- Amazon.co.jp ・本 (471ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167483104
感想・レビュー・書評
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日本陸軍がどれだけ思い上がり、自分勝手に暴走したのかがよくわかった。また中央陸軍の「空気を読んだ」、判然としない対応も戦争の一因だったのだけれど、これは悪い意味で日本的な対応で現在もよく見られる。
膨大な犠牲を出したノモンハンから学ばなければいけない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昭和14年。日本が満州を占領し、モンゴルとの国境沿いでソビエト連邦と激突した事件を克明に綴った大作である。
当時は日独伊三国同盟を結ぶか否かで陸軍(賛成派)と海軍(反対派)の対立をきっかけに、当時の平沼内閣では議論が平行線を辿っている頃である。そのためこの物語では戦場だけでなく、三宅坂(参謀本部・内閣)、新京(関東軍本部)、クレムリン、ベルリンでの出来事が時系列的に展開されている。
ノモンハン事件は関東軍の大敗で終結を迎えるのだが、この本を通じてそのプロセスを検証すれば当然の結果である。「己を知り、敵を知る」、日本軍は組織的にその姿勢が決定的に欠けていた。またこの事件を通じて得られた教訓は軍事組織に留まらず、現代の企業社会にも十分通じるものである。文明は確かに発展してきているが、人間は過去から何も学んでいないということか。
なお、関東軍敗退の学術的な検証は『失敗の本質(戸部良一、野中郁次郎等)』が詳しい。 -
詳細は忘れたが、この本でソ連陸軍の将軍が帝国陸軍を評して、兵隊勇猛、下士官超優秀、下級将校は優秀だが、将軍は無能と述べたくだりがあるが、日本の組織の特徴を言い得て妙。
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(欲しい!) 読んだ?/文庫
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ひどいな。これは。
歴史から学ばず、自分の希望と現実の境目も分からない無能が
数万もの人間の命の行方を左右する役職につくとは恐ろしい。
今も昔もこういう人間がいるし、何の間違か人の運命をも左右するような力を手にすることも多い。
しかも主犯はのうのうと戦後も生きているとは、恥知らずだな。
と、まあ本を読んだ感じだとそう思うけれども、
この本自体が本当っていうところがいまいちわからんね。
近代史に自分はそこまで知識が深くないから。 -
1939年夏に起きたノモンハン事件が、日独伊三国同盟や独ソ不可侵条約、そして第二次世界大戦の開始といった歴史上の事件と並行して、立体的に詳細に描かれている。「歴史にIFは無い」と述べられているがもしこの判断が違っていたらという箇所が各所にあり、いかにその時代の外交が薄氷の上で成立していたかに思いを馳せずにいられない。
氏の著作ではいつもの事ながら、綿密な資料収集と精緻な文体に惹きつけられる。名作だと思う。 -
08.6.27
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言わずとしれた名著。
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辻政信がボロカスに書かれている。猛烈に批難されて当然である。当時の陸軍参謀(少数と信じたい)が手前味噌で無茶苦茶な作戦を立て,日本を戦争に引きずり込んでいったかがよくわかる。