僕と日本が震えた日 (リュウコミックス)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784199502866

感想・レビュー・書評

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  • コミック

  • ネット公開されていた連載分、一冊にまとまったので購入。取材は震災後の浦安に始まるが、出版関連産業の被災、つくばの先端研究所の被災、日本経済といった通常報じられない視点が非常に興味深く、また悲劇的になりすぎない、ギャグや自虐込みの描きかたに好感が持てた。生きている私たちは、それでも歩いていくしかないのだ。わずかな希望を頼りにして。

  • 2015年3月11日

    装幀/彦坂暢章(株式会社ケイズ)

  • 東北大震災と言えば津波と原子力発電だが、地震によって紙、インクが受けた被害がどう出版に影響を与えたかなど、意外に身近な、そしてあちこちに与えた傷跡が記録されている。現地はまさに「絶句」であったようだ。

  • セシウムは半減期が長いのが辛い。4ヶ月経っても家を外部から遮断しているのは、逆にラドンで被曝するかもと。壁や床からジワジワと来るイメージが怖い。

    放射線と言っても、α、β、γある。直接、健康被害に関係があるのはγ(ガンマ)線。α、β線はアルミ板で遮断できる。なのでガイガーカウンターを使って空間線量を計る時はアルミ板を通して計らないといけない。

    放射線はランダムに崩壊するから、一度計っただけで線量を決めてはいけない。複数回計って平均値を求める。

    暫定基準値→内部被曝か健康被害か。

    ベクレル→含まれる放射能の量
    シーベルト→体への影響量

    K40問題が興味深かった。怖いから見ないようにしていると、ますます怖くなるんだな。放射能は正しい数値を知ることでしか緩和されない不安なのかもしれない。

  • もっと早く読んでおけばよかったかも。震災について放射線の影響について、足に地が着いた感じで、わかりやすく書かれていた。周りの人にも読んでもらいたい。ちなみに売り上げは寄付になります。

  • 東日本大震災の、ルポルタージュコミック。作者が、身近な被災を取材して。原稿料は全額義援金になるそう。これ、Web版が話題になったんですよね。Twitterで知って、読んでみたらとてもよかったので。よかったというとふつう…月並みですが。単行本が出るときいて、買って持っておこうと。Web版にはなかったお話も読んで…考えさせられました。

  •  ルポマンガの天才・鈴木みそによる3.11。

     我々は、自分が想像だにしなかった規模のものと対面すると、対象との距離を上手く測れなくなってしまうことが往々にしてあります。
     違和感、というよりも頭(情報)では理解したつもりでも、心(実感)が伴わない、そんな戸惑いを感じられた方も少なくないのではないでしょうか。
     未曾有の大災害に原発事故と、あまりにも被害が大きかった東日本大震災について、作者は自分の等身大の体験から説き起こします。
     震災当時、特に東京方面の方々で繰り返し繰り返しテレビ報道を見続けたせいで精神的に参った方が少なからずいたと聞きました。自分の身体性と一致しない形で、未曾有の災害被害の実態を情報として頭に入れたせいで、心と体のバランスが崩れたんじゃないでしょうか。本書のReport.1を読みながら、自分の身体性に根ざした感覚、言い換えると自分の足下・身の回りを実感する大切さについて考えさせられました。

     Report.2では、作者の仕事に直結する出版業界の被害について。
     再販制度やうなぎ登りで出版点数が増える出版業界の仕組みを説明されているうちに、出版業界は「安全に回り続けること」を前提にして回っている業界だということに気づかされます。
     でも、今回はヤバかったけど何とかなった、じゃないですよね。間寛平のギャグじゃないんですから、「止まったら死ぬんじゃ!」というシステムって、冷静に考えたら怖すぎですよ。

     Report.3と5、Special article.1と2では、正しい放射線の測り方をはじめ、放射能についてわかりやすく説明されています。
     ここは長年ルポマンガを描いてきた作者の腕が光っています。わかりやすい上に、「へぇ~」「ほぉ~」の連続でした。

     Report.4は経済学者・小幡績へのインタビュー。
     小幡先生の話を聞いていると、普段何となくそう思っていたことがことごとくひっくり返り、「え、そうなの!?」の連続でした。そう言えばうちに一冊積ん読で小幡先生の本があったような…早速読んでみます(笑)。

     最終章、Report.6で作者は被災地を訪れます。
     私からはゴチャゴチャ言いません、ここは是非直接読んで下さい。

     メディアが震災について騒ぎ立てていない今、ゆっくり読んで欲しい一冊です。

  • 震災がテーマなのに肩の力を抜いて読める貴重な一冊。デリケートな問題に筆者ならではの切り口の描写で描かれている。ギャグが入っていても後ろめたい気分にならないのが流石、筆者といったところ。この本の収益が義援金になるからかな。

  • ある漫画家が取材した、震災、経済、放射能などなど。末期状態と言えるネットの議論とかとは一線を画しており、わかりやすく、偏りがなくてとても良いと思いました。

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著者プロフィール

漫画家。ちんげ教教祖。1963年静岡県下田市出身。美術予備校時代から編集プロダクションのライターとして雑誌作りに関わる。ゲーム攻略、記事、コラム、イラストなどをこなす。元編集者兼ライター兼イラストレーター。東京芸大油絵科除籍後、多忙すぎるプロダクションから独立。マンガを描く。1ページのルポ漫画から、広告マンガ、ストーリーマンガまで幅広く受け付けている。著書に『ナナのリテラシー』『限界集落(ギリギリ)温泉』など。Twitter: @MisoSuzuki 鈴木みそオフィシャルBlog『CHANGE』

「2015年 『凡庸な作家のサバイバル戦略──結局どうすりゃ売れるのさ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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