テレヴィジョン・シティ 上 (河出文庫 な 7-17 BUNGEI Collection)

著者 : 長野まゆみ

• 河出書房新社 (1996年7月1日発売)

感想・レビュー・書評

[蜂蜜ちゃんさんの感想 · 2011年6月5日]

長野まゆみを人に勧めるなら、これを押してしまう。閉鎖的な空間のなかで寄宿舎生活を送る登場人物たち。精神と身体の境界線。モノクロの世界から映る青い星へのあこがれ。何も繋がっていない世界。何回読んでもわけがわからない。でもこれがいいです。

[遊月さんの感想 · 2011年5月12日]

独特の世界にぐいぐい惹き込まれます。
長野さんにしか生み出せないであろう登場人物たち、舞台装置や小道具の数々がたまらなく魅力的！
内容は…難解というか、謎が謎を呼ぶ雰囲気。遠いような近いような、やさしいようなかなしいような、イーイーとアナナスの関係がなんだか切ないです。

[歌川さんの感想 · 2011年4月28日]

下巻まで読了。
SF。この世界観好きだ…この人の創造力はとてつもないですね。それだけに凡人の頭では想像し難くもあるけれど。これは映像で見てみたいと思わせる作品だなあ。アナナスの目に映る青さとか、イーイーのすみれ色の瞳とか。
でも最後ちょっとよくわからなかったです。いや、理解できなかったのは最後だけではないのですが。あと暗号そのものに意味はないとは言ってもやはり解読したくなる。

[1+a²さんの感想 · 2011年3月14日]

文体が鮮やかな描写で書かれていて、個性的というか、幻想的というか、、、。でも決して読みにくいわけでなく逆に引き込まれていくような感じがしました。雰囲気が冷たくて心地いい。アナナスとイーイーのつかずはなれずみたいな関係が好き。

暗号が出てくるので解読したいけど、やる気が...

[naatim0009さんの感想 · 2010年11月27日]

私が長野まゆみさんの作品の中で一番好きで一番読んでいる小説。
中学生のときに初めて読んだのですが、主人公の心情が自分と重なって夢中になりました。
上巻は初っ端から何の話？って思うような場面から始まるのですが、気付いた時には読み終わっている面白さ！
とにかく設定が好きです。深まる謎にまんまとハマってしまいました。

[たまゆりさんの感想 · 2010年11月11日]

長野まゆみ作品をいくつか読みましたが、これが一番好きです。
毎年夏が来ると、必ずこの本を開きたくなる。

何度読んでも、これだ！と言えるような解釈は見当たりません。
それでもこの世界観に浸り、後半の終末感やラストシーンでの言いようのない喪失感を味わいたいがために本を開きます。

そして読み終わっても数日はビルディングや青い海のイメージに囚われる。
作品世界へと惹き込む力はピカイチの本では。

[hiroさんの感想 · 2010年10月20日]

世界観を掴むまでにとにかく時間がかかった。

テレビジョンシティには住みたくないと思ったくらいかなぁ。

長野さんの描く少年主人公は作風は違えど、
性質が似ておりなんとなく壊れそうにも、
揺るぎないようにも見える。
少年の為に世界が存在するような感じが何とも癖になるんだけれど。

[親彦さんの感想 · 2010年8月30日]

やはりそれっぽい。
謎というのは文字を眼で追わせる力が有る。
少年ばかりで個人的にも美味しいですが。
相変わらず主人公が良い意味で意思・意志を持たない。

[もせさんの感想 · 2010年8月3日]

夏休みになると読みたくなる．つまり白昼夢の類．

主人公アナナスの主観で物語は進むけれど，彼は思考にも行動にも確かな拠り所が一切ない．
どうしようもない不安の中で読み進むストレス．だがそれが良い！

一体どこへ行き着くのか見当もつかないまま先へ進んで行くが，それは書いている本人も同じだったらしい（巻末インタヴュー参照）．
つまり白昼夢の中を漂うような読み心地．長野さん作品の中で断トツに，たまらなく好き．

[mikame*rumeさんの感想 · 2010年7月26日]

伏線が多く、展開が気になる。

著者プロフィール

長野まゆみ（ながの・まゆみ）東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」