ミッドナイト・バス (文春文庫)

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  • 文藝春秋
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感想 : 99
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167906719

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  • 千切れそうになりながらも繋がりを取り戻す家族の物語。
    主人公は男性なのですが、考えてみれば女性作家さん。でも上手く描けていると思います。
    姑が原因で離婚した夫婦。父親の元に残った息子と娘。別れた妻。そして彼らを取り巻く人々。
    皆が真面目で、でも誰も心の内をさらけ出すこと無くどこか鬱屈し、相手を憶測することに疲れている。そんな状態がずっと続き、少々疲れます。
    その中で父親の恋人のストレートさが、それはそれで重いのですが可愛くも感じます。
    最終章。義父の旅立ちを契機に登場人物たちの様々な思いが表出することで、それぞれが物理的には自らの道を進み始めるのですが、精神的には再び繋がりを取り戻していきます。
    無理がなく、上手く描かれた家族の小説です。

  • 夜行バスの運転手である主人公を軸に、その元妻、今の恋人、息子、娘などそれぞれ問題を抱えた「家族」の葛藤と再生を描いている。淡々と話が進むので、盛り上がりというのはあまりなかったが、読んでいて心に沁みる作品だと感じた。
    各章にショートストーリーのような形で、主人公の運転する夜行バスに乗車した人々のショートストーリーが語られるが、それらの登場人物が最後に全部つながってくる構成も良いなと思った。また、現実世界でも、バスなどで乗り合わせた人達それぞれにいろんな人生があるんだろうなぁという感慨を持った。

  • 家族の形に決まりはないのだ。

    繋がり方や距離感、それはそれぞれ独自のものであって、他人にとやかく指摘されるものではないのだ。

    素直で好感が持てる登場人物たちが良い。

  • 人生が夜のときに、明け方まで運んでくれたあの人。
    関係性は変わっても、青春の象徴だとしても、お互いにずっと大事な人のままだと思う。
    美しい日本語で切なさと儚さが切実に伝わってくる。
    怜司の不器用な優しさが好きだった。自分の言葉を思い返して傷つくこの人を支えてくれる人が出てくると信じたい。

  • 購入本はいつ以来だろう。離婚を経てある家族に生まれたかさぶたが癒えぬまま時が流れ、じゅじゅじゅくとはがれかけるなか、再生に向かうのか、二重三重に膿んでしまうのか、物語をおった。親は親の、子供は子供の目肌でお互いをちゃんとみているのだなと感じられた。

  • 【壊れた「家族」という時計は再び動き出すのか】故郷に戻り、深夜バスの運転手として二人の子供を育ててきた利一。ある夜、乗客に別れた妻の姿が――。家族の再出発を描く感動長篇。

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。中央大学法学部卒。出版社勤務を経て、2008年「風待ちのひと」(「夏の終わりのトラヴィアータ」改題)でポプラ社小説大賞・特別賞を受賞してデビュー。第二作『四十九日のレシピ』が大きな話題となり、テレビドラマ・映画化。『ミッドナイト・バス』が第27回山本周五郎賞、第151回直木三十五賞候補になる。このほかの作品に『なでし子物語』『Bar追分』『今はちょっと、ついてないだけ』『カンパニー』など。あたたかな眼差しと、映像がありありと浮かぶような描写力で多くのファンを持つ。

「2020年 『文庫 彼方の友へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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