消滅世界

著者 :
  • 河出書房新社
3.30
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本棚登録 : 2162
感想 : 275
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309024325

感想・レビュー・書評

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  • 狂気の世界だと思った。ありえないと思いながらも妙にリアリティを感じてしまったり・・・
    実験都市エデンでは、すべての子どもは人工授精で産まれた"子供ちゃん" 男も人工子宮で妊娠、出産ができる。家族の形態もなくなり、大人は男も女も"おかあさん"
    正常と異常のはざまで壊れてしまった雨音が、気持ち悪いけど哀れ。
    「正常ほど不気味な発狂はない。だって、狂っているのに、こんなにも正しいのだから。」
    村田さん2016芥川賞決定!

  • 読み始めから読み終わるまで、気味の悪さが肌にまとわりつくようである。不穏とか不気味とか怖いというのとも違う。たぶん、今まで信じてきた価値観と全く違う価値観で、終始一貫しているからだろうと思う。
    恋愛観、家族観、結婚観に揺すぶりをかけてくる。
    楽しくはない。

  • なんかすごい本を読んでしまったかも。
    読んでいる間ずっと感じていたのは、泣きたいくらいの懐かしさと「えーと、これはどういうことなのかな?」という違和感半々。ところが、最後には、その違和感の中に今いる懐かしい世界がまるごとすっぽりのみこまれてしまったような不思議な感覚に包まれてしまう。
    卑近な個人レベルの生き方から、壮大な社会単位の在り方まで、人間という存在について、自分自身をのぞきこみつつ、色々考えさせられて、ものすごく面白かった。『わたしを離さないで』とか『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』とかにも通じるものがあるのかな。
    あと、本筋とは関係ないのですが(いや、大いにあるかもしれないが)主人公の初恋の相手=二次元キャラの少年ラピスがかっこよすぎて、もう。

  • 読み進める度に衝撃の連続でした。

    この作品に描かれた世界は一見、人間味が消滅した様な世界ですが、不思議と愛に溢れている。

    愛情や絆の在り方を改めて考えさせられます。

    そう遠くない将来に、こんな世界が現実のものとなっていそうな現代が恐ろしくなりました。

  • 途中で、再読だ…!と気づいたけどよく憶えてなかったしそのまま読了。そうそう。この不可思議な感じだったな。恐ろしいSFのようでもあるけれど、実際の2024年の現実世界から地続きにある未来のようにも思えて、絶妙にリアル。アダムとイブの呪いがラストで奇妙に回収されていることで、スッキリするような余計に気持ち悪いような…。私にとってはこの物語はホラーです。

  • 読む前の評判と読んだ後の気持ちが全然違った。
    気軽に読んでいい内容ではなく、どことなく気持ち悪くなるような作品であった。

  • 途中で読むのやめた

  • 生殖行動・夫婦・果ては家族や性別という概念がだんだんとなくなって行く過渡期の世界の物語。

    主人公たちが実験都市千葉へ移り住む動機がいまいちよくわからなかったし本当にそのような技術や制度が実現したとて人間ってそんなに合理的に進化できるものだろうかという考えが邪魔して素直に読めなかった。それともそれすらも作中でいうところのあっちの世界の考え方なのか?

  • やばいな…
    表現がなんとも言えないけど、本を読み終わって「やばいな…」って呟いたのは初めてだと思う。
    「コンビニ人間」「殺人出産」を読んだ時は、その主人公の考え方や世界観に「小説だし、こういう話もありだな」と思っていたけど、この話は自分の中でうまく消化できてない。(消化しなくてもいいのだと思うけど)
    ラストで主人公が正常なのか発狂してるのか、発狂してるけれど正常な部分が根底から消えないという意味なのかこわくなる。でも「正常」と言いつつ、やっていることは「異常」だし…と、ぐるぐるする。
    話の中の家族システムや楽園システムは、もし人類がもっともっと長生きすれば実現しそうとも思ってしまう。
    そう思ってしまう自分は、もしかしてこの話によって発狂しているのかも?
    わからない。

  • 言いようのない気持ち悪さだった…
    村田沙耶香さん、こんな感じの作風なのね

    パラレルワールドっぷりはうまく描写されていたけど、一番の違和感は夫・妻の恋人や恋愛を受け容れる価値観だった
    大切な恋人がそのまま家族になるものだから

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著者プロフィール

村田沙耶香(むらた・さやか)
1979年千葉県生れ。玉川大学文学部卒業。2003年『授乳』で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)を受賞しデビュー。09年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、16年「コンビニ人間」で芥川賞を受賞。その他の作品に『殺人出産』、『消滅世界』、『地球星人』、『丸の内魔法少女ミラクリーナ』などがある。

「2021年 『変半身(かわりみ)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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