シティ・マラソンズ (文春文庫 み 36-3)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167761035

感想・レビュー・書評

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  • シティ・マラソンというタイトルで三浦しをんさん、近藤史恵さんあさのあつこさんの三人の短編集。

    社長から突然明日からニューヨークシティマラソンに参加してこいと命令された主人公。気まぐれな社長の命令は社長の娘のお目付役だった。

    シューズメーカーで働く主人公が昔の同じ大学で走っていた友だちが東京マラソンに出場すると電話があったところから昔の自分のたどった長距離の陸上選手としてたどったその友人と三人の幼なじみのたどった走る事への情熱に気が付くストーリー。

    母がバレエ教室をしていて、バレエに打ち込んでいた主人公が自分の才能と妹の才能との差を自分で気が付きバレエを捨ててパリに語学学校へ逃げるように半年間の就学に向かうところから始まる。パリで街を知るにはランニングをして近辺を回るところから始めたらと思い自己流で走っている時にランニングしていた女性と犬に出会い、その出会いの中でランニングを楽しみパリマラソンに出ようと決める。妹と自分との違い、そして自分が打ち込んだバレエへの時間、そして走ること。

    三つの短編にそれぞれの走る事への思いやその証のような物を盛り込んだ3編が楽しめる一冊。

    読んだのは文庫本ではなく単行本でした。

  • 三浦しをん、あさのあつこ、近藤史恵による、ニューヨーク、東京、パリのシティマラソンに纏わる3編。

    登場人物は、それぞれに挫折や暗い過去を抱えているけれど、マラソンを通して何かを見つけたり、前を向くことができたように思える。
    誰もが走りたいと思い、走る人を応援したいと思う。いつまでかかっても走りきっていい、やめろなんて誰も言わない。そんなシティマラソンならではの良さが溢れていて、読んでいて楽しかった。
    ニューヨークのスタート地点、一斉に脱ぎ捨てられる防寒用ジャージやジャンパーが、ボランティアにより集められ寄付に回されるという。そのために新しいものを着て来る選手もいるというエピソードにほっこり。

    私は、近藤史恵さんのパリのストーリーがお気に入り。パリの街を知りたくて初めてのランニングシューズをプランタンで買い求め走り出した夕。バレリーナを目指していた頃は辛いばかりでわからなかったけれど、走りながら思う。「苦しさは、堪えるのではなく、ただ受け止めて」

    • ikuさん
      mukaty ぜひぜひ~。ホノルルはどこよりも楽しそうな気がするね(*'▽'*)
      mukaty ぜひぜひ~。ホノルルはどこよりも楽しそうな気がするね(*'▽'*)
      2014/11/07
    • mukaty112さん
      ikuさん お友達、とても面白かったと言ってました。走るのが楽しみになったそうです♪
      ikuさん お友達、とても面白かったと言ってました。走るのが楽しみになったそうです♪
      2014/11/20
    • ikuさん
      mukaty よかった(*'▽'*) 私も、そっか楽しめばいいんだって思えて、多摩川走る前に読んでよかったよ
      mukaty よかった(*'▽'*) 私も、そっか楽しめばいいんだって思えて、多摩川走る前に読んでよかったよ
      2014/11/20
  • マラソンを題材にした短編集。
    好きな作家さんばかりだったので即買い。
    あさのあつこさんの話は初めて読んだけど、すごく作品の空気が好きな作家さんだった。別の作品も読んでみたい。

    んで、内容としては金色の風が一番好きだった。
    言葉にすると難しいけど、なんというか、憬れが現実になる瞬間。
    すっごく共感できた話だった。

    この一冊を読み終えて思う事は、ただ走りたい(笑)

  • それぞれがシティ・マラソンを素材にした、三人の作家のオムニバス。
    三浦しおんがニューヨーク、あさのあつこが東京、近藤史恵がパリのマラソンを取り上げて、三者三様の物語が楽しめる。
    私にとっては、三浦しおん以外は初めて読む人たち。
    もとはアシックスの企画でできた本らしい。
    そのせいか、読み口は軽く、読後感もさわやかで、しゃれた雰囲気。
    三浦さんの、あくの強いキャラクター(今回だと笹野不動産社長)も、不思議とそう強烈に見えない。

