- Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198635091
作品紹介・あらすじ
原発事故、オスプレイ配備、米軍基地問題、地方の犠牲-。今こそ問い直そう。ニッポンが沈没してしまう前に。
感想・レビュー・書評
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沖縄と福島を軸に中央と地方との関係が抱える根深い問題についてのインタビュー集。
戦後の復興から高度経済成長期に犠牲にしたり見ないふりをしてきた問題が、この震災と原発事故を機に一気に明るみに出てきたという論旨。
具体的な解決策はなく、意識の切り替え、覚醒を訴える内容が多い。頷ける部分は多いが、間違いを正そうという意志よりも不満とあきらめのトーンが強い。
これでは間違いを正す力にはならない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
何なんだろう。
この気持ち悪さは…。
他責の嵐しか感じません。 -
これを読んで私たちの世代から日本を本当の主権国家にしなければならないと強く感じた。
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新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:304//To38
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住民投票運動とローカルレジーム ハーベスト社
地域活性化=人が嫌がるものに手をだす とうい等式がなりたってしまった
民主主義的方法で自らいい形で威勢よく地域活性化といわずに、うまく縮小していける方向を探るモデルをたてられるか -
東日本大震災後の沖縄タイムスによるインタビュー集。
福島と沖縄は日本という中央(全体)に対してとても似た一面を持っている。その事実を識者の言葉で再認識することができる一冊。結論というものは出ないが読んでおきたい一冊だと思う。
福島と沖縄から本当の日本が見える。 -
「沖縄と福島から見えた日本」という副題がついているとおり,「国策としての棄民」ともいうべき40年間(あるいはそれ以前からの)の沖縄と,原発被災した福島との,相似性にスポットを当てて,新聞記者が著名人にインタビューをしています。
取り上げられている人たちは,すでにわたしの本棚にも何冊かの本がならんでいる人たちでした。
インタビューアである新聞記者の渡辺豪氏の所属は,沖縄タイムス。その紙上に連載されたものを集めたようです。
ただ,このインタビュー記事は,まるで渡辺記者との対談の様なときもあります。それくらい,記者の方も,当事者意識でしゃべってしまっているのだと思います。
とにかく,日本はアメリカから早く「独立」する必要があります。 -
沖縄、福島の現状を認識しつつも暗黙している時点で私も加担者だ。当事者意識が伴わない痛みへの共感は持続性がない。その通りだと思う。
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沖縄と福島を通して日本を考えるインタビュー集。インタビュアーは沖縄タイムス記者の渡辺豪氏。名うての論客8人のインタビューしています。
そのインタビュー相手がとにかく豪華で、ネットで見つけて即購入しました。内田樹さん、辺見庸さんは著作のほとんどを持つほどのファン。ほかにも佐野眞一さん、小熊英二さん、佐藤栄佐久さんら個性的な論客ばかりがそろいました。
いずれも沖縄と福島の現状から日本の問題点を炙り出して夢中で読みましたが、個人的には、実は本書で初めて知った福島大教授の清水修二さんのインタビューが大変興味深かったです。
原発立地自治体に国が交付する「電源3法交付金制度」は原発事故で広く知られるようになりましたが、その目的に「地域振興」が掲げられるようになったのは、実は90年代に入ってからだそうです。それから露骨な利益誘導、政策誘導が始まります。
07年に成立した「米軍再編交付金」もまったく同じ仕組みで、実にグロテスクに感じました。
原発も基地も、実は地域格差を前提にしています。原発や基地がないと、その地域の経済が立ち行かなくなる。清水さんは「地域格差が是正されると、そういうものを推進したり、稼働したりできなくなるという意味では、『原発や基地が地域格差を是正する』という国の言い分は論理矛盾だと、ずっと前から思っています」と主張しています。
千葉大教授の広井良典さんは、現状の問題点を明示するところからさらに進めて、追求すべき未来の姿にも言及しています。
キーワードは「定常型社会」。時間軸を尺度に経済成長すれば豊かになるという信仰を捨て、地域に根差した空間軸で豊かさを捉えようという考え方です。
訳知り顔の大人たちは「青臭い」というかもしれません。しかし、これまで、こうした訳知り顔の大人たちの代表のような人たちが主導してきた原発が今回こういう形で破滅的な事故を起こしました。
本書でも登場している内田樹さんは高橋源一郎さんとの対談で、原発推進派を「悪者」としたうえで、「悪者だから賢いはずだ、だから任せておいて大丈夫だという意識があった。ところが今回(原発事故で)はっきりしたのは、彼らは賢くはなかった、任せておけない」と語っています。
本書を読み、私たちも原発や基地の問題を人任せにせず、主体的に考えていくべきだろうと思いました。
それにしても本書に登場する論客たちの思想の打点の高さと言ったらないですね。