クロワッサン学習塾 (文春文庫 か 84-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167920548

作品紹介・あらすじ

教員をやめ、小学4年生の息子とふたり、
東京から地元に戻った黒羽三吾は、
父が営むパン屋で働きはじめる。

店で起きた万引き騒動をきっかけに、
ある少女と話をした三吾は、
彼女が学校の宿題で少し困っていることを知る。
かつての教え子の姿が心に浮かぶ三吾。
勉強を見てあげようか、と提案するのだが……。

さらに、息子の親友になった少年は、
自分も気づいていない、ある困難を抱えていた。

教員時代の後悔を胸に、人生の岐路に立つ三吾と、
学校や家で、ちょっと困ったことがあるのに、
言葉にできない子どもたちが、
「学ぶこと」の意味を探しながら成長する、
あたたかな物語。

感想・レビュー・書評

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  • 元教師の三吾は、小学4年の息子を連れて実家に戻り、父が営むパン屋で働く。
    息子と同じくらいの少女がパン屋で万引きをするところを見てしまい…。
    その騒動をきっかけに母親が宿題を見てくれない、ということから自分にできることがあるはずだと思い、その母親と多少のいざこざ的なことがありつつも店の定休日に学習塾的なことを始める。
    他にも息子の同級生が、ディスレクシアだと気づいたり…。

    元教師ということもあって、子どもに対してどうすればいいのかとか、取り返しのつかない状態になる前に避けれたらという思いが伝わってくる。

    ちょっと説教くさいところやボランティア精神が強いのでは…と思うところも三吾だからか。



  • ☆4.5

    タイトルやあらすじから、元小学校教諭である三吾が、パン屋さんで働きながら塾を開くお話なのかなぁと思いながら読み始めたのですが、気付かされることや考えさせられることがたくさんあるそんな物語でした。

    ミステリー要素もあったり、子供たちの成長を感じられたり、心に響く言葉がたくさんあったり…と1冊でとても楽しめる作品でした!

  • 教員を辞めて家業のパン屋を継ぐために、小4の息子と実家へ戻ってきた黒羽三吾。そこで万引きをした少女・一条茉由利が学校の宿題で困っている事を知り、無料塾を提案するが…

    ほのぼのしている様でかなりビターなストーリーでした。
    かつての教え子を救えなかった贖罪、そして教師と言う職業の疑問。奥さんと別れた経緯にはあまり触れていませんでしたが、子供が父親についてきたのがちょっと意外でした。そこら辺もう少し掘り下げて知りたかったです。

    教師を辞めたからこそ見えてきた「学ぶこと」が、とても考えさせられました。

  • 元小学校教師のパン屋のおやじが、紆余曲折あって無料の学習塾を開く話。もうちょっとパン屋部分をクローズアップしてほしいところだったけど、基本的には子どもたちの問題と教育論が多め。
    クロワッサンがパンのクロワッサンでなく三吾のあだ名なのは承知の上で、クロワッサン(パン)の影薄すぎない!?なんかもっと事あるごとにクロワッサン出してくれてもいいんだよ!?
    学習塾も、学習塾でのお話というか学習塾に誘う経緯がメインなのでタイトルから期待したものとはちょっと違うなという印象。面白かったんだけどね。

    山に住み着いてた近藤が安易に立ち直らなかったの、物語としては収まりが悪いかもだけど個人的には良かった。そんな簡単に立ち直れる人間ばっかじゃねえだろと思うので。

  • パン×教員

    全然絡むことのない2つのものがどんな風に絡むんだろう、、、(  ૢ•̅_•̅)と思っていたのですが暖かく時には深刻なシーンもあり面白かったです。

    元教員としての視点や母親の視点、両方が読めて良かったです。

  •  郊外のパン屋を舞台に繰り広げられる、教育に纏わるハートウォーミングストーリー。
     元小学校の男性教員が職を辞して、実家のベーカリーを継ぎ、父と息子の三代で暮らしながら修業しつつ、町の人々と関わり、無料の学習塾を開いて子供たちを支えてゆく。
     教師の役割、親の役割、そして、子供の成長と、学ぶことの意義が問われる。
     勉強に悩む子供の姿を等身大で描きつつ、各家庭にも事情があり、葛藤があることを丁寧に追っており、誰かしらに共感しやすい構図になっている。
     やがて、多忙な教員時代の袋小路の想いと信念が、主人公の試行錯誤を通して、或る一つの理想像として結実する。
     思うに、学ぶとは、手段を知るための道筋なのではないか。
     大人になる過程で、働いていく上で、壁や困難に遭うのは、ほぼ必然。
     そんな時、ただ諦めたり、失ったり、追い込まれてしまう前に、何とか足掻き、考慮し、工夫し、這い上がり、道を切り拓いていくための「思考の充填」こそ、学習の意義ではないかと考える。
     勉強は、手段であって、目的ではない。
     人生を豊かに、個々の思いや夢を実らせていくための、「心の武器」になりうるものだと思う。
     学べる環境を整え、学びを手助けする先達が導き、そうして、人間社会は発達してきたのだから。

  • 無料のボランティアが余計胡散臭く思えることって確かにある。難しい。パン作り楽しそう。

  • 主な登場人物は元教員の三吾と、小学四年生の息子真司。真司の友達の隆之介、隣のクラスの茉由利。

    三吾の元教員という経験からの話や、教育に対しての見解などが、興味深く、また、共感する内容だった。
    三吾の父で真司の祖父である康太郎が、孫の真司との会話の際にジェネレーションギャップを感じさせるのも、康太郎の年代を感じて良い。

    幻冬舎文庫の、遠藤彩見著「給食のおにいさん」シリーズを読んだことがあるが、似通ったものを感じた。
    どちらも「教育」が関わる本なので、当然といえばそうである。

    伽古屋圭市さんの作品を読むのは初めてでした。
    面白かったです。続刊が出ることを期待します。

  • パン部分はあくまで職業で、基本元先生として子供を教え諭す事がメイン。
    過去の後悔もあり、息子と一緒に教える事もあって、子供に対して真剣かつ真摯に向き合っているのが伝わる。きちんと言葉にしてくれるので素敵な大人だなと思います。

  • タイトルからもっとゆるくほのぼのしたストーリーを期待してたんですが、思ったよりダークな感じでした。
    元教師の目線で色々な物事を捉えていく、そんな感じがしました。

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著者プロフィール

1972年大阪府生まれ。公務員退職後、『パチプロ・コード』で第八回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し2010年にデビュー。

「2017年 『散り行く花』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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