    三浦作品と、近藤作品が街のたたずまいを積極的に描いているのに対して、あさの作品はあまり街が見えない。
    どちらかというと、高校時代からの友人の冠城湊、北村絵梨と、主人公との三角関係のドラマが中心。
    うわぁ、『ノルウェイの森』的展開か?と思ってしまったが・・・。

    近藤作品は、少女漫画のような雰囲気。
    バレエ教師の母を持つ姉妹の話。
    主人公でもある姉の夕はバレエで挫折し、パリに語学留学中。
    妹の麻美は才能が認められ、ハンブルクにバレエ留学中。
    姉はアイデンティティを模索中。
    したがって、パリにも居場所をみつけられない。
    そんな彼女がアンナという女性と知り合い、走ることの中で、自分の身体と向き合い、やがて自分と妹との関係の捉え方も変わっていく、というお話。
    この作家さんは、ミステリー系の人かと思っていたけれど、こういう作風なのかしら?

  • 3人の人気作家さんのマラソンにまつわる短編集です。

    ニューヨーク、東京、パリという3都市のものがたりで、しかも、それぞれの作家さんらしい内容。

    三浦しをんさん、近藤史恵さん、あさのあつこさん。
    それぞれの作家さんの作品が好きなので、1冊で皆さんの作品を堪能できたのは嬉しかったです♪

    それぞれの作家さんの作品が好きすぎる方には、「短編では物足りない!」という意見もあるようですが、読み応えのある長編とは違い、さらっと読める短編集は気軽に読めていいとも思うのですが・・・。

    私の一番のお気に入りは、近藤史恵さんのパリのお話。
    パリの街並みが美しく、「あ~!パリで走りたい!」とミーハーになれます。笑

    マラソン小説入門編にはもってこいでは?

  • ニューヨーク、東京、パリの3つの都市で開催されるシティマラソンに出場するそれぞれの主人公の思いを綴った物語。
    3都市3様の雰囲気がとても心地よく描かれていて読みやすかったです。

    私は東京に住んでいて、ニューヨークとパリには数年前に旅行で訪れたことがあったので、景色やその国の個性がとても伝わってきました。

    まだ走り始めたばかりだけれど、いつか異国の街を駆け抜けてみたいなぁと走ることの楽しみが増えました。
    特にパリのシャンゼリゼ通り。

  • フルマラソンをテーマにしたオムニバスだったので、世界観は一緒で、でもいろんな作家さんの話を楽しめました!それぞれ読んだことあるひとだったので、このひとっぽいな〜って思いながら読みました。近藤さんは犬が出てきてたし、あさのさんは才能とは、みたいなテーマだったし、三浦さんは年の差ロマン…みたいな個人的な印象。全ての主人公がマラソンを通して本来の楽しさを知って、人生とかを見直すっていうところにぐっときました。これ読むとマラソンしてみたくなるな〜しないけど!

  • 春の晴れた日に心地良い風が吹いていて、気持ちいいなぁと空を見上げた時のような、爽やかな気持ちになれました。

  • 軽く読める本なのだが、なかなかに今の自分に突きつけられるところがある本でもあった。どの主人公も、大切なことを忘れていたり、いつかの情熱をあきらめていたり、どこか中途半端なところがあり、自分でそのことに気づきながらもどうにもできないでいる。そんなもどかしい状況にカンフル剤として「走ること」が彼らの人生に登場する。それで何かが解決する訳ではないけれど、彼らにポジティブな空気を送り込むのが「走ること」。ちょうど私も彼らと同じような状況にあったりして身につまされるところもあり、ちょっと走ってみようかなと思ったりもしている。

  • 三浦しをん、あさのあつこ、近藤史恵が、それぞれニューヨーク、東京、パリのシティマラソンを走る、元アスリートたちを描いた作品。スポーツものはただでさえ好きだけど、それぞれの街の描写が話を盛り上げ、元アスリートたちの孤独が話に感情移入させた。どれもちょっと短いけど、贅沢なオムニバスでした。パリ行きたくなった。

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

三浦しをんの作品

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