コットンが好き (文春文庫 た 37-7)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167587079

感想・レビュー・書評

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  • 高峰秀子という女優がこんなに趣味のよいエッセイを書いているとは全く知らなかった。
    結婚・出産した途端、雑誌等にエッセイとは程遠い作文を垂れ流す連載する女優やタレントが多いご時世だが、書いて稿料いただこうとするなら見習ってほしいものである。

  • 「コットンが好き」高峰秀子、1983年文芸春秋(現・文春文庫)。

    高峰秀子さん(1924-2010)のエッセイ集。
    高峰秀子さんが、自分の身近にあって、自分が愛用している小物たちについて綴った内容。
    それぞれが、短ければ文庫本で2頁くらいの文章+写真とか。
    ただ、後半には明らかに違うコンセプトの文章も混じっています。
    ほとんどが、どうやら何かの雑誌に連載された感じです。

    高峰秀子さんは、言うまでもなく昭和の大女優さんです。
    5歳から55歳までで、日本映画史上ナンバーワンの映画女優としてキャリアを刻んで。
    その後86歳で没するまでは、「元女優/文章家」というべきご商売をされていました。

    色々と、エッセイ集みたいな本が多いです。全部は読んでいません。でも、3~4冊読んだ中では、この一冊、白眉でした。



    どんな感じかっていうと、
    「徳利」「盃」「手塩皿」「ようじ入れ」「ふきん」みたいな感じです。
    それぞれに、言ってみればそれなりに上等な品物、あるいは珍奇な品物だったりすることが多いです。
    だから、普通に考えると「自慢話のオンパレード」になるだけの文章なのですが、そこが「高峰秀子マジック」。

    これまでの日本文学の論壇で、
    「高峰秀子の文章は、なぜ、自慢話にしかなり得ないような話を書いても、自慢話臭が出ないのか?」
    という研究論文が、もし無いのであれば是非、研究して書いてみたい。と、真面目に思っています(あと20年か30年して、賃金労働者として「上がり」になって時間ができたら)。

    それくらい、不思議な魅力が高峰秀子さんの文章にはあります。

    この一冊は、それぞれに想い出や想いが描かれていて、どれもこれも上質な上品な日本酒を冷やでちょこっと飲むようなすっきりと芳醇な味わい。

    特に記憶に残っているのは、越路吹雪さんとの友情を綴った「めがね」。
    これは、泣けました。
    (越路吹雪さんは、無論の事素敵な歌手さんで、廉価版のベストを買っても凄味は感じるのですが、
    僕はマキノ雅弘×東宝版の「次朗長三国志」シリーズで「お園」という役を演じていたのが何と言っても心に焼きついています。
    「第6部 旅がらす次郎長一家」で初登場するんですが、その時に確かお地蔵様か何かに向かって延々と一人台詞を言いながら歩いている姿が、
    演技が上手いとか下手とかいう以前の芸人としてのオーラを1分1秒噴出しているようなモノスゴい場面でした)



    それから、この本のどこかだったと思いますが、
    「社会人になったばかりのような若い人に、お祝いを上げることが多いけれど、そういうときは、物ではなく、美味しい高級なレストランで食事をおごることにしている」
    というお話がありました。これも、へええ、と楽しく読みました。
    「どうしてかというと、そういう場所で、雰囲気やマナーに気を遣ったり飲まれたりしながら、本当に美味しいものを食べる、という経験は、必ず無駄にならないと思うから」
    だそうで。
    まあ、そんなに崇めるつもりもないけれど、なるほどなあ、と。
    これもきっと、内容そのものよりも語り口に魅力があるから、なんでしょうけれど。

  • 高峰氏がご自身の愛用品について綴ったエッセイです。語り口が軽快で素敵です。全部の品の写真が掲載されていたら なお良かったのにと思います。

  • 高峰秀子さんのエッセイ。言うほどたくさんは読んでいないけれど、文章とそこに表れるお人柄の持ち味だとか、ご自身の人生をどう物語っているかとか、そういうパターンめいた部分は掴めてきている。
    そのなかで、高峰さんのスタイルとして、「老いを迎えたら身辺整理をして小さな家でシンプルに暮らす」という理想があり、それをだいたい実現した、ということは幾度も語られている。
    この本は高峰さん60歳の頃に書かれたものだそうだ。理想とする方丈記な暮らしに向けていろんなものを手放そうと動き出したところ、ということで、いま手元にあるもののうち、手放せない大事なものたちを紹介するエッセイ。ものの紹介だけでなく、思い出話や、○○な風潮に対してひとこと言いたいという感じの章もある。写真もたくさんある。

    最近も断捨離とかミニマリストとか、ものを持ちすぎない暮らしが流行っているけど、好きなものだけに囲まれた暮らし、そりゃあ憧れますよね。

    この手のエッセイ、正直言って、よくあるやつなのですが、語られている内容や文章の趣味が合って心地よく読めること、読んでいて、この人好きだなあ素敵だなあと思えること、は当たり前じゃなくて本と私との相性次第。いまのところ高峰秀子さんはグーである。

  • 読み始め…13.6.16
    読み終わり…13.6.23

    高峰秀子さんご愛用の道具や生活雑貨、アクセサリー、大切な人からの贈り物に宝物、旅のお土産...等々...。その一つ一つと、これまで共に生きてきたかけがえのないエピソードの数々が高峰秀子さん持ち前の語り口で綴られたエッセイ。実物のお写真でのご紹介もあります。

    私もこんなふうに年を重ねていきたいな。

  • Spring 菊池亜希子

  • 女優・高峰秀子氏が、自分の身の回りの品々にまつわるエピソードを書いた1冊。
    写真多め。1話が短くて、ちょっとしたすきま時間に読むのに良い。

  • 女優・高峰秀子さんのエッセイ。
    好きな小物について書かれてあるんですが、どの描写も細やか。物に対する愛着が滲みでていて、気品とはこういうことだと思う。特に真珠の話が好き。

  • 祖母が好きな女優さん。私は女優としての活躍をあまり知らないのですが、素敵な人だなぁ、と感じました。道具を愛おしみ、思いがけない使い方をされている様子が、とても軽やかで、楽しそうだと思いました。

  • 914.6

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著者プロフィール

高峰 秀子(たかみね・ひでこ):女優、随筆家。1924年北海道生れ。5歳のとき映画『母』で子役デビュー。以後、『二十四の瞳』『浮雲』『名もなく貧しく美しく』など300本を超える作品に出演。キネマ旬報主演女優賞、毎日映画コンクール女優主演賞ほか、受賞数は日本映画界最多。55歳で引退。名随筆家としても知られ、『わたしの渡世日記』(上・下、新潮文庫)で第24回日本エッセイスト・クラブ賞受賞。2010年12月28日死去。享年86歳。

「2024年 『高峰秀子 夫婦の流儀 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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