消滅世界

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 2162
感想 : 275
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309024325

感想・レビュー・書評

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  • 自分が読んだ村田沙耶香先生の作品の5作目です。

    こどもを産み育てている身として、家族は大切だし夫を愛しているし、こどもは可愛いので家族制度に文句は無いし、読み始めは夫婦が近親相姦とかどういう世界だよ?と主人公の母親のような気持ちになっていたが
    個人的に「もっとお金持ちのおうちに産んであげられたならばもっと教育に力を入れられて良い学校に行けてもっと幸せになれるかもしれないのに」とか「虐待とかされたり放置されたりするこどもが居ない世界になれば良いのに。人類みんなでこどもを育てていければ優しい世界になれるのに」と漠然と考えていたことがまさにこれだ!という形で表現されていて、これはまさに楽園(エデン)なんじゃないか。と狂っていく自分が居ました。よくママ友とかも「旦那が一切家事育児しないから、ママ友だけのマンションとか建てて家事育児を協力しながら暮らしたいわー」なんてことを言います。私は友達と長続きしないのでどうせその集団とも価値観が合わずに排除されるんだろうなと聞き流していましたが、子育てマンションに住むと決めた人たちはこの作品がとにかく刺さるし楽園で洗脳されていくのかなと思います。そんなことをぐちゃぐちゃ考えちゃいました。子育てしている人に読んでもらいたいですね。

  • 一気読み。
    家族とはなにか。
    子供を作るとは何か。

    村田さんの本の第一作目が
    この本でよかったのか。

    途中から気味が悪くなってくるのに
    一気読みができてしまうという
    まさに村田さんワールドな感じでした。

  • 凄い世界観で理解するのが難しかった。
    色んな感覚がなくなっていく世界、、怖いな。

  • 【不気味さに引き込まれる世界観】

    ・人間の3大欲求の1つの「性欲」が代替され処理された世界では「家族」・「愛」が共有される。
    この「異常な世界」も順応し洗脳され統一されれば「正常な世界」となる

    望まない妊娠や望んでいても妊娠出来ない人、十分な教育や食事を与えられない子供がいるなら、この世界を作れば、皆平等に「おかあさん」と「子供ちゃん」になれるだろう。
    今、私はこの世界に100%反論することが出来ないでいる。
    命の尊さや道徳的に…などと言い訳するには、今の世界は説得力が無さすぎる。

  • ぞっとする世界。こんな世界には住みたくない。あちらの世界、いやもっとあちらの世界で十分です。恋愛して結婚して、セックスして子供を授かり、自分の子供として愛情深く育てる、そんな旧態依然とした世界がいとおしく感じました。

  • 無菌室の中で育っていく性欲。家族、恋人のあり方。
    発狂じみてる楽園システム。正常とは何か。今私たちが生きてる世界は、グラデーションの中の1つの時代に過ぎない。

    独特な世界観と設定にゾワゾワとしました。

  • 人類がここに向かっていなければ良いが…

  • 人工授精が進んだ世界。ヒトの繁殖システムが技術の進化と共に変化したならば、どんな世界になるのか。 未婚の女性を行き遅れと揶揄する価値観が古いとされている現代、男女ともに一生独身を積極的に選択する人が増えている。結婚しても子を望まない夫婦も。なぜ子を欲しがるのか?なぜ他人と家族になりたがるのか?なぜ子作りに男女間の情愛が必要とされるのか?深く考えさせられたし、本当にこんな未来が来るかもと読み進めました。しかしやはり村田沙耶香さん、ラストは想像を超えてくれました。主人公は、次にどんな世界を作るつもりなのか…。

  • 近未来の日本では、性愛と生殖が完全に切り離されている。セックスを行う事は殆どなく、性欲は自慰で処理し、出産は人工授精でのみ行われる。夫婦はその子供を育てるただの器で、それぞれの恋愛対象は二次元のキャラクターや家庭の外で作った恋人に向かう。それが「正常」な世界で結婚した雨音は、夫と共に千葉の実験都市に移り住む事を決意。そこは抽選で選ばれた人間が「おかあさん」となり、男女問わず人工授精で妊娠し、生まれた子供を「こどもちゃん」としてコミュニティ全体で育てる場所だったのだがー。

    異性と恋に落ち、20〜30代で結婚し、子供をもうけること…それが当たり前だという価値観も、既に古びてきているのかもしれない。物語の間中、「気持ち悪い」という感情がベットリと張り付いて拭えないのだが、もしかしたら我々の子孫も逆に今の「常態」を気持ち悪いと揶揄する日が来るのかもしれない。ジェンダー間の平等を技術の力で達成した世界の一つの可能性として、異様に現実感が伴う物語だった。

  • 今の日本が抱える病をあちこちで発症させつつ、もはや癌ともいえるべき「ふつう」の三文字を心臓の如く鼓動させている。この病が癒えることはあるのだろうか? 筆者の答えを聞いてみたい。

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著者プロフィール

村田沙耶香(むらた・さやか)
1979年千葉県生れ。玉川大学文学部卒業。2003年『授乳』で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)を受賞しデビュー。09年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、16年「コンビニ人間」で芥川賞を受賞。その他の作品に『殺人出産』、『消滅世界』、『地球星人』、『丸の内魔法少女ミラクリーナ』などがある。

「2021年 『変半身(かわりみ)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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