新装版 マリオネットの罠 (文春文庫) (文春文庫 あ 1-27)
- 文藝春秋 (2006年11月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167262273
感想・レビュー・書評
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中学生の頃、よく赤川次郎を読んだ。というか、赤川次郎が私を小説の世界に導いてくれたといってもよいほどだ。しかし、いつの間にか赤川次郎に全く手を出さなくなった。なんとなく大人が読むにはちょっと・・・。という自分の中でのイメージが出来上がっていたからなのだが。
しかし、この作品は処女作ながらもミステリとしての評価が高く、その内容から久しぶりに手を出してみたのだが・・・。
正直言って凄かった。ミステリとしても練りに練られていて、先へ先へと誘われていく。ああ、そういえば、作者は巧みなストーリーテラーだったなと思い出す。
でも、このまま終わってしまうのか?確かにこのままでも面白いのだが、果たしてこれでそんなに高評価が得られるのか?と疑問に思っていた頃、最後の最後にアッと思わされる大どんでん返しが!世界がひっくり返りました。自分の信じていた世界が一変。騙されたい人には是非お勧めです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
久しぶりに再読である。赤川次郎と言えば、三毛猫ホームズど真ん中な青春時代であったが、この作品は全然違う。ダークな、そして最後にあっと驚かされる結末が待っている。好きな一冊。今読んでも古臭くなく、一気に読める。おすすめ!新装になってましたね。
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赤川次郎の処女長編小説で、1977年の作品。
刊行順としては、「死者の学園祭」の方が一ヶ月早いが、実際に書き上げた順番は「マリオネットの罠」の方が先なのだという。
森の館の地下に幽閉された少女と、一見関連のない人物たちが次々と犠牲になっている連続殺人事件。
この館の主人である峯岸家と、そこに家庭教師として関わることになった上田、その婚約者の美奈子、事件を追う刑事、そして犯人自身など、様々人物の視点から物語が紡がれていく。
論理的な謎解きなどはないが、スピーディーな展開と次々に変わる視点で、読者を飽きさせずに引き込んでいく魅力ある作品。
今読んでも古さを感じさせないところも素晴らしい! -
読みやすく、面白い。非常に良い本でした。なんとなく、予想していたような展開でしたが、それでも魅力に溢れていると感じました。登場人物が、多く出てくるようになっていますが、それでも、読みずらいことはなく、むしろ物語の深みが増すばかり。物語の後半を読んでいて抱く読者の感想は一貫して、この本を高く評価する感情ばかりでしょう。読者の感情すらもこの本にかかれば、マリオネットです
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研究生・修一は住込みの家庭教師の仕事で峰岸姉妹が住む館へと向かう。森の中の館に幽閉される少女!都会で巻き起こる連続殺人!怪しい療養所への潜入捜査!初長編とは思えない濃厚なサスペンス。
おいしいものを全部詰め込んでみました!と言わんばかりの密度とスケール。赤川次郎は読みやすい作家と先入観がある人ほど驚く作品に仕上がっている。潜入や時間軸に沿って人物が錯綜するサスペンスの仕掛けはもちろん、ミステリとしてもパンチを入れてくるので読み応えがあった。名作と名前が挙げられるのもうなずける面白さ。
タイトルにもある「マリオネット」が作品のテーマとして描かれる。操られる人、操る人。信じた道が実は誰かに用意された道だったら?そして何より、人間は感情という糸に操られるマリオネットに過ぎない。どんなに突き詰めてもコントロールできないからこそ人間は面白いのかもしれない。
ちょっとご都合主義的な設定や、ナイフの達人すぎるやろ!とツッコみたくなる部分もあるけど、それを踏まえても読ませてくれる作品だったと思う。 -
面白い。
簡潔なので、後半の盛り上がりが際立ちます。 -
美しいマリオネットはさくさく殺す。
無差別に見える殺人に動機はあるのか?
親しんできた三毛猫ホームズシリーズとはガラリと違うサスペンス。病院が舞台になるあたりからスリルが増す。こんな赤川作品もあったんだ! -
小中学校のときよく読んだ赤川次郎はやはり読みやすい。
まあまあオチもわかりやすいけど飽きずに読めた。