田宮模型の仕事 (文春文庫 た 45-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167257033

感想・レビュー・書評

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  • ウォーターラインシリーズというのが好きだったので、その内訳があったとき感動しました。図鑑とか、帝国海軍を扱っているのを拝見しましたが、独自だなんてなんてすごいんだと思いました。

  • 田宮模型の哲学が語られた良書だと思います。久しぶりにプラモデルを作りたくなりました。

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    かの有名な模型メーカーであるタミヤ模型も山あり谷ありの苦労していることがこの本を読むことよく分かる。
    やはり面白いのは本物の戦車の写真を撮りに行ったエピソードだろう。ソビエトの大使館に訪問したり、戦争博物館で写真を取りまくる話は非常に面白かった。

  • 義実家の蔵書。
    夫も義父も模型やミリタリー趣味があるので。
    門外漢な私としては、
    ・中小企業の成功記
    ・ミリタリーの世界
    に触れるものとして読んだ。


    ・p94「やはり、企業は人なりのたとえのごとく、信用は、地道なステップで築き上げ、会社の成長とともについてくるものだと感じたのです。」真面目で誠実な商いこそが、成長の一番の近道、ってことなのかなー。

    ・p134スロットカーブームの急速な衰退について、急激なマニア化が原因の一つ、ビギナーが底辺にしっかり育たないうちに、マニア化してしまった、と考察しているところ。→確かにそうだなー。ゲームでもそうだけど、ビギナーとマニア、両方が楽しめるようなやり方を考えないと、それは衰退してしまう。

    ・p175戦車の車体の底には各国の思想の違いが。アメリカの戦車にはエスケープハッチ(脱出口)がついているが、日本やソ連の戦車にはない。最後まで戦い抜けという意味が読み取れる。アメリカの場合は逆に、危険とわかったら脱出し、次のチャンスのために生還せよ、という考え方。

  • 模型にこっていた時期がある。
    タミヤモデラーズコンテストにジオラマを出品したときに、会場で本書を買った。会長のサイン入りだった。

    本書の中の、教室からコルセアを見上げる"あれが逆ガルの翼か"というシーンをジオラマにしたりもした。模型のように鮮やかに情景が浮かび上がる。

    やっぱりわしは模型が、プラモデルが大好きだ。
    模型が好きな人にこそ読んでもらいたい本である。120点満点。

  • プラモデル界のリーディングカンパニーのタミヤ。多くの人気商品を支えるのは実物に少しでも近づけようとする職人的なこだわり。木製モデルからミニ四駆まで。模型屋の心意気をご堪能あれ。

    多くの男の子の思い出にタミヤがあるだろう。自分にはウォーターラインシリーズ。模型は大きければ良いという常識を覆し、リアルな縮尺。戦艦や空母ばかりでなく小さな駆逐艦もたくさん作って水雷戦隊を形成した。ガンプラづくりに励む同級生の中、変わった子供たったと思う。

    本書は田宮模型の社長が父の経営する製材業から木工部門を設立、やがてプラモデルの世界へ移りやがて世界でも有数の人気を誇る模型メーカーになるまでを描いている。

    何よりリアルな造形。そのために世界各地、保存された戦車を訪ね写真を撮りまくる。床下の脱出口まで再現するリアリティ。

    創業時の大きな苦労もあるが、社長やほかの社員の模型に対するこだわり、プロフェッショナルの心意気が素晴らしい。楽しく読めかつ感動すら覚える。

    誰でも昔は少年だった。本書を読んでちょっとの間だけ少年に戻ってみるのはいかがですか?

  • 先日のドイツ出張で、お土産を探しに入ったおもちゃ屋さんのプラモデルの棚の半分は田宮でした。この本は、なぜ田宮がそんな世界的メーカーに成れたのかを書き記しています。
    小学生の頃、夏休みでゴロゴロしてたら、母が「ゴロゴロしとらんと、プラモデルでも買って来なさい」と小遣いを呉れました。そんな時に買ったのがやっぱり田宮の模型でした。他のメーカーに比べ、やや柔らかめの粘りがある素材と、精度の高さが魅力でした
    この本を読むと、そうした他メーカーを凌ぐ模型へのこだわりが伝わってきます。モデル作りのための取材(戦車の下に潜り込んで、脱出口の形状を写真に撮るシーンなど圧巻ですが)だけでなく、早くからCAD(コンピュータでの設計)とNC切削(同じくコンピュータによる金型製作)技術を取り込み、精度の高さを達成します。
    それ以上に驚かされるのが、ミニ4駆の爆発的人気の背景に有った、田宮が作り上げたクラス分け等のインフラの整備です。単なる模型屋ではなく、模型を社会現象にまで引き上げた凄さを感じさせます。
    たいした会社ですね。

  • 面白いなんてもんじゃない。面白すぎるではないか。

    製材所までを持った木製模型からはじまった田宮模型も、
    先の大戦後にアメリカから入って来たプラモデルに押され、
    木製模型からプラモデルへの転向を余儀なくされる。

    プラモデルには成型の基本になる金型が必要だが、世を
    挙げてのプラスチック・ブームで金型屋はどこも手いっぱい。
    やっと引き受けてもらっても、納期の遅れ等で商品の発売
    予定に間に合わない。

    だったら、自社で金型から作ってしまえ!と、著者は職人を
    スカウトして来る。

    現物に忠実な戦車のプラモデルを発売する為に、冷戦真っ只中
    のソ連大使館に取材を申し込むも、案の定、すげなく断られる。

    そのソ連製戦車が中東戦争の際に戦利品としてイスラエルで
    展示されていると聞けば、すかさずイスラエルまで飛んで行く。
    そして、世界中の軍事博物館に足を運び、あらゆる角度からの
    写真を撮る。

    著者の「本物の追及」はまだまだ続く。ポルシェの工場を見学へ
    行くも、実際に寸法を測れなかった。さて、どうしたものか。
    そうだ、本物をポルシェを購入して分解すればいいんだ!

    新車のポルシェ911は、車輪もバンパーもどんどんはずされ、
    無残な姿になる。しかし、模型屋とはいえ素人が分解した車。
    元に戻すことが出来ずに、ポルシェの整備員を呼んで組み
    立てもらう。

    「あんたたち、なんてことをするんだ」。プロの整備員でも
    組み直すのに3日かかったという。

    まぁ、こんな話ばかりではないのだが、思わず吹き出してしまう
    ようなエピソード満載である。また、著者が仕事で知り合った人
    たちとの交友も適度に散りばめられている。

    巻末にイギリスでの田宮模型の代理店の支店長を務めた方の
    手記がある。ある商談で他社の製品を引き合いに出し、値引きを
    切り出した支店長に著者は言い放つ。

    「F社の価格がほしければF社の製品に甘んじなさい!だがタミヤ
    の品質がほしければわれわれのプライスに納得しなさい」

    「模型屋」としての矜持があるではないか。

    日本人が得意として来た「モノ作り」に掛ける企業の精神と努力が
    凝縮された1冊。

  • 昭和から平成にかけてのタミヤさん一代記。静岡の零細模型屋が世界のホビー業界のリーディングカンパニーになった歴史を、当事者による控えめながらリアルな視点で記録。とにかく面白い。そして田宮さんの仕事の姿勢が超参考になる。

  • タミヤの2代目が現在のタミヤを作り上げてきた過程を振り返る自伝。何というか凝り性で性格の良い2代目がいい方向に出たんだなー、という感じ。今は大手を振って言いにくくなってきたMade in Japanの良いところを、これからもキープしていって欲しい。

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