大地の子 二 (文春文庫 や 22-2)

著者 :
  • 文藝春秋
4.07
  • (349)
  • (246)
  • (269)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 2484
感想 : 127
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167556020

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「二つの祖国」、「不毛地帯」とともに、
    山崎豊子の戦争三部作と呼ばれるその代表作です。

    「中国残留日本人孤児」の陸一心。養父母の愛に支えられ
    ながら、幾多の苦難を乗り越え、中日合作の「宝華製鉄」
    プロジェクトに携わっていく。
    その過程で、生き別れになった妹との再開、そして、
    日本の本当の父との再会を果たすが、中国人として
    生きている一心の葛藤ははかりしれない。
    緻密な取材を重ねた事実を基にした、壮大な人間ドラマ。

    上川隆也が主演して、NHKでドラマ化されていたので、
    その存在は知っていたものの、読んでいなかった作品。
    「沈まぬ太陽」を読んでから、山崎豊子作品をいろいろ
    読んでますが、やっぱりその集大成としての「大地の子」は
    読まなきゃいけないだろうということで、満を持して
    読み始めました。

    家族愛、実の親と育ての親、親友との友情、文革の功罪、
    中国の体質、その他いろんなテーマがこの作品には
    根底に流れています。
    それを緻密にいろんな話を織り交ぜながら、大きな本流に
    つなげていく山崎豊子のうまさにどんどん引き込まれていきます。

    でも、やはり一番大きなテーマは日本人戦争孤児の問題でしょう。
    終戦間際に、関東軍が棄民をしていなければ。
    日本政府が縦割りでなく、人民のための思った対応が
    すぐに取れていたならば。
    中国が無駄に反日感情を煽る教育をしていなければ。
    そして、文革なんておかしなことがなければ。
    なんていろんな想いが募ります。

    子供の頃、大挙して日本にやってくる「中国残留日本人孤児」
    の来日調査をみて、「こんなおっさん、おばさんで孤児もないだろう」
    とか、「日本人でも中国で育てば中国人と一緒だな」なんて
    軽い気持ちで思っていた自分の態度をとても恥じています。

    どうして、そんな年になるまで自分が日本人であることを
    名乗れなかったのか。それを知らずに言っていたわけですから。

    中国で仕事をするビジネスマンとしては、中国ビジネスの
    入門書としての性質もあるよななんて思ってみたり。

    陸一心=松本勝男とその日本の父松本耕次が
    情熱を込めて立ち上げた宝華製鉄の所在地は上海。
    そのモデルとなった宝山製鉄(現、宝鋼集団)に対する
    目もちょっと変わってきます。
    今度、長江のほとり、宝山まで行ってみようかなと思っています。

    そして、北京オリンピックの時に瀋陽には行きましたが、
    満州の地にも、もう一度行ってみたいと思いました。
    勃利とかは無理だとしても、長春とかには。
    これを読み終えたのは2009年の6月ですが、8月に
    実際長春を訪れてきました。ちょうどソ連が侵攻したその日に。

    改めて、中国に関わる日本人には必読の本だよなと
    痛感した本でした。

    http://teddy.blog.so-net.ne.jp/2009-06-28

  • 読書完了日2009年08月13日。

  • 面白い。この人の小説は、政治環境など主人公のまわりも丹念に描くから、自分の意志だけではどうにもならない不幸というものがいかに残酷なものか思い知らされる。そこが本に引き込まれる理由かな。

  • 中国関連の方は必読

  • やっと2巻
    政治のことがよくわからない

    2009.2.14

  • 2008/11/18 読了

  • 中国を舞台に中国残留孤児を主人公にした小説。時代考証や中国文化/社会のディテール描写が素晴らしく、小説とは思えない内容。大河小説を読みたい方におすすめ。

  • 夢中で読んだ。

  • NHKでドラマ化されたものを何度も見ていたのでその世界観が損なわれてしまうのが嫌で、これまで小説は読まずにいたがその他の山崎作品を読みつくしたので堪り兼ねて読んでしまった。
    ドラマは小説の世界観を忠実に再現しているので小説・ドラマ両方見てもいいと思います。

    話の筋を完璧に覚えているのに、それでも尚、引き込まれてしまうのは簡潔な描写でありながら登場人物の人柄・心情をズバリ抉り出すかのような山崎豊子独特の文体にあるのでしょうか。

    妹との再会のシーン、二人の父の子を思う気持ちには涙がヒタヒタと流れてきました。

全127件中 91 - 100件を表示

著者プロフィール

山崎 豊子(やまざき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

山崎豊子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×