醜(びしゅう)は男にとっても何の意味も為さずと平素から言っていた。
男にとって必要なのは、「若い頃から何をしようかということであり、老いては何をしたかということである」というこのたった一言だけを人生の目的としていた。
p166
元々、子規という少年には哲学趣味がなかった。
上京してきた頃には、大物政治家になろうと思っていた。「だから大学では法律をやる!」
ところが、子規はだんだん成長している。
「あしは、あの荘子(そうじ)の講義にはびっくりしたぞな。」
「荘子は、『人間とは何か、世の中とは何か、生命とは何か』を考えさせる。」
このため大学では法律をやらずに哲学をやろうと思った。大物政治家の夢は簡単に破れた。
しかし、同じ大学生の米山保三郎(やすさぶろう)という哲学者との対面の印象で打ちのめされ、哲学者を諦めた。
p201
真之「兄さん、伺ってもいいですか。人間というものは、どう生きれば?」
好古「俺は、単純であろうとしている」
好古「人生や国家を複雑に考えてゆくことも大事だが、それは他人に任せる。それをせねばならぬ天分や職分を持った人がいるだろう。
俺はそうゆう世界におらず、既に軍人の道を選んでしまっている。
軍人と言うのは、己と兵を強くして、いざ戦いの場合、この国家を敵国に勝たしめるのが職分だ」
好古「だから、いかにすれば勝つかということを考えてゆく。その一点だけを考えるのが俺の人生だ。
それ以外のことは余事であり、余事というものを考えたりやったりすれば、思慮がその分だけ曇り、乱れる。」 -
日本史で勉強した人がちらほら出てくるので、読んでいて楽しい。
飛鳥山の下りとか、エピソードのセンスがいいなと思った。
歴史上の事実を追う本なのに、今も変わらない人間らしさみたいなものと、明治初期独特の風潮を感じられて、読んでいて飽きなかった。 -
▼恐らく人生三度目の「坂の上の雲」通読。初回は高校生の頃か…二度目は三十代だった気が。五十代の今回、過去最大に面白い。▼1巻は秋山兄弟の貧しさ、そして明治の国作りの混沌。語り口が、あざといまでに娯楽的。そして、松山が魅力的。愛媛県にとっては、ゼロ円で最高の宣伝だなあ。
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今年は夏までに坂の上の雲を読もうと決心した。YouTubeでドラマのサントラを聴きながら読むとなんともいい風が吹いてきそうな気分。
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歴史小説と聞くと何か堅苦しいイメージがあったので、これまで読んだことがなかったが、とても読みやすかった。歴史小説の良いところは歴史をタテではなくヨコに深く学べるところだと思う。歴史的名著である分、内容も面白かったしおすすめです。
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久しぶりに司馬遼太郎氏の長編を読む。明治の世にいるような錯覚をおこすほど文章に入り込めた。
人物の描写、その土地土地の描写、艦隊の描写。
取材にどれだけかかったのだろう。
次巻もまた楽しみである。 -
初めて司馬遼太郎作品を読んだ。
引き込まれる感じはしないけど、文章がさっぱりしていて読みやすかった。
明治という社会に日々変化が起きている中で自分の適性を見極め、勉強して、立身していく姿は見ていて気持ちいいし、魅力的。
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中学生以来に読む司馬遼太郎作品。
当時「燃えよ剣」を、飽きながらも頑張って読了し、そのしんどかった思い出からなんとなく避けていた彼の小説。
最近になって近現代に興味を持ち、この本を手にとってみたところ、まさか読み易くて面白い。
立身出世目指して幼いころから野心を滾らせ、ひたむきに疾走していく登場人物たちの姿はシンプルで良いなぁと思った。 -
職場の上司の影響で、司馬遼太郎を久しぶりに読む。高校時代の授業の課題で、「空海の風景」を読んで以来か。スペシャルドラマも観た。
軽妙なリズムで、スイスイ一巻目を読了する。