夜想 (文春文庫 ぬ 1-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 92
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  • Amazon.co.jp ・本 (542ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167682033

感想・レビュー・書評

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  • 人はみな誰かに依存して生きている。
    誰かに救われたいと願っている。
    でも自分を救えるのは自分だけなのだ。
    そう教えてくれる本です。
    悩んだときにまた読みたいです。

  • 再読希望。

  • 人の心は弱いんだなぁ、と再認識を繰り返しながら読み進んだ。
    登場人物の誰もが、他人に依存している。
    新興宗教に群がった人たちなので仕方ないといえば仕方ない。

    出て行った娘、亜由美を支配し続けようとする母親の身勝手さに、彼女登場する度に辟易した。
    北條メンタルクリニックは衝撃の結末だったが、貫井さんの本を読んだ満足感を一番色濃く味わえた瞬間でもあった。

  • 事故で妻子を失い、生きる希望を見出せなくなった男が、ある特殊な能力を持った一人の少女との出会いにより、生きがいとなる団体設立へと向かう。

    新興宗教って、こんな風に出来上がり、膨れ上がり、空中分解していくんだな・・。

  • ロマンチックな話を想像していたのに、
    内容は人の悩みと苦悩と苦しみからの脱出の話だった。

    交通事故で妻と娘を亡くし自分一人だけが生き残った男、雪藤は、妻子を助けられなかったという自責の念から逃れられず、日々地獄の中にいるような生活を送っていた。
    そんな中で知り合った女子大生・天美遥は、その人の持ち物に触れただけで、それまでのいきさつや持ち主の気持ちがわかるという特殊能力の持ち主だった。
    彼女と話すだけでそれまでの苦しみが、ウソのように楽になった雪藤は、無欲な彼女を励まし、もっと多くの人の苦しみを解いてあげようとするようになる。
    やがて娘が東京に出たまま行方知れずだという女性が現れて、なぜか真実がわからないと答える遥に対して不信感を持つようになり、恐ろしい事件へと発展する・・・。

    詳しい経緯と人間描写は、以前にあめん坊さんが書かれているので、
    私はサラリと述べておいた。

    新興宗教というものはこんな形でできていくのかとまずは驚き、
    次に特殊能力など無い方がいいと単純に思った。
    どうしょうもないほど苦しい悩みを持った時、人は誰かに救ってもらいたいと思うものなのだろう。だから、教祖ともいうべき誰かの元には、人が集まるようになってくる。

    だが、教祖も一人の人間であった。
    この作品では、教祖である遥自身も自分の力をどこまで人に使えるのか、悩んでいるところが描かれている。

    神から選ばれて特殊な能力を授けられたのなら、それを人のために使うのか、金銭目的に使うのか。無欲に人のためにだけ使いたいのに、ビジネスにしようと企む人も遥の周りに集まってくるのだ。

    人が集まればどうしても金銭トラブルや人間関係で又地獄を見ることになるのだろう。これもみな人間であることの証なのだろうか。

    新興宗教が人の苦しみを救うところに意義があるのなら、人が自分たちでまくトラブルは余計なものだ。苦しみを話して救ってくれる人が自分の近くにいるのなら、誰にも知らせずに、独占しておきたいと思った。

  • 2012.11.15読了。
    事故で妻と子を同時になくした男が、物に触れるとその気持ちを読み取ってしまう能力を持った女のコと出会い、その子を他の人にも知ってもらおうと奮闘する新宗教の興隆記?

  • 交通事故により妻子を突然亡くし絶望からただ惰性で生きていた雪籐が特殊能力をもつ女子大生遥との出会いで救われ、遥の能力を人々の為にとコフリットを立ち上げ活動に生きる意味を見いだした雪籐の心の様子が良く書かれて面白く読めた。二人の周りに様々な人がが集まり、狂気の嘉子の異常性もスパイスになった。最後雪籐が自らの力で立ち直る姿に感動。

  • やたら読むのに時間がかかった。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    事故で妻と娘をなくし、絶望の中を惰性でただ生きる雪籐。だが、美少女・天美遙と出会ったことで、雪籐の止まっていた時計がまた動き始める。やがて、遙の持つ特殊な力は、傷ついた人々に安らぎを与え始めるが…。あの傑作『慟哭』のテーマ「新興宗教」に再び著者が挑む。魂の絶望と救いを描いた、渾身の巨篇。

  • 事故で妻と娘をなくし、絶望の中を惰性でただ生きる雪籐。だが、美少女・天美遙と出会ったことで、雪籐の止まっていた時計がまた動き始める。やがて、遙の持つ特殊な力は、傷ついた人々に安らぎを与え始めるが…。あの傑作『慟哭』のテーマ「新興宗教」に再び著者が挑む。魂の絶望と救いを描いた、渾身の巨篇。

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著者プロフィール

1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補となった『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞受賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞。「症候群」シリーズ、『プリズム』『愚行録』『微笑む人』『宿命と真実の炎』『罪と祈り』『悪の芽』『邯鄲の島遥かなり(上)(中)(下)』『紙の梟 ハーシュソサエティ』『追憶のかけら 現代語版』など多数の著書がある。

「2022年 『罪と祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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