新装版 父の詫び状 (文春文庫)

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  • 文藝春秋
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感想 : 301
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167277215

感想・レビュー・書評

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  • ベビーブーム生まれなので、時代背景は違ってもなぜだか懐かしく感じてしまう。素晴らしい観察力と表現力。読みながらにやけたり、泣いたり、びくりしたり。多くの感覚を味わえるステキな一冊。
    この人が生きていたら、今は何が見えているのだろう。

  • いわゆる“おひとり様”の先駆けのような印象を受けました。一人でも十分人生、生活を楽しんでいるような感じです。恐れ多いですが自分も似たようなことを考えているなあと思い、歳を重ねると著者のようになっていくのかしらと考えたりしました。時も変わりもっともっと著者の言葉や考えを聞きたかったと思いました。未だに向田作品が色褪せずTVなどでも残っているのは同じように思う人が多い証拠ですね。 

  • 向田邦子さんのエッセイ。
    家では厳しい父親や家族のこと、子供の頃の出来事、大人になってからのことなど。少し自分の父親と似ているところもあり、懐かしくなった。昭和に生きた向田さんの生活や思いがしたためられており、興味深く読めた。

  • 著者の作品には「寂しさ」が見え隠れしている様に感じる。

    この本もそうだし、「寺内貫太郎一家」の静江(梶芽衣子、最後は結婚するが)もそう。「阿修羅のごとく」の佐分利信と大路三千緒もそうだし(佐分利は自業自得)そう言えば子供の頃に正月やお盆にやっていた向田邦子のドラマも、小林薫がやたら寂しい顔をしていた記憶がある。

    この「寂しさ」の不足が最近のドラマに物足りなさを感じる原因なのかも知れない。

    ふたば書房紫野店にて購入。

  • 向田さんが子供だった頃の思い出を中心にまとめられたエッセイ

    私が生まれるずいぶん前(戦前、戦中)の、ごく一般的な家族の姿、生活の様子がとてもリアルに面白おかしく感じられる内容でした

    私自身、昭和は最終盤しか過ごしておらずほとんど記憶にないので、そういう意味ではとても興味深い内容でもありました

    ごくたまに、結構修羅場な場面も描かれているのですが、それも面白おかしく表現されていて、辛い思いをしながら読む、ということはありませんでした

  • 向日邦子さんはテレビドラマを書く人という認識でしかも世代がずれていたためほとんど知ることのなかった人。ひょんなことから普段は滅多に読まないエッセイを手に取った訳だが、冒頭から引き込まれた。半ば笑いながらお父様の暴君ぶりにあきれつつも終始流れる子どもに対する愛情が垣間見られたり、家族の食卓や昭和の空気感というものが向日さんのありのままの視点で描かれていることでとても興味深かった。一見すると家族自慢に陥りがちなお話もユーモアに富んでいて、情景が浮かんでくるかのよう。視覚的に訴えかけるかのようなお話の数々本当に楽しかった。飛行機事故でなくなった向日さん。悔やまれる。

  • 第二次世界大戦前後の家族のあり方や生活様式が生き生きと伝わってきた。
    現代と比べると女性が理不尽な目にあっていたり父がモラハラ全開で冷静にみると虐待案件だが、それがごく一般的な風景だったのだろう
    いい世の中になったな……と改めて実感した
    それでも向田さんはカラリと受けとめ、ユーモアたっぷりに表現してくれて、読み終わると温かい気持ちになりました。
    昭和50年代に亡くなられていたんですね……
    古き良き時代だったのかもしれません。

  • 普通はこんなことしないんだけど、
    沢木耕太郎さんの解説を先に読んだ。
    向田邦子さんが事故でなくなる前後に書かれた文章だった...

  • 【腹減り度】

    【食べ物の割合】
    ☆☆☆
    【1番美味しそうだったもの】
    海苔巻きの端っこ

    *感想*
    初めて向田邦子さんの本に触れた。あけすけで、でも下品でなくて、人間臭くて、面白味がたっぷりで、素敵な文章。
    向田邦子さんのお父さん。こんな父親嫌だなぁと思う一方で、横暴で見栄っ張りで人間臭いこの父親が好きだ。(身内には絶対いらないけど)
    今の時代とは全然違うことが本の中に溢れてて、でもそんな遠い時代のことじゃないってことが、凄くモニャモニャする。時代は加速している。

    1番心にグッときたのは沢木耕太郎さんの解説。
    思わず「あぁ‥」と声が出た。

  • 向田邦子、意味が分からないレベルで文章がうまい。うますぎる。どのページを開いても名編しかない。
    なんでもないような思い出話がことごとく心に刺さる。出来事とその時感じた思いが相乗効果で胸に染み込む。
    普遍的なのに絶対にこの著者にしか書けない出来事を、簡潔な文章でさらっと書き上げている。何度読んでも唯一無二だ…。
    そして父親のことが本当に好きだったんだなということが伝わってくる。今の価値観だと批判の対象になりかねないような人柄だけど、そういう人がいて、娘さんや家族に愛されていたことは心に留めておきたい。

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著者プロフィール

向田邦子(むこうだ・くにこ)
1929年、東京生まれ。脚本家、エッセイスト、小説家。実践女子専門学校国語科卒業後、記者を経て脚本の世界へ。代表作に「七人の孫」「寺内貫太郎一家」「阿修羅のごとく」。1980年、「花の名前」などで第83回直木賞受賞。おもな著書に『父の詫び状』『思い出トランプ』『あ・うん』。1981年、飛行機事故で急逝。

「2021年 『向田邦子シナリオ集 昭和の人間ドラマ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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