- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167277222
感想・レビュー・書評
-
胡桃の部屋はいしだあゆみ版がイメージに大きい。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最初から巧いなぁと思わされ,でもここまでしんどくしないといけないのかなと思う。でもしんどい時には,こういうもんだよと思ったり励まされたりするんだろう。ただ「下駄」はあまり好きにならず。思い込みかもしれないけど,女性の話の方が。
-
表題作の、「恋っての、してみたかったの」という言葉なんかが最高にクール。
-
ひどく動揺した。
ひとりひとりのことなる女性を描いているが、どれもひとりの人間の中に同居している。
内から滲み出る感情の生々しさに、気持ちが揺れた。 -
普通の人たちの日常のなかで起こる、あくまでも「当人にとって」の事件がさらりと書かれているのだけれど、端正で簡潔な文のひとつひとつから、登場人物たちの直面する光景や感情がとてもリアルに感じられる。
文章全体から立ち上ってくる昭和の光景や雰囲気がものすごく鮮やかに感じられるのは、彼女が現代に生きていて当時を回顧しながら書いているのではなく、リアルタイムで書かれたものだからなのだろう。ちょっとタイムトラベル感覚で読んだ。
この中で特に好きなのは「胡桃の部屋」。
主人公の桃子の頑張りがすべて空回りだったと分かるくだりは彼女にとってかなり残酷。可哀相なんだけど小気味よくもあり、その書き方がさすが向田さんだな~、としみじみ。
本当に上手い書き手さんだと改めて思った。 -
『隣りの女』、『幸福』、『胡桃の部屋』、『下駄』、『春が来た』の5篇の短篇を収録。この本に出てくる女は皆逞しいが可愛いところもある。平凡な家庭の主婦が隣室に来ていた男を追ってニューヨークへ行くが何事もなかったかのように家庭に戻る女、姉と以前関係のあった男をそれと知らずに恋人として持ち別れない女、別の女の元に出奔した父親代わりに働き一家の面倒を見る女、見栄を張る女。小説の世界を取り巻く小道具や言葉に子供の頃の懐かしさ、悪く言えば古くささがある。時を超え愛される理由が1冊読んだだけでは未だわからない。
-
「春が来た」が神がかって、素晴らしい。何気ない日常を、こんなにも心を動かす神話にできた向田邦子の才能に驚かされる。
-
『思い出トランプ』のが好きかな。
女としての幸せって何だろう。 -
短編集。寺内貫太郎一家などの脚本家で有名な作家さん、飛行機事故で51歳で亡くなったらしい。初めて読むが、独特の雰囲気のある小説である。登場人物の心模様がなんともえげつないというか、じとーっとした部分を的確にとらえて描いている。だからか、立て続けに読んでると胃もたれしてしまう。それだけリアルである、ということだろう。各話もどことなくハッピーなものよりは、少し暗めのものが多い。所々に出てくる比喩の表現が思考停止になるくらいうまいのと、女性の情念とそれの表現の仕方が巧みだ。きっと、この方は小説家として円熟期を迎えればすごい作品を生みだしていたに違いない。
-
ありふれた日常に描かれた、「女」の本質・欲望。
それを品性を失わずに、こんなにも生々しく、時には艶かしく書ける人って今いるだろうか・・。
妻である前に女であり、母である前に女であり、おんなのこは気付けば女になっているのだ。
「女」の見(魅)せ方が巧い。
昭和は56年に亡くなった、向田邦子。
彼女が平成を見ていれば、どんな「女」を書いただろう。