すみなれたからだで

著者 :
  • 河出書房新社
3.34
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本棚登録 : 576
感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309025070

感想・レビュー・書評

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  • えぐられるし削られるのに、どこかやっぱり優しくて、その優しいものがひずみをすこしだけ撫でてくれる。ひずみがあるからこそ見える世界もあって、そんな世界もまた悪くはないのかもしれないと窪美澄作品を読むたびにいつも思い、少しだけ呼吸がしやすくなる。

  • 前作の『アカガミ』が個人的には消化不良だったが、『すみなれたからだで』では窪美澄の世界がじんわりと染み込んできた。「あぁ、これだよね」という安心感と物語の中にある切なさや哀しさをしっかりと味わうことができる。

    短編集ではあるが、一つ一つの物語に「生きること」への想いが滲んでいる。強く描かれている、とうわけではなく滲んでいる。じんわりと。登場人物の年代や立場も異なるので、それぞれの気持ちに思いを馳せることができる一冊。

  • 長編もいいけど、短編もいい。
    どの主人公にも感情移入できる。
    ”銀紙色のアンタンス”海の近くのおばあちゃんちでひと夏過ごす、16歳の真と幼馴染の朝日、淋しげな年上の人妻との淡い関係を描いたこの作品が心に残った。

    ”バイタルサイン”作家の母と義父、少女の関係も複雑だけど
    美しい。
    ”朧月夜のヌーヴェニア”戦時中の恋をし、今は老婆になり孫にも疎んじられはじめてるかもしれないけど、あんたよかよっぽど燃える恋をしてきたと心の中で毒づいてる。
    この特に3篇が良かったな。
    窪美澄っていろんな表現をしながらどどのつまり人間賛歌の小説だから好き。

  • 生きていれば、きれいごとだけでは済まされないことが山ほどある。
    生きるために、親を見限り
    悪いとわかっていても道ならぬ恋に落ち
    猫だって捨てに行く。
    どうしてだろう、この短編の主人公たちは
    ほの暗い思いを抱え、人生に絶望してしまいそうなギリギリの所でも
    しぶとく前向きにすら見えるのだ。
    明日なんてワクワク・キラキラしてなくたっていい。
    死と隣り合わせに、性に振り回されながら
    それでも逞しく生きて行く
    この物語が大好きだ。

  • 表題作を含む8つの短編。
    それぞれに何かを抱え、日々をやり過ごしている人々の「生きるということ」にそっと寄り添うような物語。
    人妻に恋をして振られた、16歳の夏を描いた「銀紙色のアンタレス」
    十代の頃愛した、母の結婚相手の最期を看取る決意をする「バイタルサイン」
    焼夷弾が降る中、愛し合った男の記憶をからだの奥深くに灯して生きてきた「朧月夜のスーヴェニア」が秀逸。

  • デビュー後から現在まで、窪美澄さんの魅力全開の短篇集!めっちゃよかった!!読み終わって、またすぐ読み返したくなる!

    いろいろな時代、いろいろな年代の「生」と「性」、そして「死」。出逢いと別れ。穏やかだったり、激しかったり。

    そう。誰だって、手探りで生きてるんだよね。

    そんな人々に寄り添った、8つのいろんな味わいの物語。

  • 様々な年代の恋愛や日常、過去を綴った短編集。特に衝撃的でもなく、静かにそれぞれの主人公に寄り添うような話が多い。面倒を見れなくなった親を介護施設に預けることを「捨てに行く」と表現したり、この作者さんならでは感性も多く見受けられる。前作の「アカガミ」は理解できなかったけど、個人的には長編の方が好き。

  • 2016.11.1読了
    窪美澄さんの短編は、短いながらにどれもドッシリとしていて、一編一編が読み応えあった。

  • 生と死と性が描かれた8つの短編。短編なんでより直球のお話は心に響く。生と死。生と性。生きてくにはこの二つが厄介だと改めて感じる。そして無様でも生きなきゃと思わせる作品。次は長編を読みたい。

  • メディアリクエスト

    とても響く作品とそうかな?という作品と。短編集。

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著者プロフィール

1965年東京生まれ。2009年『ミクマリ』で、「女による女のためのR-18文学賞大賞」を受賞。11年、受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、「本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10」第1位、「本屋大賞」第2位に選ばれる。12年『晴天の迷いクジラ』で「山田風太郎賞」を受賞。19年『トリニティ』で「織田作之助賞」、22年『夜に星を放つ』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『アニバーサリー』『よるのふくらみ』『水やりはいつも深夜だけど』『やめるときも、すこやかなるときも』『じっと手を見る』『夜空に浮かぶ欠けた月たち』『私は女になりたい』『ははのれんあい』『朔が満ちる』等がある。

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